西関東(新潟・群馬・山梨・埼玉県)の吹奏楽強豪校は一体どこだろうか。絶対的王者が不在と言われている西関東の中学吹奏楽強豪校についてどこよりも詳しくご紹介します。各吹奏楽部の特徴や部訓も必見です。

案内人

  • 川島光将指揮者・作曲家・編曲家 元・中学高等学校音楽教員、吹奏楽顧問 吹奏楽指導者協会・認定指導員 音楽表現学会会員 K MUSIC GROUP代表 現在はオーケストラ、吹奏楽、合唱、声楽など音楽全般の指導にあたる。

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【中学】西関東の吹奏楽強豪校を紹介!

西関東支部の吹奏楽コンクール中学校の部は大混戦です。
相次ぐ顧問の移動で絶対的王者が不在。

これが中学校の部の難しいところであり、面白いところでもあります。

毎年どの学校が代表に選ばれるか全く分かりません。
今回は過去3年間の成績をもとに好成績を残した吹奏楽強豪校をご紹介します。

今年の結果が今から楽しみですね。

川口市立青木中学校吹奏楽部

ウインドオーケストラのためのバラッド/高 昌帥

実績

2015年より全国大会に4年連続出場という快挙。
金賞も一度受賞しています。
2019年は顧問の異動もあって、惜しくも西関東支部で金賞のみで代表に選ばれず。
今年はリベンジなるかが期待されます。

特徴

川口市立青木中学校は急成長を遂げ、西関東支部吹奏楽コンクールの代表常連校となりました。
「行動4原則」というものを大事にしており、挨拶、返事、素早い行動、目をしっかりと見て話を聞くということにこだわっているそうです。

そんな演奏以外の生活面から規律正しく行い、地道な努力でレベルアップしていきました。
こうした青木中学校の練習の様子はDVDでも発売されています。

コンクール以外でも定期演奏会など、外部での演奏にも積極的に参加しています。
なんとディズニーランドでも2度演奏経験があるそうです。
聴く人を楽しませる演奏をモットーに日々練習に励んでいます。

今年は全国大会に出場なるか!?注目です。

朝霞市立朝霞第一中学校吹奏楽部

歌劇「蝶々夫人」より/G.プッチーニ

実績

2015年から4回全国大会出場。
2017年に惜しくも代表を逃し、その翌年は見事全国大会に出場し金賞を獲得しています。
抜群の安定感で今年も代表に選ばれる可能性は高いでしょう。

特徴

「効率の良さ」を意識し、普段から無駄のない練習をしているそうです。
コロナの影響もあり部活動の練習時間が縮小傾向にある今では、こうした時間の使い方がコンクールの結果に大きく影響しそうですね。

顧問の先生は「個々の演奏技術」と、人に合わせる「合奏力」にこだわり、指導をされています。
毎年歌劇を自由曲に選曲するのがこの学校の特徴でしょう。今年はどんな曲を演奏するかも注目です。

ちなみに朝霞一中吹部のスローガンは「雑草魂」で、この言葉を中心に、どういった部を目指すか、毎年生徒たちで話し合ってテーマを決めているそうです。

越谷市立大相模中学校吹奏楽部

リモート合奏 【パプリカ】

実績

2014年より5回全国大会に出場している強豪校です。
顧問の先生が変わったその年、全国大会に初出場して金賞を受賞しています。
生徒の努力と顧問の先生の指導が見事マッチした形ですね。
今年も全国大会の舞台で、演奏が聴けるのが楽しみです。

特徴

大相模中学校吹奏楽部「音楽ができることへの感謝」をモットーに、楽しくそして真剣に音楽に取り組んでいます。

実は連続して全国大会に出場していますが、2018年にまさかの代表落ちとなりました。
誰もが全国大会の舞台に行くだろうと思っていただけに、そのショックは大きかったことでしょう。

その悔しさをバネに2019年は見事全国大会に出場することができました。
これだけの全国大会常連校でも、代表になれないことがあるのがコンクールの難しいところです。
今年も全国大会出場が期待されます。

草加市立青柳中学校吹奏楽部

※イメージ画像

実績

2019年に見事悲願の全国大会に初出場となりました。
西関東支部大会の出場自体も2017年からで、急成長を遂げた学校です。
あっという間に強豪校の仲間入りとなりました。

特徴

2017年に学校初の西関東支部吹奏楽コンクール出場、そして2年後に全国大会出場と素晴らしい実績を持つ学校です。
残念ながらまだ学校の演奏は動画などには上がっていませんが、もちろん全日本吹奏楽コンクール2019中学校編のDVDには収録されていますので、そちらをチェックしてみてください。

課題曲のマーチ「エイプリル・リーフ」、そして自由曲の「歌劇《トスカ》より第一幕」をぜひ映像またはCDの音源で堪能したいですね。

今年も全国大会出場できるかが非常に楽しみです。

【要チェック】強豪校の過去の名演ベスト3

昔から全国大会の舞台では、様々な名演が生まれていました。
今のサウンドとは少し違い、その当時ならではの演奏が非常に魅力的です。

それでは西関東支部代表の名演ベスト3をご紹介します。
中学生という枠を超えた、名演の数々です。

トッカータとフーガ・ニ短調・主顕祭 川越市野田中学校吹奏楽部

トッカータとフーガ・ニ短調・主顕祭【野田中】

1991年の川越市野田中学校の演奏です。
野田中学校は1987年より全国大会出場。
そのうち金賞5回という快挙です。
その全盛期の指導者は佐藤正人先生で、今は武蔵野音楽大学などで指導をされています。
※2021年6月現在

演奏の特徴としては、自由曲としては有名な交響詩「ローマの祭」十月祭を静かなところから始めているのが、当時はなかなか新鮮でした。
完全に中学生離れした演奏テクニックを持っています。
楽器の鳴らし方、曲のスケールの壮大さに圧倒されます。

バレエ音楽 「くるみ割り人形」 より 飯能市立加治中学校吹奏楽部

2001年 第49回 全日本吹奏楽コンクール 埼玉県 飯能市立加治中学校吹奏楽部 バレエ音楽 「くるみ割り人形」 より お菓子の王国、チョコレート、アラビアの踊り、トレパーク、コーダ

2001年の飯能市立加治中学校です。
加治中学校の全国大会出場は1999年から3年連続で、しかも3回とも金賞です。
曲作りが丁寧でバレエ 音楽のノリを見事に表現しています。
文句なしの圧巻のパフォーマンスです。
バンドの一体感が素晴らしいですね。

ちなみこの自由曲の正式な曲名は『バレエ音楽 「くるみ割り人形」 より お菓子の王国、チョコレート、アラビアの踊り、トレパーク、コーダ』となっています。
原曲は第15曲から成りますので、その抜粋という形です。

まとめ

西関東支部は新潟・群馬・山梨・埼玉の4県ですが、埼玉県が特に強豪校が多いとして有名です。
今回ご紹介した学校が埼玉に偏ってしまっているのもそのためです。

しかし埼玉県代表校以外でも西関東支部で金賞受賞経験のある学校も、もちろんあります。
2019年は新潟県代表の長岡市立宮内中学校が見事金賞でした。
2018年はこちらも新潟県代表で長岡市立の東北中学校が金賞です。

群馬県と山梨県の代表校はここ最近では金賞の成績がないので、今年こそ悲願の金賞が期待されます。

今まではこのように県によって偏りがありましたが、今年はその勢力図が変わるかもしれません。

予測不能の西関東支部。今年も非常に楽しみです。