パイプオルガンと聞くと、もしかするとお葬式の時に奏でられるような暗い曲をイメージする人が多いかもしれません。

しかし、辛気臭い曲ばかりではありません。聴くとワクワクする楽しいオルガン曲もいっぱい!

そこで、今回は明るいパイプオルガン曲5選を紹介します。これらの曲を聴けば、きっとパイプオルガンに対するイメージが変わるはずです。

1-「前奏曲とフーガ ハ長調(BWV 531)」J.S.バッハ

パイプオルガン曲の作曲者として一番最初に名前が浮かぶのはJ.S.バッハでしょう。

多くのオルガン曲を残しているJ.S.バッハですが、この「前奏曲とフーガ 二長調(BWV 532)」は彼らしい荘厳な音色と、ポジティブな雰囲気のメロディーが秀逸です。

前奏曲は、足鍵盤のみで奏でられる高揚感のあるイントロではじまり、上下に動くメロディライン、そして上から駆け下りるエンディングと、まるでジェットコースターに乗っているかのような雰囲気を感じさせます。

それに対しフーガは、思わず踊りたくなるような軽やかなイントロに続き、まさにフーガという感のある鬼ごっこのモティーフが畳み掛けるように流れていきます。なかなか終らず、じらされるエンディングも心憎いですね。

前奏曲

フーガ

2-「トッカータ ヘ長調(BuxWV 156)」ブクステフーデ

バロック時代のオルガン界のアイドルといったら忘れてはいけないのが、このブクステフーデ。

バッハも彼をたずねて3千里ではありませんが、はるばる400キロの道のりを歩いて行きました。そして感動のあまり、時がたつのも忘れ、4週間だった休暇を無断で4ヵ月に延長してしまったと言われています。

「トッカータ ヘ長調(BuxWV 156)」は、「きらびやか」「華やか」という言葉がぴったりの曲。まるでパイプオルガンに後光がさしているような感じすらします。

この神々しいイメージのお陰で、当時ミサで聴いた人々はキリスト教に対する信仰をより強めたに違いないでしょう。途中で短調に変化するところがまたいい差し色になっていて、飽きずに壮大なエンディングまで聴かせます。

3-「Batalla Imperial 」カバニーリェス

スペインのバロック時代を代表するカバニーリェス。活躍した時代が同じなため、スペインのバッハと呼ばれることも時にはありますが、ちょっと雰囲気が違うような……。

パイプオルガンの特徴は、現代のシンセサイザーのように色々な音色を出すことができること。

「Batalla Imperial」は、一台でまるでオーケストラのような多彩な音色が楽しめるというこのパイプオルガンの醍醐味が感じられる一曲です。Batallaは戦いの雰囲気を音楽に模倣した曲のこと。

スペインのパイプオルガン特有の水平に突き出したパイプから出る勇ましい音色は、まるで管楽器で奏でられているよう。バッハに代表される、通常のオルガン音楽とは全く違ったタイプの曲です。

4-「修道院のためミサ曲」フランソワ・クープラン

こちらはフランスバロックから。

ミサ曲と聞くと、堅苦しいものを想像すると思いますが、この「修道院のためミサ曲」は、可愛らしい感じすら漂う肩のこらない明るい曲が全23曲。

クープランは別に「教区のためのミサ」という曲集も残していますが、こちらは少々お葬式感があるので、明るい曲というときは、こちらの修道院の方がおすすめです。

バッハやブクステフーデのような重厚さはなく、かといってカバニーリェスのように突き抜けてもいなく、程よい小粋な感じがまさにフレンチ!

ミサ曲といっても、修道院というクローズな空間で奏でられる音楽なので、若干リラックス感があるのでしょう。

5-「弦楽四重奏曲第11番 変ホ長調 K.171」モーツァルト/編曲ジャック・ファン・オールトメルセン

ご存知モーツァルトの弦楽四重奏の名曲を2015年に亡くなったオールトメルセンが、パイプオルガンの連弾曲に編曲。

バリエーション毎に次々と新鮮な雰囲気が表れ、一粒で何度も美味しい曲となっています。

たった四つの手だけで、こんなに表現豊かなこの曲、パイプオルガンの楽しさがひしひしと伝わってきます。

聴くと是非一度弾いてみたい!と思ってしまうかもしれませんよ。ちなみにリンク先のビデオの手前側の方が、故オールトメルセンご本人です。

王道のドイツバロックから、南欧の作曲家、そして連弾曲まで、楽しげなパイプオルガン曲を5曲紹介しました。

このように教会内だけにとどめておくにはもったいない、純粋に音楽として楽しめる曲もたくさんあるパイプオルガン。

もっと気軽に楽しんでみませんか?