ピティナ(一般社団法人全日本ピアノ指導者協会)が開催する国内最大規模のピアノコンクール「ピティナ・ピアノコンペティション」。

その最難関部門「特級(とっきゅう)」では、今、各メディアで見かけない日はない角野隼斗ら、ショパン国際ピアノコンクールをはじめとする多くの国際的な大舞台で活躍する若手ピアニストが育ってきた。

7/29(金)の三次予選を経て、2022年のセミファイナリスト7名を選出。

8/14(日)には、それぞれが約1時間のプログラムを組み立てるリサイタル形式でセミファイナルの審査が行われ、音楽の殿堂サントリーホールで8/17(水)にプロの指揮者・オーケストラとピアノ協奏曲を演奏するファイナリスト4名が選出される。

2021年大会で活躍した日本人ピアニストのプロフィールの多くに、「ピティナ・ピアノコンペティション」での入賞歴が刻まれている。

ピティナ「特級」から世界へ羽ばたく若手ピアニスト

特に近年、ピティナ・ピアノコンペティション「特級」入賞者の国際的なステージでの活躍は目覚ましい。

左から亀井聖矢/黒木雪音/桑原志織/阪田知樹/森本隼太

●亀井聖矢(2019年グランプリ・聴衆賞):マリア・カナルス国際ピアノコンクール第3位(2021)、ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールセミファイナリスト(2022)
●黒木雪音(2019年銀賞):ダブリン国際ピアノコンクール第1位(2022)
●桑原志織(2013年銀賞):ルービンシュタイン国際ピアノマスターズコンクール第2位(2021)
●阪田知樹(2011年グランプリ):エリザベート王妃国際音楽コンクールピアノ部門第4位(2021)
​●森本隼太(2020年銀賞・聴衆賞):ヘイスティングス国際ピアノ協奏曲コンクール第1位(2022)

ピティナ・ピアノコンペティション「特級」は、まさに世界に羽ばたく日本の音楽家を育成する、国内屈指の「登竜門」と言える。

2022年ピティナ「特級」セミファイナリストが決定

その登竜門に臨む若手ピアニストたちの挑戦が、今年も7月に始まった。
7月26日・27日の二次予選で24名から10名へ、そして7月29日(金)三次予選で全国大会にコマを進めるセミファイナリスト7名が選出された。

左上から演奏順に吉原佳奈/藤澤亜里紗/神宮司悠翔/北村明日人/鶴原壮一郎/今井梨緒/森永冬香

セミファイナルでは7名からファイナリスト4名を選出。音楽の殿堂・サントリーホールで開催されるファイナルでは、プロの指揮者・オーケストラとファイナリスト4名がピアノ協奏曲で共演し、角野隼斗らに続く次世代のピアニストが誕生する。

セミファイナリストプロフィール(セミファイナル演奏順)

1)吉原 佳奈(よしはら・かな)

大阪府豊中市出身。昭和音楽大学4年・ピティナ・ピアノコンペティション全国決勝大会にて、B級・C級金賞、D級・E級・F級ベスト賞、Jr.G級銅賞、G級銀賞及び洗足学園前田賞、Pre特級金賞。第8回福田靖子賞選考会入選。ほか数々の受賞歴、演奏会に出演。

2)藤澤 亜里紗(ふじさわ・ありさ)

東京都北区出身。東京音楽大学付属高等学校ピアノ演奏家コース、同大学ピアノ演奏家コースを経て、同大学大学院音楽研究科器楽専攻鍵盤楽器研究領域(ピアノ)修士課程首席卒業。多数の国内外のコンサートなど出演歴、受賞歴があり10月にフランスのノアンにて招待演奏者としてノアンフェスティバルに出演予定。

3)神宮司 悠翔(じんぐうじ・ゆうと)

神奈川県海老名市出身。東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校2年。第44回ピティナ・ピアノコンペティション全国大会G級銅賞。第45回ピティナピアノコンペティション全国大会Pre特級入選。ほか多数の受賞歴、コンサート出演歴があり笠原智廣ピアノアカデミーコンクール強化特待クラス登利平給費特待生。

