真島俊夫と吹奏楽【宝島と富士山-北斎の版画に触発されて-】

                                   
人物・アンサンブル
公開日時:2020/03/31
 
更新日時:2020/04/29
                       

吹奏楽コンサートで常に高い人気を誇る「宝島」を編曲したのが真島俊夫。日本の吹奏楽界において作曲・編曲共に活躍し、大きな足跡を残しました。

本記事では真島俊夫の生涯と作品についてご紹介します。

真島俊夫の生涯

真島俊夫は1949年2月21日、山形県鶴岡市で生まれました。
 
子供の頃からクラシック音楽に親しみ、学生時代には吹奏楽と出会い、トロンボーンを演奏していました。神奈川大学工学部を中退し、ヤマハ・バンド・ディレクターズ・コースに入学。和声法や作編曲法を学び、吹奏楽のオリジナル作品を作るようになります。
 
1985年、吹奏楽のための交響詩「波の見える風景」が全日本吹奏楽コンクール課題曲に採用され、その名が広まりました。
 
日本的な題材をテーマにした「富士山(Mont Fuji) ー北斎の版画に触発されて」「三つのジャポニスム」「鳳凰が舞う~印象:京都、石庭、金閣寺~」は人気が高く、多くの吹奏楽団によって演奏されています。
 
また、吹奏楽アレンジにも実力を発揮し、「宝島」「オーメンズ・オブ・ラブ」「モリコーネ・パラダイス」など数多くの楽曲が、吹奏楽を演奏する学生たちに親しまれています。
 
2016年4月、病気のため惜しまれながら67年の生涯を閉じました。
 

真島俊夫の人気作品「富士山(Mont Fuji)」

真島俊夫は「日本の旋法と西欧のハーモニーの融合」を追求したシリーズを作曲しており、1曲目は「三つのジャポニスム」(2001年)、2曲目は「鳳凰が舞う ~印象:京都、石庭、金閣寺~」(2005年)、そして3曲目が相模原市民吹奏楽団の委嘱で作曲された「富士山(Mont Fuji) ー北斎の版画に触発されて」(2014年)です。
 
日本の象徴ともいえる富士山。”北斎の版画に触発されて”という副題。北斎の版画といえば、かの有名な「冨嶽三十六景」ですね。
ドビュッシーが交響詩「海」の初版譜面の表紙に「冨嶽三十六景」を使用したという逸話は有名ですが、真島俊夫もまたドビュッシーを敬愛していました。
 
ホルンが堂々と演奏するテーマ、江戸の町の賑わいを描写するかのようなパーカッション、そこには常にどっしりと雄大な富士山の情景が垣間見れます。
9分という長尺ながら聴く者を飽きさせない構成で、後半の盛り上がりには胸が熱くなりますね。
真島俊夫作品の真骨頂ともいえる作品で、海外でも日本国内でも人気が高いのも頷けます。

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真島俊夫が広く知られるきっかけとなった楽曲「波の見える風景」

真島俊夫の名が広く知られるようになったきっかけは、1985年度全日本吹奏楽コンクールの課題曲となった「吹奏楽のための交響詩 波の見える風景」と言えるでしょう。
 
穏やかな波を思わせる序章、波のきらめきを思わせるグロッケンとビブラフォンのアルペジオにのせて奏でられるオーボエの美しいメロディ。
荒れる海、輝く海、様々な波の表情を見せるかのような場面転換、最後は壮大に盛り上がって終わります。
 
この曲は、その後新たに「波の見える風景(改訂新版)」として出版され、多くのコンサートで演奏されています。
 
真島俊夫作曲の吹奏楽コンクール課題曲は、他に「コーラル・ブルー~沖縄民謡「谷茶前」の主題による交響的印象~」と「五月の風」があります。
「コーラル・ブルー」は沖縄民謡を主題とした南国調の華やかな曲、「五月の風」は爽やかで品のあるコンサート・マーチで、やはりいずれも吹奏楽コンサートで演奏される人気曲となっています。

コーラル・ブルー

五月の風

 

真島俊夫は吹奏楽アレンジでも人気

真島俊夫は吹奏楽のアレンジでも手腕を発揮しました。
なんといっても格別の人気を誇るのは「宝島」です。

他にも、ジャズでは「キャラバン」「酒とバラの日々」「ブルーゼット」「スペイン」、クラシックではドビュッシーの「喜びの島」サン=サーンスの「序奏とロンド・カプリチオーソ」、ラヴェルの「ダフニスとクロエ」などが有名です。
 
メドレーでは「ディズニー・メドレーⅢ」「カーペンターズ・フォーエバー」「美空ひばりの思い出」など、幅広い年代の聴衆が楽しめる構成の名メドレーをアレンジしました。
 
ここでは、ジャズのスウィング・ジャズの全盛期にビッグ・バンドを率いて活躍したカウント・ベイシーに捧げたメドレーを聴いてみて下さい。

トリビュート・トゥ・カウント・ベイシー・オーケストラ

また、真島俊夫のアレンジでぜひ聴いて頂きたいのが「トリステーザ」です。
「トリステーザ」はブラジルのサンバの名曲で、耳にしたことがある方も多く、明るく楽しい気持ちになれる曲ですが、実はトリステーザの意味はポルトガル語で”悲しみ”。歌詞もとても絶望的なのです。
 
真島俊夫は編曲で、その歌詞の悲しみまでも表現しました。ラテン・パーカッションと金管セクションが華やかに演奏している中にも、どこか切なさや寂しさを感じませんか?

トリステーザ

 

まとめ

真島俊夫は生前ワインとタバコをこよなく愛し、ダンディで柔らかい雰囲気を持ち、多くの学生や吹奏楽関係者に慕われていました。
早すぎる死を惜しむ声が多く、2017年にはメモリアル・コンサートが開かれ、真島俊夫の名曲が次々演奏されました。
 
吹奏楽の楽しさ、奥深さを多くの演奏者に伝え続けた真島俊夫。
彼の遺した数多くの作品はこれからも吹奏楽界で愛され、演奏され続けていくでしょう。

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