ステージマネージャーとは?【コンサートの舞台監督の仕事】

2019/07/25
音楽家の生活

通称「ステマネ」で知られるオーケストラのステージマネージャーは、コンサートのスムーズな進行のために環境を整える、いわば舞台監督。舞台裏の責任者であり、業務は多岐にわたります。そこで、具体的な仕事内容、ステージマネージャーになるにはどうしたらよいか、音楽大学の卒業資格は必要か等の疑問にお答えします。

 

ステージマネージャー(通称:ステマネ)の役割

ステージマネージャーというと、一般的にオーケストラのステマネのイメージが強いですが、ソロリサイタル、アンサンブルといった小規模の演奏会を統括することもあります。
各コンサートにおいて、演奏家が最高の演奏を披露するのが使命であるならば、ステマネに与えられたミッションは、演奏家がベストな状態でパフォーマンスできるような環境を整え、ステージを成功させることです。そのため、舞台監督のような立場でありながら、雑務までをこなすマルチプレーヤーの役割を担います。

また、その場の状況に応じて臨機応変に対応する柔軟さも必要です。演奏家と違って表舞台に立つことはありませんが、コンサートのスムーズな進行管理に欠かせないポジションであることは間違いありません。

 

ステージマネージャーは主に2種類

ステージマネージャーは、所属先の違いにより主に次の2種類に分かれます。

【オーケストラに所属するステージマネージャー】

オーケストラに所属するステージマネージャーは、さまざまある「●●交響楽団」、「●●管弦楽団」等の中から1つの団体と契約し、専属で仕事をします。ステージで演奏をするわけではありませんが、ステマネも立派なオーケストラメンバーの一員です。演奏家たちに同行してコンサートが開かれる場所会場に足を運び演奏家たちに同行し、その現場で業務を行います。

【ホールに所属しているステージマネージャー】

一般的によく知られているのはオーケストラ所属のステージマネージャーですが、実はコンサートホール専属のステマネもいます。いわば勤務先がコンサートホールであり、所属するホールの音響や照明設備等、舞台裏を知り尽くしているプロです。しかし、ステマネを抱えるホールは少なく、あまり存在を知られていないかもしれません。

 

ステージマネージャーの仕事内容をチェック

ステージマネージャーの仕事は実に多種多様です。公演のプランニングから当日の進行管理まで、膨大な仕事量をこなさなければなりません。オーケストラによって内容に違いがありますが、主に次のような仕事をします。

-オーケストラ編成・配置のプランニング
ステージマネージャーの仕事は、オーケストラの公演が決定したときからがスタートです。コンサートのプログラムが決まったら、演奏する曲ごとに楽器編成を確認し、手配をします。オーケストラが所有していない特殊な楽器を使用する場合は借り出しの手配をし、運搬も担当します。また、実際の会場となるコンサートホールの広さや設備に合ったオーケストラ編成が求められるため、ケースによっては綿密な配置図を作成する作業も必要です。

-ホール担当者との事前打ち合わせ
コンサート会場の担当者との細かい打ち合わせもステマネの大切な仕事です。入館時間の確認、楽器や機材の搬出入スケジュール伝達、各楽器の調律依頼のほか、舞台設備の予約などを行います。舞台設備とは、指揮台、譜面台、ひな壇、楽器ごとに必要な椅子といった備品のことです。また、音響や照明も基本的に会場側に任せるので、特別な演出や作業がある場合は、綿密な打ち合わせを行います。

-開演前の準備
公演当日は、開演前に、楽器の搬入、演奏家の楽屋の準備(楽屋割り、弁当・飲み物の用意等も含む)、指揮者に渡す花束の確認、ステージ設営などを行います。本番前のリハーサルでは観客席から演奏を聴き、各楽器の音の響き具合などから最終的な配置を調整するのも、舞台監督としての大切な仕事です。アンコールやカーテンコールについても、本番前に指揮者と相談して決めておきます。

-音響・照明・かげアナウンスの最終確認
ステージの音響や照明などについて、ホール側の担当者と技術面での最終確認を行います。温度変化に敏感な楽器もあるため、空調の調整も慎重に行わなければなりません。また、「かげアナウンス(カゲアナ)」と呼ばれる、観客に対する開演前の注意事項等のアナウンスについて、キューを出すのはステマネの仕事です。この原稿づくりもステマネの仕事で、コンサートによっては、アナウンスも担当します。さらに、場合によっては受付サポートを依頼され、チケット販売やもぎりなどの作業をする場合もあります。

-公演中の仕事
開演したら、タイミングを見て、オーケストラと指揮者を順次ステージへ送り出します。公演中、ステージ転換がある場合は、楽器の移動などのセッティングの変更を行うのもステマネです。移動の位置はリハーサル時に決めておき、バミリをしておくのが一般的です。また、ステマネは、開演時間、曲ごとの演奏開始・終了時間、休憩時間などを随時確認するタイムキーパーの役割も担います。さらに、演奏中にピアノの楽譜めくりを依頼されることもあります。本番中の想定外の事態に迅速に対応できるよう、舞台袖で待機しているステマネがほとんどです。

-終演後の撤収作業
終演後には後片付けの仕事が待っています。楽器の搬出、ステージや楽屋の片付けおよび復帰などです。コンサートホールは退出時間が決められているため、速やかに撤収作業を終えなければなりません。コンサートの規模にもよりますが、通常であれば、1時間以内ですべて後片付けを終えるようにします。

 

ステージマネージャーになるためには

ステージマネージャーになるには音楽大学を卒業し、専門知識を有していなければならないのでしょうか? 答えは「No」です。もちろん、楽器の種類やオーケストラ編成などの基本的な知識は必要ですが、先輩ステマネの仕事を見ながら、実践でおぼえていくスタイルがほとんどと言えます。また、音響や照明の知識があると仕事に役立つので、そういった意味では、大学や専門学校で学ぶのもいいでしょう。さまざまなオーケストラのステージを見るのも勉強になります。
ステマネに求められるスキルの中でも、想定外の事態やアクシデントが生じたときに、臨機応変に対応できる柔軟さがもっとも大切です。そのため、手順が決められた仕事やルーティンワークが好きなタイプの方には向かないでしょう。

 

まとめ

コンサートの良し悪しはステージマネージャーによって決まると言っていいほど、その役割は重要です。表舞台に立つことがない、まさに縁の下の力持ちですが、公演成功の鍵を握るのはステマネなのです。仕事内容は多岐にわたりますが、それだけやりがいを感じられるにちがいありません。苦労がある分、観客を魅了するステージを作り上げたときの感動はひとしおでしょう。ステマネは、華やかな舞台を裏で支える素敵な職業なのです。

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