4)北村 明日人(きたむら・あすと)

兵庫県神戸市出身。チューリッヒ芸術大学大学院修了・東京藝術大学大学院修士課程在籍。ピティナ・ピアノコンペティション全国大会にて銅賞、ベスト賞受賞。ほか多数の受賞歴、共演歴がある。東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校を経てチューリヒ芸術大学音楽学部及び大学院ソリストディプロマ卒業。

5)鶴原 壮一郎(つるはら・そういちろう)

福岡県北九州市出身。東京藝術大学2年。第38回ピティナ・ピアノコンペティションC級全国大会銀賞。ほか多数の受賞歴あり。霧島国際音楽祭にてダン・タイ・ソン氏のマスタークラス受講。宗次エンジェル基金/公益社団法人日本演奏連盟新進演奏家国内奨学金制度令和4年度奨学生。

6)今井 梨緒(いまい・りお)

東京都江戸川区出身。桐朋学園大学修士課程2年在学中。国内外にて多数の受賞歴、コンサートの出演歴がある。学内成績優秀者によるStudent’s Concertや卒業演奏会、梅津学長推薦によるベーゼンドルファーランチタイムコンサートに出演。フランスTignesで行われたMusicAlpや、ロシアンピアノスクールin東京 修了選抜コンサートに出演。渡航・受講費全額免除でドイツ ハレで行われたマスタークラスに参加し、ユーロアーツ ミュージックフェスティバルにて演奏。

7)森永 冬香(もりなが・ふゆか)

神奈川県横浜市出身。2002年生まれ。東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校を経て、東京藝術大学3年在学中。全日本学生音楽コンクール中学校の部全国大会入選。ピティナ・ピアノコンペティションJr.G級、Pre特級全国大会入選。Imola Piano Award 2019 Aカテゴリー(17~25歳) 第2位。東京芸術センター記念ピアノコンクール銀賞(金賞なし) 。Imola Summer Piano Academy(イタリア)、浜松国際ピアノアカデミー2021に参加。

聴衆の応援を形に クラウドファンディングにも挑戦中

「特級」は、演奏家を真に「演奏家」たらしめるものは聴衆からの評価である、という信念をもって運営されている。音楽を専門とする審査員による順位づけに加え、会場の聴衆による投票で決まる「聴衆賞」を、長年実施してきた。

一方、コロナ禍でオンラインの音楽イベントが広がる中、ピアノコンクールをライブ配信で視聴する聴衆が激増した。特にショパン国際ピアノコンクールの主催からは「ライブ配信のアクセスの半数以上が日本から」と公式発表されており、日本人の応援の熱気が高まっている。

「オンライン聴衆」の応援がより実態をもって奏者たちに届くようにと、ピティナは2020年からライブ配信視聴者の投票によって順位が決まる新たな「聴衆賞」を実施。

クラウドファンディングで聴衆からこの褒賞金を集め、応援を形にして奏者に届ける仕組みを設けた。2022年度は、より多くの人が参加しやすい「サポーター賞」の名称で、特級ファイナルが開催される8月17日(水)まで、投票と寄付を受け付ける。

◆クラウドファンディング:https://motion-gallery.net/projects/ptna_tokkyu_2022
◆「サポーター賞」投票:https://compe.piano.or.jp/event/tokkyu/vote.html#maintxt

今後のスケジュールなど

◆審査・ライブ配信スケジュール
8月14日(日)10:30- 特級セミファイナル@第一生命ホール(東京・中央区晴海)
8月17日(水)16:30- 特級ファイナル@サントリーホール(東京・港区赤坂)

◆プロフィール詳細:https://compe.piano.or.jp/event/tokkyu/result-timetable.html#maintxt
◆2022年特級公式サイト:https://compe.piano.or.jp/event/tokkyu/about.htmle