音楽は子どもの成長に良い影響を与える」とよく耳にしますよね。実際に、多くの科学者が「音楽を聴いたり演奏したりすることは、知性に大きく影響する」と提唱しています。

とくにリトミックは、幼児教育の現場で取り入れられ、注目されている教育法です。でも、実際にどのような効果や取り組み方法があるのか、意外に知らないことも多いですよね。

そこで今回は、リトミックの効果や狙い・目的について、初めて勉強する人にもわかりやすく簡単にご紹介します!ぜひ参考にしてみてください。

案内人

  • 山吹あや幼少期からピアノ、中学校からサックス、高校から声楽を始め、地方国立大学教育学部音楽専攻へ進学。卒業後、小中学校の教員として11年間勤務。中学校では合唱部顧問を担当し、県大会を通過し関東大会に多数の出場経験がある。

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リトミックってそもそもなに?

リトミックとは、スイスの音楽教育家であるダルクローズが考案した音楽を用いた教育法です。子どもの潜在的な基礎能力を育てることを目的としており、日本でも多くの幼稚園や保育園でリトミックが取り入れられています。
リトミックでの取り組みは主に以下の3つです。

  1. 音を聞く、感じる
  2. 音に合わせて身体を動かす
  3. 楽器や身体を使って音を出す

これらを通して、子どものさまざまな能力の発達を促します。

実際のレッスンでメインとなるのは、指導者の弾くピアノの音や声に合わせて身体を動かすことです。さらには、手遊びや体操のような動き、ボールやフラフープ等の道具を用いての動きや、ペアやグループでの動きなど、幅広い動作をしていきます。音に合わせて楽しみながら取り組んでいるうちに、さまざまな能力が育っていくのです。

つまりリトミックとは、遊びながら子供の能力を伸ばす『楽しい教育法』なのです。

リトミックイメージ動画:HUGチャンネル「前半は1歳児クラス、後半は2歳児~クラスのレッスンです!!」

リトミックで期待できる効果とは?

リトミックには要素別の教育効果があると言われています。

音楽感覚が身につく・リズム感が良くなる

多様なパターンの音楽に合わせて身体を動かすことで、リズム、音の強弱、音の高低といった音楽的な要素の感覚が身についていきます。繰り返し取り組むうちに、音楽のはじまりと終わりの感覚や拍子の理解など、さらに発展的な要素を身につける効果も期待できます。

運動能力が高まる

リトミックで行う動きは、幼児期に段階的に身につけていく「歩く、走る、ジャンプ、スキップ」といった運動面の発達を支えてくれます。さらに「ゆれる、ねじる、はう、転がる」といった全身の動きを通して、足首やひざ、腰、肩などの使い方も自然に身についていきます。そのため、続けていくことで柔軟性やバランス感覚を育み、運動能力を高めていく効果が期待できるのです。

感覚が研ぎ澄まされる

音に耳を傾けて身体を動かすことを通して、集中力や記憶力、判断力、表現力が自然に身についていきます。また、友達と一緒に活動することを通して、社会性や協調性も学ぶきっかけになります。その中で、人のアイディアを受け入れる力、自分のアイディアを創造する力も育まれていくのです。

リトミックは何歳からが効果的?

実際にリトミック教室でレッスンを始めたい場合は、1歳頃からがおすすめです。
歩き始める頃というのは運動能力の発達だけではなく、知能面も大きく成長していく時期でもあります。その時期にリトミックを取り入れることにより、子供の豊かな感性を磨くことができるのです。そのため、リトミック教室は1歳から入会できるところがほとんどです。

また、リトミックは0歳から始めることも可能です。パパやママが音に合わせてリズミカルに体をさわったり動かしてあげたりすることで、赤ちゃんのさまざまな感覚が育っていきます。

リトミックのメリット、デメリット

リトミックのメリットは、さまざまな教育効果が期待できることです。幼児期にリトミックを通して身につけた力は、小学校以降でも多くの場面で役に立ちます

デメリットは、成果がわかりにくいという点です。リトミックは長期的に取り組むことでさまざまな能力の発達を促すものなので、短期的には効果を感じにくいのです。

例えばピアノのレッスンなどは「この曲が弾けるようになった」「試験に合格した」など、成長がわかりやすいですよね。しかし、リトミックは決められた動きを練習したり評価したりするものではないため、成果が見えにくいのです。
それよりも、お子さんが「楽しそうに取り組んでいる」「自分なりによく感じ、考えている」という様子がみられることを重要視しましょう。

なかには大きな音が苦手な子や集団が苦手な子もいるため、間違ったアプローチや無理強いは逆効果になってしまうこともあります。お子さんに対して成果を求めすぎず、寄り添ってあげたり一緒に楽しんだりしていくことが大切です。

リトミック教室の選び方

まずはリトミック教室の場所から考えて、通える範囲にある教室をピックアップしましょう。いくつかの教室に絞れたら、レッスンの頻度レッスン料教材親の参加の有無などを確認して比較します。

レッスンの頻度は、月に2~4回、1レッスン30~60分のところが多いようです。レッスン料は個人教室か大手かでも大きく異なりますが、相場は月5,000~10,000円程度になります。

教材は個人で購入するものがあるのか、どのようなものを使用するのか、などをチェックしておきましょう。

親の参加については、1~2歳児は基本的に親子レッスン、3歳以降はお子さんのみ、というところが多いですが、これも教室によって異なるため確認が必要です。

また、候補に挙げた教室で体験レッスンや見学が可能であれば、実際に足を運んで教室の環境や指導者の様子、レッスンを受けているお子さんの様子等を見てから判断しましょう。

リトミック教室に通う以外の選択肢として、最近はコロナ禍においてオンラインレッスンが可能な教室も増加しています。自宅でレッスンを受けられるため、近くにリトミック教室がない場合や外出を控えたいご家庭におすすめです。

おすすめのリトミック教室

全国にリトミック教室はたくさんあり、個人から大手までさまざまな教室があります。ここでは各地に教室のある大手の中からおすすめのリトミック教室を3つご紹介します。

カワイ音楽教室

ピアノレッスンでも有名なカワイ音楽教室のリトミックコースは、1歳から4歳までの年齢別コースのレッスンがあります。幼児期以降にもピアノやソルフェージュなどさまざまなコースがあるため、長期的に音楽の力を伸ばすことも可能です。

リトピュア

リトピュアは教室が全国にあるだけでなく、教室と同じレッスンが受けられるZoomレッスンがあります。また、オリジナル教具と月2回配信される動画で学ぶ『リトミックレッスン通信講座』もあり、それぞれの家庭に合った形を選択できる点が特徴です。

リトミック研究センター認定教室

特定非営利活動法人リトミック研究センターが認定したリトミック教室で、全国に約1300の教室があります。センターの養成コースを経て指導資格を得た指導者により、独自のプログラムと教具を使ってレッスンが行われます。

まとめ

リトミックは子どもの成長に大切な要素がたくさんつまっているので、お子さんの豊かな感性を伸ばすサポートのひとつとしてぜひ活用してみましょう。