「音楽の父」と呼ばれるバッハは知っていても、彼の名を冠したピアノコンクール「日本バッハコンクール」の存在を知る人は、意外と少ないのではないでしょうか。

実は、幼児から大人まで、毎年7,000人ほどが参加する大きな大会なんです。2023年には13回目の開催を迎え、注目度もレベルもますます高まっています。

  • 日本バッハコンクールってどこであるの?
  • 日本バッハコンクールのレベルは?
  • 課題曲はどんな曲?

今回は日本バッハコンクールにまつわる上記のような疑問に加え、同コンクールの魅力や日程、課題曲などを解説します。

日本バッハコンクールとは?

日本バッハコンクールの由来である音楽家・J.S.バッハは、生涯を通じて1,000以上の曲を遺しました。『G線上のアリア』や『トッカータとフーガ』などは特に有名ですね。ただ、華やかなリストやショパンと比べ、少々地味で堅苦しいイメージを持っている人は少なくないでしょう。

一方で、第一線で活躍する演奏家たちが「最近、バッハの音楽と向き合っています」とインタビューで語るのもよく見聞きします。それはなぜなのか?彼・彼女らからは、初心に帰ることができる、敬虔な気持ちになれる、誠実な気持ちになれる、そんな声が多いのです。

そう、バッハの音楽は、まさにクラシック音楽の原典といえます。そして、彼の名を冠した日本バッハコンクールのコンセプトは「音楽の原典を学ぶ」こと。ピアノを学ぶ子供から大人まで、幅広い世代の方に、もっとバッハの音楽と向き合ってほしいという気持ちが込められた本コンクールは、2023年に第13回を迎えます。

大会の規模とレベル

日本バッハコンクールは、全部門あわせて7,000人近くが参加する、国内随一の規模の大会です。年齢に応じた幅広い部門が設けられており、一般部門には音楽を専門的に学んでいない方向けの区分もあるなど、門戸の広い大会となっています。

審査は地区大会と全国大会の2段階で、地区大会の通過率は毎年50%ほど。また、地区大会と全国大会で同じ曲を演奏してもよい、暗譜が必須でない部門もありといった点で、比較的やさしいレベルの大会といえます。

2021年度・第12回大会の結果

前回大会の結果は、公式サイトにて確認できます。

幼児B、小学3,4年B、小学5,6年B、 小学5,6年C、中学生A、一般B
幼児A、小学1,2年A、小学1,2年B、小学3,4年A、小学3,4C、小学5,6年A、小学5,6年C、中学生B、高校生A、高校生B、大学・大学院、一般B
オンライン大会

皆さんの今後の活躍が楽しみですね。また、公式サイトでは各部門の優勝者のインタビューや演奏動画も公開されています。

2022年度・第13回日本バッハコンクールが開催中!

2023年2月現在、2022年度・第13回日本バッハコンクールが開催中です!

すでに地区大会は終わり、全国大会が進んでいるところ。今回も非常に盛り上がりを見せています。

第13回日本バッハコンクール公式サイト

第13回日本バッハコンクールの種類と審査部門

本コンクールには2種類の開催方法があり、それぞれで年齢に応じた部門が設置されています。詳細は次の通り。

コンクールの種類

コンクールの開催方法には、実地大会と動画大会の2種類があります。

【実地大会】
実際の会場にて審査される方式です。国内各地で地区大会が開催され、その通過者が全国大会に進みます。

【動画大会】
予選では提出した演奏動画が審査され、優秀賞受賞者は、東京および大阪で開催される本選に出場できます。

コンクールの審査部門

審査部門は実地大会、動画大会共通です。

部門

参加資格

幼児

A部門/B部門

未就学幼児

小学1・2年

A部門/B部門

該当学年

小学3・4年

A部門/B部門

該当学年

C部門

小学4年生以下の飛び級受験も可

小学5・6年

A部門

該当学年

B部門

該当学年

C部門

小学6年生以下の飛び級受験も可

中学

A部門

該当学年

B部門

中学生以下の飛び級受験も可

高校

A部門

該当学年

B部門

高校生以下の飛び級受験も可

大学・大学院

 

大学・大学院・短大・専門学校等に在籍

一般

A部門

学生を含む18歳以上。また、現在ピアノの指導や演奏で報酬を得ていないこと、ピアノ系の学科への在籍歴がないこと、ピアノ専攻に準ずる個人レッスンを学内で受けていないこと

B部門

18歳以上のうち、大学・大学院・短大・専門学校等に在籍していない

A・B・C部門の違いは何?

