今、世界中を恐怖と混乱に陥れている、新型コロナウイルス。感染拡大を防ぐため、予定されていたコンサートは次々と中止になりました。
また、音楽教室も休業を余儀なくされており、楽器奏者・音楽講師たちは、収入が入らず窮地に立たされています。
この事態をどう乗り切ればいいのか。現在の演奏家の活動と、今できるアイデアをご紹介します。

新型コロナウイルスの影響で仕事が激減!どうする演奏家たち

演奏家のほとんどは、フリーランスで活動しています。中には日々の生活のため、音楽以外のアルバイトを始めた演奏家たちも少なくありません。

日本でも、四月上旬、政府は108兆円の経済対策を示しました。これには、フリーランスを含む個人事業主等への給付も盛り込まれています。

事業収入が前年同月比50%以上減少した個人事業主については上限100万円の範囲内で、前年度事業収入の減少額の給付を受けることができます。

具体的な手続きはまだ示されていませんが、前年度の確定申告は必ず行いましょう!
https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/pamphlet.pdf

演奏家の新しい試み!テレワークや無観客ライブ

テレワーク

新型コロナウイルスは、人々が集まって音楽を奏でる、聴くという喜びを奪っています。

世界各地でコンサートホールが閉鎖となる中で広がっているのが、無観客ライブやストリーミング配信です。

日本でも、この動きは広まってきています。

活動支援につながった!新日本フィルのテレワーク

新日本フィルがテレワークで行った「パプリカ」の演奏が話題となりました。

公演のキャンセルが相次ぎ、活動停止を余儀なくされた団員たち。

政府によるテレワーク推進のニュースで見て、「自分たちもテレワークでやってみよう」と有志で始めたのがきっかけだったそうです。最終的には62人もの団員がリモートで演奏を行い、50万回以上再生されました。

さらに、存続危機にある新日本フィルへの緊急支援として、1000円単位での募金枠を増設。

多くの人に寄付を呼び掛けることに成功しました。

17live(イチナナライブ)で配信した島村楽器

ライブ配信アプリ「17live(イチナナライブ)」は、島村楽器が主催する若手クラシック演奏家たちによるコンサート「島村楽器Classical Concert on 17 Live」を3/31に配信しました。

17liveアプリは、世界最大手のライブ配信アプリです。配信者も視聴者も、無料で利用することができます。

これは、演奏の場を失った若手の演奏家たちに、コンサートの機会を創ることを目的としたものでした。

プレイヤー

イベントの自粛要請以降、中止となったコンサートのストリーミング配信は増えてきていますが、無料で見られるためプレイヤーの収入にはつながりません。

17liveも多くのストリーミング配信と同様に、配信者も視聴者も無料で利用することができます。

しかし他の無料配信と異なるのは、視聴者が配信している演奏家に応援のポイントをプレゼントすることができるという点です。1ポイント=0.5円の収入になります。

もしかしたら、これを機に新しくクラシック業界を盛り上げるコンテンツとなるかも知れません。電子チケットを用いたライブ配信など、プレーヤーに収益が出るシステムの開発が期待されます。

YouTubeに参入する演奏家たち

新型コロナウイルスの感染拡大によって、自宅待機を余儀なくされた演奏家たち。ここに来て、新たにYouTubeに参入する演奏家たちが増えています。

突然の長期休暇を、せっかくだから楽しもう!と配信しているのは、「音楽家たちの休日」と題されたYouTubeチャンネル。

この優雅すぎるラジオ体操を演奏しているのは、ヴァイオリン奏者の成田達輝さんと、ハープ奏者の高野麗音さんです。

また、期間限定でヴァイオリンのお悩み相談を始めたのは、神奈川フィルハーモニー管弦楽団のコンサート・マスター、崎谷直人さん。

こちらは、「コロナが収束したら、神奈フィルの演奏を聴きに来てほしい」という思いから、先行投資として始めたそうです。

近い将来、オーケストラや大手のコンサート事業は、YouTube等をメインに収益を上げることができるようになるかも知れません。

需要が高まるオンライン・レッスン

緊急事態宣言を請けて、ほとんどの学校は休校を余儀なくされています。

学習の遅れが心配される中、注目されているのがオンライン授業です。早いところでは、すでに運用を開始しています。

オンラインレッスン

そして音楽の世界でも、オンライン・レッスンの需要は高まっています。

レッスンではモチベーションが大切です。長期間の休講が、子供たちの音楽への関心を薄れさせてしまうかも知れません。

学校もなく他の習い事もないので、オンラインでレッスンを受けることができれば保護者にとっても嬉しいことです。講師側も教室を休むことなくレッスンを続けることができれば、収入を確保できます。

フリーランスの演奏家は、例えばストアカのようなオンラインサービスを使えば、日本中の楽器を教わりたい人とオンラインで繋がることができ、リモートで教えることが出来ます。また、生徒さんとの出会いや収入にも繋がるので、この機会に試してみることをおすすめします。

この状況をアイディアで乗り切ろう!

緊急事態宣言が出され、自宅で過ごす人が増えました。インターネット上には巨大なマーケットが広がっています。

やり方によっては、新たなファンを獲得できることも十分にあり得るのです。

また、今回のことでクラシック・コンサートの在り方が変容する可能性があります。収束後の活動を支える土台作りとして、多くの演奏家たちは今、次のようなことを行っているようです。

有料の配信を行う
自主制作のCD・音源・動画を販売する
オンライン・レッスンを行う
クラウドファンディングサイトで中止となったコンサートの支援を呼び掛ける

まとめ

コンサート

今までクラシック・コンサートはお客様に出向いてもらうものでした。しかし、これからのクラシック業界は、そのあり方を変える時なのかもしれません。

この苦しく先の見えない状況の中で、「こんな時だから音楽はできない」のではなく、「こんな時だからこそ、音楽にできること」を考え、実行した演奏家たちがいます。

ピンチはチャンス!必ず、また皆で集まって音楽を楽しめる時がやってきます。それまでこの長い休暇を前向きに楽しみ、乗り切りましょう!