当サイトで、クラシック原曲のJ-POPまとめ記事が人気ですが、今回はジャズやインストゥルメンタルバンドによるクラシック名曲のカバーをご紹介します。

あの名曲がこのように変身するなんて!と新鮮な気持ちにさせてくれる曲を集めてみました。

クラシック名曲アレンジ① デューク・エリントン「くるみ割り人形」「ペール・ギュント」

くるみ割り人形より「花のワルツ」

アルバム『三大組曲』収録

デューク・エリントンは1899年生まれ。

アメリカで自らのビッグ・バンドを率いて、「A列車で行こう」「サテン・ドール」など数多くのジャズ・スタンダードナンバーを創り出したジャズ界のレジェンドです。

彼はたくさんのアルバムを残しましたが、今回ご紹介するアルバム『三大組曲』には、エリントンがアレンジしたチャイコフスキーのバレエ組曲「くるみ割り人形」、グリーグの組曲「ペール・ギュント」、エリントンが盟友ビリー・ストレイホーンと共に作った組曲「木曜日」が収録されています。

「くるみ割り人形」「ペール・ギュント」は、学校の音楽鑑賞の時間でもお馴染みの曲ですね。

どちらも大人から子供まで親しみやすいクラシックの組曲ですが、エリントンのアレンジは原曲のメロディーを生かしつつジャズ・オーケストラならではの華やかで楽しい魅力にあふれています。

ジャズは難しそう。クラシックは難しそう。そういった先入観でなかなか一歩を踏み出せないでいる方にこそおすすめしたいアルバムです。

クラシック名曲アレンジ② カシオペア「亡き王女のためのパヴァーヌ」

「亡き王女のためのパヴァーヌ」

アルバム『4×4 FOUR BY FOUR』収録

フュージョンとは、クロスオーバーとも呼ばれ、ジャズにロックやラテン、時にはクラシック音楽などを融合させた音楽ジャンルの一つです。

日本では1970~1980年代にフュージョンブームが起き、カシオペアT-スクェア(当時の名称はザ・スクェア)、プリズムなど数々のバンドが登場して人気を博しました。

カシオペアはギタリストの野呂一生を中心に1976年結成。現在も”CASIOPEA 3rd“と名前を変えて活動を続けている人気フュージョンバンドです。

ラヴェル作曲「亡き王女のためのパヴァーヌ」は、カシオペアの黄金期と呼ばれた1982年にアメリカの人気フュージョンギタリスト、リー・リトナーのグループとセッションした話題作『フォー・バイ・フォー』に収録されています。

野呂一生がフレットレスギターで美しく哀しい旋律を奏で、リー・リトナーによるアコースティックギターの伴奏や、ドラムの名手ハーヴィー・メイソンによるマリンバが曲を盛り上げています。

「亡き王女のためのパヴァーヌ」はジャンルを問わず多くのアーティストに取り上げられている曲ですが、このカシオペア&アメリカの強者たちの演奏もぜひ味わってみて頂ければと思います。

クラシック名曲アレンジ③ ボブ・ジェームス「白鳥」

「白鳥(The Swan)」

アルバム『白鳥』収録

ボブ・ジェームスはアメリカの人気ジャズ・ピアニスト。1970~1980年代には爽やかで聴きやすいフュージョンアルバムを何枚も発表。日本ではウイスキーのCMにも登場しました。

サン・サーンスの組曲「動物の謝肉祭」の中の「白鳥」は、チェロの独奏によるメロディーがとても美しく人気の高いクラシック曲ですが、ボブ・ジェームスのアレンジはシンセサイザーの音色やエレクトリック・ピアノにより、白鳥がゆったりと優雅に泳ぐような曲想で、リラックスできる仕上がりになっています。

このアルバムにはヘンデルの「水上の音楽」も収録されていますが、お馴染みの旋律が、柔らかいシンセサイザーの音色で心地良く奏でられ、ゆったりしたいひと時におすすめのアルバムです。

