憧れのマイサックスを手に入れたい!
でも色んな種類があってどれを買えばいいのかわからない……そう思っている方も多いのではないでしょうか。
- 自分にはどれが合っている?
- 初心者だからとにかく安いものでもいい?
- 相場や、値段の違いは何?
- 高い買い物だから失敗したくない…
今回は、これらのよくある疑問にプロのサックス奏者がお答えします。アマチュアからプロを目指す学生さんなど、それぞれの用途に合ったおすすめの楽器をご紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。
案内人
- 門田瑞紀中学校からサックスを始める。現在は、フリーのサックス奏者としてソロや室内楽で精力的に活動しながら、中学校や高校で後進の指導にもあたる。六甲道ミュージックスクールサックス講師。大阪音音楽大学演奏員。
目次
サックスの値段相場を種類別に見てみよう
今やネットでも簡単に楽器を購入できますが、便利な反面トラブルも多いのが現状です。安価な偽物を選んでしまったり、逆に販売価格より高い値段で買わされたり……。
サックス購入で失敗しないためには、まず基礎知識を身につけておくことが大切です。まずはサックスの種類から確認していきましょう。
ソプラノサックス
ソプラノサックスは小さいから安価なイメージがあるかもしれません。しかし、実は管体が小さい分、部品が細かいため製造が難しく高価な楽器なのです。
中国製の安価なものなら3万円程度で購入することができますが、有名メーカーになると一番安いものでもヤマハで25万円、セルマーでは70万円程とアルトサックスとあまり値段は変わりません。
アルトサックス
サックスの中で最も人気なのがアルトサックスです。そのため、初心者でも気軽に購入しやすい安価なものから高価なものまで、幅広い価格帯となっています。
安価なものだと中国製なら3万円、ヤマハなら13万円ほどで、高価なものになるとヤナギサワは120万円、セルマーで200万円のものもあります。
テナーサックス
アルトサックスの次に人気のテナーサックスも価格帯が幅広くなっています。
安価なものだと中国製で5万円、ヤマハだと22万円程度です。高価なものになるとヤナギサワで130万円、セルマーだと270万円もするものもあります。
バリトンサックス
バリトンサックスは、サイズが大きいので製造に非常に時間がかかり、需要も少ないため出回っている数も少なく楽器店でもなかなか手に入りません。
安価なものでも20万円以上、有名メーカーだと60万〜200万円と非常に高価格帯となっています。
サックスの値段を左右する要素
ここまでの情報をまとめると、サックスの相場が3万〜200万円であることがわかりました。しかし、この値段の差は一体なんなのでしょう?高ければ高いほどいいの?と疑問に思いますよね。
なぜここまで値段に違いがあるのか、詳しく見ていきましょう。
製造方法
有名メーカーの30万円以上するサックスは、最終工程で職人による手作業で組み立てられています。安価で出回っているものは、機械で大量生産されているためコストを抑えることができますが、職人による精巧な技術までは再現できません。
素材
サックスは一般的に、銅と亜鉛を混ぜた真鍮(しんちゅう)と呼ばれる銅合金で作られているため、銅の割合が増えると値段も高くなります。ブロンズやシルバー等の素材を使ったものはさらに高価になり、200万円を超えるものもあります。
仕上げ
楽器が完成すると最後に行われるのが表面のコーティングです。そこで使用する塗料によって値段が大きく変わります。
一般的なものにはラッカーが使用されており、楽器の表面にラッカーを“吹きつけ”ます。
ゴールドプレートやシルバープレートは素材自体が非常に高価であり、楽器に“貼り付けて”いるため、ラッカーに比べると重量感もあり輝きも華やかです。
さらに高いピンクゴールドやプラチナを使用していると、同じサックスの種類でも2倍ほど値段が変わります。
高いサックスと安いサックス、どこがどう違う?
