全国常連校が何度も入れ替わっている中国支部の中でも、今注目したい強豪校を5校ご紹介します。数多くの名演を残している出雲北陵高等学校吹奏楽部や、2016年から4年連続で全国大会に出場している明誠学院高等学校吹奏楽部など、個性豊かな学校揃いです。ぜひチェックしてみてください。
案内人
- 川島光将指揮者・作曲家・編曲家 元・中学高等学校音楽教員、吹奏楽顧問 吹奏楽指導者協会・認定指導員 音楽表現学会会員 K MUSIC GROUP代表 現在はオーケストラ、吹奏楽、合唱、声楽など音楽全般の指導にあたる。
目次
中国支部の吹奏楽強豪高校を一挙紹介!
中国支部はかなり競争率が高い地域です。
今では全国大会常連校が固定しつつありますが、過去に何度も常連校が入れ替わっています。
しかし、競争率が高いおかげで演奏技術を高め合うことができ、学校の個性も伸びてきました。そんな中国支部の吹奏楽強豪高校を5校ご紹介します。
出雲北陵高等学校吹奏楽部
ルイ・ブージョワーの讃歌による変奏曲/C.T.スミス
実績
吹奏楽コンクール全国大会は13回出場。そのうち金賞は2回のみですが、それ以上に名演を多く残しているレジェンド級の吹奏楽強豪校です。
2015年から連続で全国大会出場を果たしているので、今年も勢いそのままで全国大会に出場することが予想されます。
特徴
『変わらぬ毎日、それが必ず力になる!』がモットーの出雲北陵高等学校吹奏楽部。全日本吹奏楽コンクールはもちろん、全日本アンサンブルコンテストに、全日本マーチングコンテスト、日本管楽合奏コンテストでも全国大会に何度も出場しています。
受賞歴も素晴らしいのですが、何より伝説級の名演に注目が集まっています。
- 2008年:デュオニソスの祭り
- 2012年:歌劇《ローエングリン》 より エルザの大聖堂への行列
- 2013年:トッカータとフーガ ニ短調 BWV565
- 2015年:ルイ・ブルジョアの讃美歌による変奏曲
吹奏楽ファンにはたまらない名曲揃いですね。
現顧問の原田実先生曰く、毎年自由曲選びは困難だそうです。
確かに毎年タイプの違う自由曲を選曲されている印象があります。
その一方で課題曲の傾向は決まっていて、ここ10年ぐらいは2016年をのぞいて全て課題曲Ⅴ(現代曲)を選曲されていますね。
今年はどの課題曲、自由曲を選ぶかも注目です。
岡山学芸館高等学校 吹奏楽部
巨人の肩にのって/ピーター・グレイアム
実績
吹奏楽コンクール全国大会に17回出場し、そのうち6回金賞を受賞。2010年から9回連続(三出の年は除く)で全国大会に出場しています。2017年からは3年連続で金賞を受賞している強豪校です。
特徴
1974年創部の大変歴史のある吹奏楽部です。
全日本吹奏楽コンクールの他に、全日本アンサンブルコンテスト全国大会にも15回出場し、金賞を3回受賞しています。
活躍は国内にとどまらず、2013年にはミッドヨーロッパ国際青少年吹奏楽コンクールに出場し、総合1位グランプリを獲得しました。
また、「交響曲第3番/バーンズ」「交響曲「モンタージュ」/グレイアム」「巨人の肩に乗って/グレイアム」など数々の名演を残してきた学校としても有名です。
コンクール以外にも定期演奏会などにも力を入れており、2020年は初の3回公演でライブ配信も行いました。
SNSなどで活動情報を配信しているので、ぜひチェックしてみてください。
明誠学院高等学校 吹奏楽部
喜歌劇「メリー・ウィドウ」セレクション/F.ハーレル
実績
吹奏楽コンクール全国大会には10回出場し、金賞も受賞しています。
2016年からは4連続で出場しており、すっかり全国大会常連校となりました。
特徴
明誠学院高等学校吹奏楽部といえば、まるでオーケストラのような本格派なサウンドが特徴です。