ボブ・ジェームスは他にも、ムソルグスキーの「はげ山の一夜」をアレンジした同名のアルバムも出しており、こちらもロック・テイストの華やかなアレンジが新鮮です。興味を持たれた方はぜひ聴いてみて下さい。

クラシック名曲アレンジ④ クライズラー&カンパニー「新世界」

「新世界」

アルバム『NEW WORLD』収録

クライズラー&カンパニーは、1990年、東京芸術大学の学生だった葉加瀬太郎(バイオリン)、竹下欣伸(ベース)、斉藤恒芳(キーボード)の3人で結成されたインストゥルメンタルバンドです。

クラシックの名曲を現代的なアレンジで聴かせるこのバンドはCMとのタイアップで人気を博し、全国ツアーを行うまでに。セリーヌ・ディオンとの共演「To Love You More」を耳にしたことのある方も多いのではないでしょうか。

クライズラー&カンパニーは1996年に解散、その後の葉加瀬太郎の活躍は言うまでもありませんが、2015年に再結成してファンを喜ばせました。

この「新世界」は、ドヴォルザーク交響曲第9番 ホ短調「新世界より」から壮大に盛り上がる第4楽章がモチーフとなっています。

まさにジャンルを超えてボーダーレスに活躍している葉加瀬太郎のバイオリンが冴え渡り、彼らならではの凝ったアレンジが楽曲を彩ります。

クライズラー&カンパニーの90年代のアルバムは、配信サイトでも聴くことができます。

彼らのバンド名の由来となったフリッツ・クライスラーの「愛の喜び」「美しきロスマリン」、モーツァルトの「トルコ行進曲」、ヴィヴァルディの「四季」より「春」など、葉加瀬太郎の情緒豊かなバイオリンを軸にシンセサイザーや打ち込みを駆使した自由でかっこいいアレンジにより、お馴染みのクラシック曲の新たな側面を感じることができるのではないでしょうか。

クラシックの入門にもぴったりなクライズラー&カンパニーのサウンドは、今こそ多くの方に聴いて頂きたいです。

クラシック名曲アレンジ⑤ 栗コーダーカルテット「アイネ・クライネ・ナハトムジーク 第一楽章」

「アイネ・クライネ・ナハトムジーク 第一楽章」

アルバム『ウクレレ 栗コーダー』収録

リコーダーを駆使してバラエティに富んだ音楽を作りだす栗コーダーカルテット

NHK Eテレの人気番組「ピタゴラスイッチ」のテーマを聴けば、あのサウンドか!と思い出す方も多いのではないでしょうか。テレビ番組、ラジオ番組にも多く出演しているので、お馴染みかもしれませんね。

栗コーダーカルテットは1994年結成、リコーダーとウクレレを中心にほっこりするサウンドで人気、全国各地のファミリーコンサートも好評です。

メンバーはそれぞれリコーダー以外の楽器のプロミュージシャンであり、作編曲にも長けたベテラン揃いです。

アルバム『ウクレレ 栗コーダー』に収録の、モーツァルト「アイネ・クライネ・ナハトムジーク 第一楽章」は、確かにあの有名なメロディなのですが、彼らの手にかかるとなぜこんなにもゆるくて和むんだろう?と驚いてしまいます。

彼らはオリジナル曲のみならず、ロックやポップスのスタンダードナンバーから文部省唱歌、クラシックならショパンのエチュード 「蝶々」、ラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」など幅広く取り上げています。
 

まとめ

今回ご紹介したのはジャズ、フュージョン、インストゥルメンタルバンドのアレンジ曲でしたが、ロック界でもクラシック曲は頻繁に取り上げられています。

クラシックの楽曲は普遍的な魅力を持っているからこそ、長年人々に親しまれ愛され、こうしてジャンルを超えて取り上げられているのでしょう。

これからもクラシックをモチーフにした新しい音楽が次々と生み出されていくのではないでしょうか。楽しみですね。