ヤマハ、ヤナギサワ、セルマーがサックス三大メーカーと呼ばれており、プロのほとんどはこのメーカーの楽器を使用しています。
中国製や台湾製といった安価なサックスと、三大メーカーのサックスでは何が違うのでしょう?詳しく解説していきます。
音の出しやすさ
サックスは、管体に色々な細かい部品が付いていて、キィの位置が1ミリずれるだけでも音が出にくくなってしまうほど非常に繊細な楽器です。それゆえ、大手メーカーの場合、組み立てられた楽器を輸入しても自社の水準に満たなければ、再度バラバラにしてもう一度職人が組み立てることもあります。
一方、安いサックスは作りや検品が簡易的なので、壊れるリスクが高めです。初心者の場合、音をうまく出せないときに『自分の吹き方がいけないのか』『楽器が壊れているのか』判別ができず、吹き続けてしまう場合があります。そうなると楽器にも良くないうえに、自分の上達の妨げにもなってしまいます。
音色
管体に使用している素材が違うと出る音色や響きが変わってきます。
安価なサックスは、明るく軽い音が出るのでジャズで使用されることはありますが、美しく重厚感のある音が好まれるクラシックには不向きです。
アフターサービス
2、3万円の安価なものは、大手メーカーのものをコピーした『サックスに似せた別の楽器』だと思ったほうがよいでしょう。部品や作り方が異なるため三大メーカーのものでなければ、楽器の修理屋に出しても修理を断られる場合もあります。
修理ができずまた新しい楽器を購入するとなると結局費用が高くなってしまうので、最初から三大メーカーのものを購入する方がお得かもしれません。
中学生・高校生が使うサックスの平均的な値段は?
個人的な趣味で演奏する場合は、ヤマハの一番安い13万円程度の楽器で十分です。しかし、吹奏楽部の一員として使ったり、プロを目指して継続していきたい方には、30〜60万円程度の良い楽器をおすすめします。
良い楽器であれば上達も早くなり、美しい音色が出るため周囲との調和も良くなり、アンサンブルに適しています。
ただし、高ければいいというわけではありません。管体の素材がシルバーやブロンズを使用しているものや、塗料にメッキを使用しているものは重厚感があり、初心者にはコントロールが難しいのでおすすめしません。
社会人が使うサックスの平均的な値段は?
先ほどと同じく、個人的な趣味で演奏するならヤマハの一番安い13万円程度のもので十分でしょう。周りと差をつけたいという方は30万円以上のサックスもいいと思います。
憧れのセルマーがほしいという方にはセルマーの『アクソス』がおすすめです!セルマーでは一番安い種類ですが、音の鳴りも良く響きをしっかりと作ってくれます。
初心者向けの価格帯
たとえ初心者でも、有名メーカーではない10万円以下の楽器はおすすめできません。
初めて吹くときに、吹きにくい楽器を使用して変なクセがついてしまうと、その後楽器を買い替えてもクセを治すのは難しいからです。
なので、やはりヤマハの13万円程のものを想定しておくと良いでしょう。
中~上級者向けの価格帯
音にこだわりたいという方には、40万円以上のものをおすすめします。三大メーカーならどれも良い楽器ですので、あとは音色や吹き心地など購入前に楽器屋さんで試奏して自分の好みのものを選んでくださいね。
高価な楽器を購入するのは難しいという方には、ネックの部分のみ金メッキのものを購入することもできますし、ネジを1本変えるだけでも音が変わるのでカスタマイズも選択肢に入れておくとよいでしょう。
値段だけでサックスを決めるのは危険!楽器店で試奏しよう
ECショップなどで安いサックスはたくさん売っていますが、ネットだけで購入するのはおすすめしません。ひどいものだと、新品なのに全く音が出なかったというケースもあります。
サックスを購入するときは、必ず楽器屋さんで試奏してから決めましょう。自分で試奏しても違いが分からない場合は、選定書付きの選定品を選ぶのもおすすめです(選定書とはプロが実際吹いて良いと思ったものだけに発行されるもの)。
とは言え、やっぱり新品は値段が高い。予算的に難しいという方は、安い新品サックスではなく、有名メーカーの中古品を購入するという手段もあります。「中古には前の人の癖がついている」とよく聞きますが、それは上級者にならないとほとんど分かりません。なので、せっかくなら長く安心して使えるものを選んでくださいね。
まとめ
サックスは大事に扱えばとても長く使い続けることができる楽器です。
安い買い物ではありませんが、長く心地よく使い続けるためにも、長い目で見た選定をしてくださいね。本記事が新たなサックス愛好者を生み出すきっかけになれば幸いです。