「市民オーケストラに入りたい」理由は人それぞれです。「学生時代に部活動やサークルでオーケストラをやっていて卒業後も続けたいと思っている」「吹奏楽団で演奏した経験はあるけれど、オーケストラもやってみたい」「引っ越し先で心機一転趣味としてオーケストラを始めたい」など。「だけど、オーケストラってそもそもどうやって探せばいいの?」「オーディションはあるの・・・?」等々、疑問を抱いている方も多いことでしょう。私はこれまでに2つの市民オーケストラを渡り歩いてきました。私がどうやってオーケストラを探したのか、どのようないきさつでオーケストラに入ることができたのかをお話したいと思います。市民オーケストラを探したい方にとって、私の経験がお役に立てれば幸いです。
目次
知らない街の市民オーケストラ、どうやって探そう
私は高校卒業後、上京して東京の大学に進学しました。そこで大学院を修了するまで大学オーケストラに所属していました。そのまま東京で就職していれば、大学のOBオーケストラに入っていたと思います。しかし、私が就職先として選んだのはそれまで一度も暮らしたことのない地方都市にある会社でした。
「知らない土地でもオーケストラを続けたい。でもどうやってオーケストラを探したらいいんだろう」そう思っていたところ、「Freude(フロイデ)」というサイトの存在を知りました。このサイトには、全国の市民オーケストラの情報が地域別にまとめられています。さっそく、就職先地域の市民オーケストラを調べたところ、会社近くの音楽ホールを拠点に活動しているオーケストラを見つけました。
オーケストラにも「ご縁」がある
オーケストラのサイトにある過去のプログラムを見て、私の好きな曲、大学オーケストラで演奏したことのある曲がいくつかあるのを見て安心しました。さらに「団員募集」のページを見ると「楽器経験者であれば資格は問わない」とのこと。私は「ぜひこのオーケストラに入りたい」と思いました。
「入団希望者はお知り合いの団員か事務局まで連絡ください」とあったので、入社後に落ち着いてから事務局に連絡すればいいだろう、と考えていました。ところが入社前に会社の人事部の方に会う機会があり、なにげなく趣味の話でこのオーケストラの名前を出したところ、「うちの会社に入っている人がいる。毎回、定期演奏会のお知らせを社内にメールしているからそのときにでも連絡してみるといいよ」とアドバイスがありました。まさに渡りに船です。
入社後、数ヶ月してその人から定期演奏会のお知らせメールが来ました。私の所属する部署の人ではないので直接お会いしたことはなかったのですが、思い切って「オーケストラに入りたいと思っている」と返信しました。すると、「次の練習日に見学に来るといいよ」とお返事がありました。
入団は決まるときにはトントン拍子に決まるもの
練習日当日、練習場所に行くと同じ会社の人が「メールくれた人だね。他の団員にも話は通してあるから」と話しかけてくれました。練習を見学したあとで、希望パートのリーダーともお話をしてその場で入団が決まりました。そのオーケストラには結婚を機に引っ越すまで7年ほど所属しました。縁もゆかりもない土地で、オーケストラを通してたくさんの思い出を作り、友人にも恵まれました。感謝してもしきれません。
はじめてのオーディション
結婚後、私は関東の郊外にある都市に引っ越しました。引っ越しから1年ほど経ち、新しい生活と仕事にも慣れたころ、またオーケストラを再開したいと考えるようになりました。
住んでいる都市にも市民オーケストラがあったので、そのサイトの「団員募集」のページを見てみました。さいわい、私の希望するパートの募集はあったものの「簡単なオーディションがあります」とのこと。「オーディションかあ…楽器は長くやっているけど1年くらいブランクがあるからなあ」と思いつつ、団員募集ページに記載されているメールアドレスにメールをしました。
しばらくしてオーケストラの担当者から返信があり、「今度の練習日に見学に来てください。そのときにオーディションをするので楽器も持ってきてください」とありました。当日、練習見学のあとで私の希望するパートのリーダーが「さっそくですがオーディションをやりましょう」と声をかけてきました。
オーディションに挑戦!しかし…
パートリーダーに「オーディションといっても特定の曲を弾くとかはないので、何か好きな曲、得意な曲を弾いてみてください」と言われたので、前に所属していたオーケストラで弾いていた曲を弾いてみましたが、いかんせん1年のブランクがあったので演奏のほうはお察し、といったところです。オーディションに立ち会った団員の皆さんにも、なんともいえないような顔をされ「こりゃダメだ」と思っていたところ、数日後、案の定「申し訳ないですが、今回はあなたを受け入れることはできません」とメールが来ました。
入団希望の連絡をして多少なりとも時間があったのだからせめて基礎練習だけでもやれば結果は違っていたかもしれません。しかし、ご縁がなかったものは仕方がない。私は「オーディションに時間を取ってくださったことに感謝します」とお礼を伝えました。
あらためて、どんなオーケストラで演奏したいかを考えてみる
オーディションに落ちたのは残念でしたが、たまたまそのオーケストラに合わなかったというだけで私自身が否定されたわけではない、私を受け入れてくれるオーケストラはきっとあるはずだ、と気持ちを切り替えました。
私は、近隣の都市にもオーケストラがあるはずだし、そちらをあたってみようと思いました。当時住んでいた地域は、電車で30分もあれば都心に出られる場所でした。都心のオーケストラを探すこともできたはずですが、近隣で見つけようと思ったのには理由があります。練習に通うなら少しでも近いほうがいい、というのももちろんですが、「地域に密着した活動をしているオーケストラに入りたい」という気持ちが強かったためです。
就職したときに入ったオーケストラは、地方都市にあったため地域のイベントに参加する機会も多くありました。定期演奏会とは違った楽しさや温かみを感じることができるイベントに数多く参加しているうちに、「もし別のオーケストラに移ることになっても、地域イベントに参加しているところに入りたい」と思うようになったのです(都心で活動しているオーケストラにも、地域のイベントに参加しているオーケストラはもちろんあると思います。)
ふたつのオーケストラで迷った末に決断
さっそく近隣の都市のオーケストラを探してみたところ、練習日や団費などの条件が自分に合っていて「よさそう」と思えるオーケストラを2つ見つけました。前回のように入団を断られる場合もあるかも、と考えた私は両方のオーケストラに入団希望の連絡をしました。すると片方のオーケストラから「次の練習日に見学に来てみてください」と返信がありました。
もう片方のオーケストラからも連絡がありましたが、先に連絡をもらったオーケストラの練習日が先にあり、そちらを見学しにいってその日に入団を決めてしまいました。その時点で、もう片方のオーケストラには入団できなくなったという旨を伝えて謝罪しました。理由を詳しく伝えることはしませんでしたが、すみやかに謝罪を伝えたのでその後でトラブルになることはありませんでした。
2つめのオーケストラには4年ほど所属したあと、家庭の事情で退団しました。現在はオーケストラはお休み状態ですが、いつかどこかで再開したいと思っています。
あなたを待っているオーケストラは必ずある!
「市民オーケストラって敷居が高そう」というイメージがあるかもしれませんが、そんなことはありません。あなたの「このオーケストラで演奏したい」という熱意が伝われば、どのオーケストラも暖かく迎えてくれるはずです。あなたにぴったりのオーケストラが見つかることをお祈りしています。