最近、YouTubeでも注目度の高い『トイピアノ』。「どうせただのおもちゃのピアノでしょ?」と思って侮ってはいけません。きらびやかで幻想的なトイピアノの世界をのぞき見れば、あなたもとりこになってしまうことでしょう。
それではさっそく、ピアノ歴30年以上の筆者がトイピアノの特徴や魅力などについて詳しく解説します。
案内人
- 山本知恵ピアノ歴30年以上、他にもクラリネット、ヴァイオリンの演奏経歴を持つ音楽と美術を愛するフリーライター。好きな曲はベートーヴェンのピアノソナタ第8番「悲愴」とヘンデルのオラトリオ「メサイア」。
トイピアノってどんな楽器?
トイピアノとは、普通のアップライトピアノやグランドピアノの形を模してつくられた、小さなピアノです。その多くは背丈が70cm以下で、赤ちゃんや小さな子供でも弾きやすいように設計されています。
ただのおもちゃかと思いきや、アメリカの作曲家ジョン・ケージが「トイピアノのための組曲」を作曲していたり、世界的ピアニストがトイピアノで演奏していたりと、今やトイピアノは前衛芸術の世界ではなくてはならない楽器となっています。
トイピアノの構造
アップライトピアノやグランドピアノは、ピアノ線をハンマーで叩いて音を出していますが、トイピアノの多くはピアノ線の代わりに金属の板や金属の筒をハンマーで叩いて音を出しています。
構造上、ピアノと比べると強弱のコントロールや連打性に劣るところがありますが、最近の有名メーカーが作っている高品質なものについては、操作性がかなり向上しています。
子供も大人も楽しめる!トイピアノの魅力とは
それでは、ここからは筆者の考えるトイピアノの魅力を熱く語っていきます!
幻想的でかわいらしい音色
金属を叩いて音を出す鍵盤楽器には、トイピアノの他にも「チェレスタ」があります。「くるみ割り人形」のなかの「こんぺいとうの踊り」でメロディーを奏でている楽器です。チェレスタとトイピアノの構造は似ているので、同じような神秘的な音色を楽しめます。
トイピアノを作っているメーカーはたくさんありますが、なかでもカワイやシェーンハットが人気!特徴は以下の通りです。
カワイ=透き通ったかわいい音
シェーンハット=神秘的で少し物悲しい音
「トイピアノといえばこの人」と言えるほど世界的に高く評価されているマーガレット・レン・タンはシェーンハットのトイピアノをたびたび演奏しています。
カワイのトイピアノを使って華麗なテクニックを披露している角野隼斗(Cateen かてぃん)の動画もご紹介。聴きなれた「トルコ行進曲」もトイピアノで奏でればこんなにキラキラとしたかわいい曲になるんですね!
子供の情操教育に最適
トイピアノはサイズ的にも子供にぴったりなので、小さな子供への誕生日プレゼントやクリスマスプレゼントに大変人気です。
ヴァイオリンには小さな子供の手に合わせて作られた分数楽器というものがありますが、残念ながらピアノにはそういった子供向けの楽器がありません。そこで、おすすめしたいのがトイピアノ。小さな子供が鍵盤楽器に親しむ良いきっかけを作ることができます。
演奏を楽しむために一番大切なのが「楽しい!」という気持ちです。トイピアノを使って演奏するのが好きになった子供は、ピアノへの移行もスムーズになります。情操教育の一環として保育園や幼稚園に置くのも良いでしょう。
「子供にいつからピアノを触らせたらいいの?」とお悩みの方は下記記事も参考にしてみてください。
インテリアに取り入れても素敵
トイピアノの魅力は音色だけでなく、大きさや見た目にもあります。あの独特のかわいらしいサイズは、子供よりもむしろ大人を魅了するのではないでしょうか?演奏を楽しむのはもちろん、おしゃれなインテリアにもなります。自分の部屋にトイピアノがあれば友達にも自慢できちゃいそうですね。
【リーズナブル】おすすめのトイピアノ紹介
ここまで読んでトイピアノを弾いてみたくなった人のために、比較的リーズナブルなトイピアノを3台紹介します。品質の良いものをセレクトしたので、プレゼントにもおすすめです。
Melissa & Doug learn-to-playピアノwith 25キー
メリッサ&ダグのピアノは、色鮮やかなブルーが特徴的。「メリーさんのひつじ」や「きらきら星」が弾ける色分けされた楽譜がセットで付いているので、子供へのプレゼントにもぴったりです。メーカー推奨年齢は3歳以上となっています。
KAWAI グランドピアノ ナチュラル
32鍵盤で少し値段が張りますが、先ほど紹介した角野氏が実際に演奏し、紹介しているトイピアノです。トイピアノは普通のピアノのように音程が正確でない場合も多いのですが、こちらはさすがのカワイ製品。ピッチも正確で、ピアノと合わせて弾いても違和感がありません。
Schoenhut マイ・ファースト・ピアノ 2
トイピアニスト宇野正志(ウーーノ)は、シェーンハットのトラディッショナル・スピネット(25鍵盤)で演奏しています。同一商品を紹介したかったのですが、残念ながらどのお店も販売終了…。代わりに、シェーンハットの製品から同じ25鍵盤のものを紹介します。
宇野氏の演奏動画もぜひご覧ください。
【高級】おすすめのトイピアノ紹介
ここからは、さらに品質のよいハイレベルなトイピアノを紹介します。ここまで読んですっかりトイピアノの虜となってしまった…という人は、ぜひ検討してみてくださいね!
KAWAI meets HIDA ミニグランドピアノ
2020年に創業100周年を迎えた老舗家具メーカー飛驒産業株式会社とカワイの豪華なコラボ商品。シックな濃いブラウンで木目の美しい、なんともラグジュアリーな一品です。グランドピアノ型で32鍵盤の本格的なトイピアノで、対象年齢は3歳以上です。
白川ピアノ調律所 ヴァイゼンバッハ
ヴァイゼンバッハは鍵盤の数が44もある大きなトイピアノです。普通のピアノの約半分の鍵盤数を誇ります。ただし、このピアノはすでに生産が終了しており、市場に出回っているのは中古品のみ。また、マホガニーと黒色で25台ずつあるというヴァイゼンバッハは、2色あわせてもこの世に50台しかありません。貴重なピアノなので、購入したい方は見かけたら急いでゲットしてくださいね!販売時には、税込78,000円で売っていたようです。
Schoenhut リアル・ストリングス
シェーンハットのリアルストリングスは、なんと金属ではなくピアノ線を使用した本格モデル!もはやトイピアノというより小型ピアノといっても過言ではありません。先ほどのヴァイゼンバッハと同じく44鍵盤で、アップライト型とグランド型があったそうですが、こちらも残念ながら販売店舗が見つかりませんでした…(生産が終了している可能性が高い)。もしお店などで見かけた方はラッキーですね。
まとめ
今回は、大人から子供までを虜にする、トイピアノについて紹介しました。
今や現代音楽にも欠かせないアートでおしゃれな楽器。手もとに置いて楽しみたいと思った人は、音色の違いや価格の違いを踏まえて、理想のトイピアノをじっくり探してみてくださいね。