クラシック界最大の戦犯「鼻から牛乳」問題

「ちゃらり~、鼻から牛乳~」と書くと、ほぼ100%の日本人が脳内でメロディー付きで歌えると思います。
そうです、その歌の原曲こそ、バッハ作曲の「トッカータとフーガニ短調」。とても厳粛かつ重厚な名曲で、神聖な気持ちで聴くべきバッハの名曲なのですが、一般的な日本人にとっては「鼻から牛乳」以外の何物にも聴こえません。きっと今バッハが生きていたら名誉棄損で訴訟ものでしょう。

教科書にも載っている!日本の有名なクラシックの替え歌

でも日本人は、クラシック音楽に歌詞を付けるのが昔から大好きです。代表的なものは(「鼻から牛乳」以外で)、言わずもがな、ドヴォルザーク作曲の交響曲第9番「新世界より」の二楽章です。日本人が大好きなクラシック曲のひとつで、きっと誰もが一度は耳にしたことがあるでしょう。

イングリッシュホルンが奏でるあの有名なメロディーに、「遠き山に日は落ちて~」と歌詞をつけて歌える日本人は多いと思います。何せ小学校の授業で習うし、キャンプファイヤーを囲いながら歌う定番曲です。
上記の他にも、例えばベートーヴェン作曲の交響曲第9番第四楽章の「歓喜の歌」に、日本語の歌詞を付けたものも存在します。「晴れたる青空 漂う雲よ~」というやつです。筆者はこれを小学校の卒業式で歌いました。
まぁこの「歓喜の歌」は、原曲にもともとドイツ語の歌詞が付いているものですので、替え歌というよりも訳詩と言えるかもしれません。(正確な和訳にはなっていないにしても。)

※12:45くらいからが該当の箇所です。
しかしこれらは、そもそも音楽の教科書に載っているものもあるくらいですから、全然真面目な部類です。
今回はそんな「クラシックの替え歌」の中でも、アマチュアオーケストラ所属の筆者が仲間内でよくネタになるものをいくつかご紹介したいと思います。

覚えやすくするためにわざわざ歌詞を付けちゃったパターン

まぁアマオケがネタにするクラシックの替え歌なんて、大体がふざけたものなのですが、例えば、ベートーヴェン作曲の交響曲第5番「運命」があります。

この「運命」も、あまりに有名すぎるが故、替え歌のレパートリーが多いクラシック曲のひとつですが、今回ご紹介するのは、第一楽章の冒頭に登場する1番有名なあのメロディーに歌詞をつけたもの。
「朝ごはーーん、昼ごはーーん、おやつも!ご!はーーーん、(タメ)夜ごはーーーーーん」
どうでしょう、脳内再生余裕だったでしょう。これは上海太郎さんという方が考えた逸品すぎる歌詞をアレンジしたもののようで、これを聞くとやはり「運命」という名曲中の名曲が「ごはん」というイメージに直結するという、何とも迷惑な弊害が生まれます。
もともとこの歌詞は、作詞した上海太郎さんが「楽譜が覚えられないから」という非常に合理的な理由で付けられたものだそうです。それにしては面白すぎますが。

学生オーケストラでは自由すぎる替え歌が生まれがち

先ほどの理由とはちょっと違いますが、筆者が以前所属していた学生オーケストラで、指揮者の先生が練習中に、モーツァルトの交響曲第40番第一楽章冒頭に「ミヨちゃんミヨちゃんどこで~す?はいはいここで~す~よ~」と歌詞を付けて歌い出したことがあります。
各楽器の掛け合いを演奏者へ分かりやすく説明するために、わざわざ即興でこの歌詞を考えたようです。これに対し「ミヨちゃんって誰だよ…」と演奏者が一瞬ざわつきましたが、ツッコむタイミングを逸してそのまま練習を継続したことが、今でも忘れられない思い出です

上記はかなりシュールな例ですが、学生オケは全国共通で、何かしらクラシック曲の替え歌がネタになるようです。そしてその大半が酒ネタか肉ネタか留年ネタかハゲネタです。実に学生らしいですね。
皆様も周りに学生オケ出身者がいたら、おすすめの替え歌を教えてもらうといいでしょう。恐らく確実に酒ネタか肉ネタか留年ネタかハゲネタでしょう。
それでは筆者からも、学生オケ時代に友人の誰もが知っていた替え歌の中から、代表的なハゲネタをご紹介しましょう。

聴くのには覚悟が必要 一度聴いたらそうとしか聴こえなくなる逸品の替え歌

ブリーフ&トランクスというアーティストがその昔、やはりバッハの「小フーガト短調」にふざけた歌詞をつけました。曲名は「小フーガハゲ短調」。
このタイトルを聴いただけで大体どんな歌詞か予想できるかと思いますが、わざわざ聞きたいという方はぜひ下記Youtubeのリンク先をクリックしてみてください。

つくづくバッハが気の毒になりますが、こちらももう二度と純粋な気持ちで「小フーガト短調」を聴けなくなること請け合いです。

そもそもクラシックの替え歌と親和性が高すぎる「ハゲ」

最後に同じくハゲネタの替え歌をご紹介して終わりにします。
え?もういい加減にしてくれ?いいじゃありませんか。筆者だってこれまで多くの替え歌の被害を受けており、もうそうとしか聴こえなくなってしまったクラシック曲が多数存在します。せっかくの機会ですので、読者の皆様も道連れにしようと、この楽しさを知ってもらおうと、純粋な気持ちでご紹介するまでです。
それでは皆様、ブラームスの交響曲第4番の第一楽章の旋律を頭に思い浮かべてみてください。参考としてYoutubeのリンク先もご紹介しておきます。

この曲の冒頭から「ハゲ」という2文字の歌詞をつけて歌ってみてください。意外とどこまでも「ハゲ」のまま歌えます。本当にどこまででも歌えます。途中息継ぎが苦しくなるところがありますが、そこは酔狂な悪友でもひとりかふたり引っ張ってきてもらって、皆で歌えば問題ありません。
地の底から湧き出すような重厚な旋律の「ハゲ」と、天から降り注ぐ神聖な光のような旋律の「ハゲ」がまるで輪唱のような効果を生み、もうこの曲が「ハゲ」にしか聴こえなくなるはずです。

最後に、本当に申し訳ありませんでした

ここまで読んでしまった方は、「もう二度と純粋な気持ちでこれらの曲を聴けなくなってしまったじゃないか、どうしてくれる」ときっとかなりお怒りでしょう。特にご自身がハゲていらっしゃる方には本当に申し訳ないことをしました。訂正は致しませんが、心よりお詫び申し上げます。