サックスを演奏するにあたって最も重要なパーツになるのがリードです。
小さなパーツですが、これが変わるだけで音の出やすさや音色などが大きく変化します。
そのため、リード選びはとても大切。そこで今回は、良いリードの選び方やおすすめのメーカーについてプロサックス奏者である筆者が詳しく解説します!
案内人
- 門田瑞紀中学校からサックスを始める。現在は、フリーのサックス奏者としてソロや室内楽で精力的に活動しながら、中学校や高校で後進の指導にもあたる。六甲道ミュージックスクールサックス講師。大阪音音楽大学演奏員。
目次
サックス用リード選びで重要なポイントは2つ
サックス用リードを選ぶ際のポイントは大きく分けると2つ。
詳しく見ていきましょう。
厚さ
厚さはリード選びで最も重要なポイントです。
リードにはそれぞれ厚さごとに番号が振り分けられており、数字が小さいほど薄く、大きいほど厚くなります。薄いほど息が入りやすいので鳴らしやすいのですが、音が軽くなりがちに。太く美しい音は出しにくいので、慣れてきたら厚いものを選ぶようにすると良いでしょう。
マウスピースとの相性
リードにも色んな種類があるように、リードをつけるマウスピースにも吹き口の開きが狭いものや広いものなどさまざまな形があるため、相性がとても重要です。
たとえば、吹き口の開きが狭いものによく振動する2.5の薄いリードをつけると、振動しすぎてマウスピースにひっついてしまい息の通り道を塞いでしまうことがあります。逆も同じで、吹き口が広いものに3.5の厚いリードをつけると、息の通り道が広すぎてたくさんの息が必要になるため、すぐ疲れたり慣れていないとうまく音がでなかったりしてしまうのです。
ここではマウスピースに関する説明は割愛しますが、マウスピースを選ぶ際には、楽器販売店や専門の方に相談して購入することをおすすめします。
結局、吹きやすいリードとは?
リードは1~5番まで厚さがあり、3番が標準の厚さと言われています(1や5はほぼ使用されません)。下記画像のケースの黄色部分にある数字が厚さの番号です。
筆者の経験上、初心者の方はまず2.5番から始めるのがいいでしょう。無抵抗で息がスーっと入るより、少しばかり抵抗感がある吹奏感の方が美しい音が出るためです。サックスを吹くことに慣れて音色を意識するようになってきたら、2.5番から3番にあげることをおすすめします。
2.5番でもどうしても息を入れるのがしんどい、なかなか音が鳴らないという方は、開きの広いマウスピースに変えてみるのも一つの手です。
結局のところ、吹きやすいリードというのは人それぞれです。多様な組み合わせがあるため、一度吹いてうまくいかなくても、諦めずに色々試して自分のベストを探しましょう。
サックス用リードはバンドレンかダダリオの2種類
難しい話はいいから結局どのリードがいいの?という方に筆者がおすすめするメーカーは2つのみ!
クラシックサックスを始めるなら、バンドレンかダダリオを選びましょう。
サックス用リードのおすすめメーカー:バンドレン
バンドレンはフランスで100年以上続くメーカーで、プロのサックス奏者のほとんどがここのリードを使用しています。
バンドレン トラディショナル
クラシックサックスの定番と言えばこちら!リード選びに迷ったらバンドレンのトラディショナルを選んでおけば間違いないでしょう。
安定感がありとてもコントロールしやすいリードであるため、とくに初心者の方におすすめです。
バンドレン v12
中級から上級者の方はバンドレンのv12リードにも挑戦してみてはいかがでしょうか。
やや値段は高いですが、より厚く豊かな音色を出すことができます。
トラディショナルの3番は軽いけど、3.5番は重たい。そんな方にはv12の3番がおすすめです。
サックス用リードのおすすめメーカー:ダダリオ
アメリカに本社があるダダリオは、楽器弦を作る世界最大のメーカーです。サックス用リードに関しては、バンドレンに次いで有名と言えるでしょう。
ダダリオ レぜルヴ
ジャズ用リードが多いダダリオの中で、クラシックや吹奏楽用としておすすめなのがレゼルヴです。もうこれ一択と言ってもよいでしょう。
初めて吹く人にはバンドレンとの違いはほとんど分からないかもしれません。
吹くのに慣れてきたから色んなリードを試してみたい、色んな音色を出してみたいと思う方は是非試してみてください。
樹脂製のリードって良いの?