過去の自由曲を見ても「交響詩《海》 より 第3楽章 風と海との対話/ドビュッシー」「幻想交響曲よりⅤ/ベルリオーズ」「バレエ音楽《ダフニスとクロエ》第2組曲/ラヴェル」など、管弦楽曲の名曲を選曲しています。
明誠学院高等学校には特別芸術コースがあり、その中に吹奏楽系のコースがあるのでため本格的に音楽や楽器奏法を学べる環境が整っています。
これが明誠学院サウンドの秘訣でしょうね。楽しそうにのびのび演奏しているのも印象的です。
そんな明るく楽しい明誠学院高等学校吹奏楽部の活動をブログやYouTubeで見ることができるので、ぜひチェックしてみてください。
おかやま山陽高等学校吹奏楽部
宝島/和泉宏隆
実績
吹奏楽コンクール全国大会出場は7回で、金賞も1度受賞しています。
全国常連校になりつつありましたが、2010年からは中国支部大会に出場するも、惜しくも代表は逃してきました。
特徴
創部は1990年と、他の学校と比べると新しい部活です。
最初は部員3名からのスタートで、当初は楽器指導の先生もいらっしゃらなかったそうです。
しかし、その2年後には中国支部大会に出場し金賞を受賞するという快挙を成し遂げます。
その後の目覚ましい活躍で、今ではすっかり中国支部で名のある吹奏楽強豪校となりました。
コンクール以外の活躍も目覚ましく、定期演奏会、養護施設や小学校訪問なども積極的に行なっています。
オーストラリア、シアトル、ロサンゼルスなどの海外演奏旅行にも積極的に参加し、大成功をおさめています。
就実高等学校 吹奏楽部
ハイスクールミュージックフェスタ in Setouchi
実績
1979年に全国大会に初出場し、見事金賞を受賞しています。
そこから2019年までに全国大会に計15回出場。そのうち金賞を3回受賞している強豪校です。
2015年からは惜しくも代表には選ばれておりませんが、必ずや近いうちに全国の舞台に戻ってくるでしょう。
特徴
かつては全国大会常連校でしたが、中国支部大会にも出場できない年があるなど、大きな波を乗り越えて現在の就実高等学校吹奏楽部があります。
2020年はコロナ対策のため、吹奏楽部は全体練習ができない状況になりましたが、休校中に吹奏楽部全員でリモート演奏の動画を作り、話題になりました。
公式YouTubeチャンネル概要欄にはこう書かれています。
『みんなの気持ちを一つにして皆さんへ元気をお届けします!
日々全力!日々前進!』
頑張る子どもたちの姿を見ると、心から応援したくなりますね。
修道高等学校スクールバンド班
バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲より 夜明け、全員の踊り/ラヴェル
実績
全国大会初出場は2002年で、これまでに4回出場しています。
2011年からは全国大会には出場していませんが、中国支部大会連続金賞記録は2000年より現在まで続いています。
特徴
修道高等学校は男子校であり、校是に『知徳併進』を掲げる全国屈指の進学校でもあります。吹奏楽強豪校の中ではやや異例の学校と言えるでしょう。
2002年の全国大会初出場で演奏した「スペイン狂詩曲/ラヴェル」は、今でも名演とされています。
その後、2011年に日本吹奏楽指導者クリニックにも出場し、ますますその名が全国に広がっていきました。
選曲に特徴があり、特に課題曲は他の学校とは少し違う曲を選ぶ傾向にあります。
なかなか聴く機会のない課題曲が聴けるのはありがたいですね。今年は久しぶりに全国大会で演奏を聴きたいものです。
まとめ
改めて振り返ると中国支部のレベルと競争率の高さがわかりますね。
コロナ禍でも、生徒たちが試行錯誤しながら元気に活動している姿を見ると胸が熱くなります。各学校のSNSや動画で気軽に演奏を聴くこともできるので、ぜひチェックしてみてください。