日本人が行きたい海外旅行先では常に上位に位置し、のんびりした雰囲気と独特な民族文化を持つハワイ。ウクレレはハワイで生まれ、ハワイの文化と共に継承、発展してきた楽器であり、現地の人々にとってはなくてはならない楽器です。ここまで地域に定着し、親しまれてきた楽器も珍しいですが、日本では沖縄の三線が近い立ち位置で地域に根付いています。熱帯の小さな群島という共通点がありますが、やはり海に隔たれているということは、大陸とは異なる文化を創り出し、独自性を残すのに重要な要素なのでしょう。
そんなウクレレですが、実はハワイ起源の楽器ではありません。ポルトガルにて生まれたブラギーニャという楽器が起源とされています。大航海時代にハワイに到達したポルトガル人は、船でも使える持ち運びに便利な楽器として、このブラギーニャを携帯していました。
弦が4本、小さなボディ。ウクレレとの共通点は多いですが、最も大きな違いは木材、弦の材質と配列です。
移民として船に乗ってきたブラギーニャ職人は、その音色に魅せられた現地人の依頼で、楽器製造を始めます。現地にあるコアという木、鉄細工の技術がないためにガット弦を使用しました。しかしガットでは最も低音に当たる弦に見合うサイズが確保できず、仕方なく1オクターブ上のピッチの細い弦を張りました。こうして生まれた「ハワイ製ブラギーニャ」はウクレレという呼称に変わり、ハワイの文化に根付いていきました。
本稿でそんなウクレレを筆者が始めるにあたり、必須な物、あると便利と感じたものについてお話します。
やはり手軽さが売り ウクレレ演奏に必須な物
1.ウクレレ
まあまずこれが無いと、ですよね。ウクレレはその小ささ故に、他楽器と比べ生産コストが抑えられており、初めて買う楽器としてもおすすめです。ボディ材、ネック材は共に同じ材が使われるものが多く、伝統的なハワイアンコアは勿論、マホガニー性やアコースティックギターと同じ材構成のもの、材自体が小さくても製造可能な為、ギターではほぼ使われないような希少材で作成されたものなどがあります。近年ではマンゴーの木で作成したものなどもあり、ウクレレが持つ南国感に一役買っています。素直な構造の楽器故、材による音の変化が顕著であり、複数所持し、場面や気分で持ち替えるのも楽しい楽器です。
ボディサイズも様々で、最も小さく、皆さんのイメージに近いソプラノサイズから、コンサートサイズ、テナーサイズ、チューニングが違うバリトンサイズがあります。コードワークを楽しむだけならソプラノサイズで十分ですが、ソロワークもやりたい方にはコンサートサイズ、またはテナーサイズをお勧めします。
筆者は「KARA」というメーカーの、テナーウクレレを最初に購入しました。2万弱で購入しましたが、普通に使えてなかなか良い音がします。この値段で十分楽しめる楽器が買える手軽さは、やはり大きな魅力です。
2.チューナー
正しい音程で弾かないことには音楽になりません。チューナーは必須です。
ウクレレは弦が伸びやすく、チューニングが安定するまで時間のかかる楽器です。音感を身に着けるためにもしっかりチューニングしましょう。
最近では携帯アプリもリリースされており、お金をかけたくない方や、持ち歩きが面倒な方はそちらを使ってもよいでしょう。
早く上達したいあなたの為に。あると便利な物
1.弦
現代ではナイロン弦が主流なウクレレ。筆者が執筆している他の弦楽器(マンドリン・二胡)と違い、必須項目ではない理由は、とりあえず最初に張ってある弦で1年は遊べるからです。ナイロン弦は劣化こそしますが、金属弦のように錆びによる急速な音質変化が起きません。1年程はあまり感覚的には差のない状態で演奏できるでしょう(それでも張り替えると劣化してたことがよくわかりますが)。
また、ウクレレは他の弦楽器では最低音が張られているはずの4弦に1オクターブ高い弦が張られていますが、近年では1オクターブ低い弦も販売しています。こちらを張ることで低音側の音域が拡張される為、クラシックやジャズの演奏をウクレレで楽しむ場合は有用でしょう。
2.ギターの教則本
ウクレレとギターは運指上の関係性がとても深い楽器です。ウクレレの調弦はギターの1~4弦の5フレットにカポを付けた状態と同じになっています。そのためギターのテクニックやコードワークを反映させやすく、上達の一助となります。
特に、ソロワークとテンションノートの入ったコードワークについては、ウクレレの教則本より効率的に学べる可能性があります。
さいごに
ウクレレというとハワイアンミュージック、というイメージが強く、どこか能天気なイメージがありますが、機能としてはギターに匹敵する柔軟性を持っています。カントリーやジャズ、ケルトにクラシック。オールマイティに、そして手軽に音楽を生活に溶け込ませることができるウクレレは、成人してから齧る楽器としては目を離せない選択肢となるでしょう。