最近は「レジェール」という樹脂製のリードを使う方も増えてきましたね。確かに葦のリードより長持ちで、長時間連続して使用することもできます。
しかし、木製特有の豊かな音色が出にくく、葦のリードのように変化していくこともないので、筆者はあまりおすすめしません。
長く使える分1本がかなり高額なので、それがもし自分に合わないリードだと音がでなくて諦めてしまうなんてことにもなりかねません。なので、初心者の方は必ず葦のリードから始めてくださいね。
興味のある方は試奏ができる楽器屋さんもありますので、一度試してみるのもいいでしょう。
サックス用リードの保管方法
実際にリードを触ってみるとよく分かるのですが、先端は非常に薄くとても繊細です。手や洋服に触れただけでも欠けてしまったりするので、使い終わったら丁寧に水分をふき取ってなるべく早くケースに保管しましょう。
吹きおわったリードには鉛筆で○、△、×などで印をつけておくと、次回演奏するときにどれが吹きやすいリードだったか分かりやすくておすすめです。
ちなみに、筆者の場合は数字の部分を○や△で囲むように書いています。
本番用は○、練習用は△などにして○は良い状態をキープさせるためあまり吹かないようにしましょう。
サックス用リードの寿命・交換時期
リードの寿命は育て方によって大きく異なり、数ヵ月で使えなくなることもあれば、1~2年使い続けることもあります。
リードは、長時間使用したり水分を含んだまま放置しているとすぐに痛んでしまい、先端が波打ったり、ギザギザになってしまいます。そうなると良い音は出ませんので、交換しなくてはなりません。
また、上記の画像のように先端が透けていたら使いすぎです。
吹きやすいリードをずっと使いたくなる気持ちは分かりますが、同じリードを1時間以上使い続けないようにしましょう。
リードを育てるってどういうこと?
リードは葦(ヨシ)という植物からできており、湿度や気温によっても吹奏感が変わってしまうくらいとても繊細です。自然由来のものなので吹き続けると水分を含んでだんだんと変化し、吹き心地や音色にも影響がでるため、自分にとってベストな状態に整えて維持する必要があります。
つまり、『育てる』というのはリードを徐々に水分に慣らし、自分好みの吹き心地になるよう調整することを意味するのです。
また、前項でも述べた通り、育て方がリードの寿命を大きく左右します。
最初は吹きにくくても育てているうちに徐々に吹きやすくなったり、良い音の出る状態になっても長時間使い過ぎないよう気を付けるなど、細かな配慮が必要なのです。
簡単なリードの育て方
新品のリードは水分を吸収しやすいので、初めのうちは10~15分吹いたら交換して休ませます。それを繰り返してだんだんと吹く時間を長くして慣らしていきましょう。
「リードを休ませる」とは、なるべく乾かした状態で保つこと。
花や観葉植物を植えている鉢の土が毎日べちゃべちゃだと根が腐るのと同じように、リードも濡れている状態で常に置いておくとすぐに劣化してしまいます。
毎日ではなく2~3日に1回程度、ちょうどよい量の水やりをしてあげるイメージで大事に育てましょう。
お気に入りのリードは本番等の大事な時用にとっておいて、練習用リードと使い分けるのも有効な方法です。大事なリードはケースに入れて保管しましょう。
まとめ
サックスの音が出ない、吹きにくいという問題のほとんどはリードで解決できると言っても過言ではありません。
良いリードに巡り合えると吹いていて楽しいですし、楽器の上達も格段に早くなりますよ。
是非何度も吹いてみてお気に入りを見つけてくださいね!