上の表にはA・B・Cの3種類の部門があります。これは課題曲の難易度によって分かれていて、A<B<Cの順に難しくなっていきます。

第13回日本バッハ音楽コンクールの日程と会場

実地大会

実地大会は地区大会と全国大会の2段階に分かれており、国内各地で開かれる地区大会の受賞者が全国大会へ進むという方式になっています。

地区大会日程

地区大会は2022年10〜12月に開催されました。詳細と結果については公式サイトをご確認ください。

全国大会日程

日時

2023年2月4日、5日、11日、12日

会場

IMA ホール、浜離宮朝日音楽ホール、浜離宮朝日小ホール、ベルサール虎ノ門、よみうり大手町ホール、王子ホール

部門ごとの時間割

公式サイトを要確認

動画大会

動画大会は予選と本選の2段階に分かれています。

予選

動画大会の予選については、2022年11月15〜24日の間に提出された動画で審査が行われ、12月に結果が発表されました。詳細は公式サイトをご覧ください。

本選

動画大会の本選は1月下旬に開催されました。

【東京本選】

日時

2023年1月21日、22日

会場

ベルサール虎ノ門、Hakuju ホール

部門と時間割

幼児~小学5・6年部門

中学~一般部門

【大阪本選】

日時

2023年1月28日、29日

会場

住友生命ホール いずみホール

部門ごとの時間割

幼児~小学5・6年部門

中学~一般部門

第13回日本バッハコンクールの課題曲

部門

楽曲

幼児A

民謡「ぶんぶんぶん」(M.フレ)

民謡「かっこう」(M.フレ)

みぎてさんいらっしゃい(三善晃)

3度のカノンⅡ(岩間稔)

幼児B

さあ、おどろう(民謡)

おめでとうまりこさん(中村佐和子)

あぁー露がぽつりぽつりと落ちていく(スロヴァーッコ民謡より)

民謡Ⅱ(M.フレ)

小学1・2年A

アリエッタ(D.G.テュルク)

ねこのダンス(ヤマハ曲)

ねむれ、よい子よ(民謡)

走れよ自転車(中村佐和子)

小学1・2年B

ガヴォット(J.G.ヴィットハウアー)

さすらい(F.P.シューベルト)

キンコンカン、鐘がなる(民謡)

スケルツァンド(A.スカルラッティ)

小学3・4年A

スケルツィーノ(G.P.テレマン)

アレグロ(G.P.テレマン)

アリア(J.C.バッハ)

ダンスのうた(民謡)

小学3・4年B

ブーレー(J.クリーガー)

カリヨン(J.P.キルンベルガー)

ロンド(作曲者不詳)

メヌエット(作曲者不詳)

小学3・4年C

インヴェンション(J.S.バッハ)より任意の1曲

小学5・6年A

リゴドン(G.キルヒホーフ)

メヌエット(G.F.ヘンデル)

プレリュード(J.フック)

アングレーズ(C.L.T.グレーザー)

小学5・6年B

インヴェンション(J.S.バッハ)より任意の1曲

小学5・6年C

シンフォニア(J.S.バッハ)より任意の1曲

フランス組曲(J.S.バッハ)より任意の2曲(同じ組曲から2曲を選択)

中学A

プレリュード(J.S.バッハ)

ポロネーズ(C.P.E.バッハ)

アレグロ(J.G.クレープス)

インヴェンション(J.S.バッハ)より任意の1曲

中学B

シンフォニア(J.S.バッハ)より任意の1曲

フランス組曲(J.S.バッハ)より 任意の2曲(同じ組曲から2曲を選択)

平均律クラヴィーア曲集1・2巻(J.S.バッハ)より任意のフーガのみ

高校A

シンフォニア(J.S.バッハ)より 任意の1曲

フランス組曲(J.S.バッハ)より任意の2曲(同じ組曲から2曲を選択)

平均律クラヴィーア曲集1・2巻より任意のフーガのみ (J.S.バッハ)

高校B

パルティータ(J.S.バッハ)より任意の曲(同じ組曲から複数曲を選択可)

イギリス組曲(J.S.バッハ)より任意の曲(同じ組曲から複数曲を選択可)

平均律クラヴィーア曲集1・2巻より任意のプレリュードとフーガ(J.S.バッハ)同一のBWV番号のプレリュードとフーガを続けて演奏すること

大学・大学院

J.S. バッハの作品の中から任意の曲(バッハ=ジロティ編などの編曲作品不可)

一般A

J.S. バッハの作品の中から任意の曲(バッハ=ジロティ編などの編曲作品不可)

一般B

J.S. バッハの作品の中から任意の曲(バッハ=ジロティ編などの編曲作品不可)

第13回日本バッハコンクールのチケット情報

会場には無料で入れますが、混雑した場合には参加者と付き添いの方が優先となります。また、座席数の都合で入れないケースもある点には注意してください。

第13回日本バッハコンクールの結果

コンクールの結果は、詳細が分かり次第、当サイトにて紹介予定です。

まとめ

今回紹介した日本バッハコンクールは、数あるピアノコンクールの中でも比較的挑戦しやすく、バッハをはじめとしたバロック音楽への学びを深められる素晴らしい大会です。

2022年度大会はもう大詰めとなっていますが、ピアノを学んでいる方は、次回への参加を検討されてみてはいかがでしょうか。