「合唱コンクールで良い合唱をしたい!」
「賞をとりたい!」
そう思っても、練習の進め方がわからなかったり、クラス内でやるに気温度差があったりなど、壁にぶつかることは必ずありますよね。
本記事では、そんな壁を乗り越えて良い合唱を作り上げるための、合唱コンクールの必勝法を詳しく紹介します。
ぜひ明日からの練習に取り入れてみてくださいね。
案内人
- 山吹あや幼少期からピアノ、中学校からサックス、高校から声楽を始め、地方国立大学教育学部音楽専攻へ進学。中学校では合唱部顧問を担当し、県大会を通過し関東大会に多数の出場経験がある。
目次
合唱コンクールの目的とは?
学習指導要領には、合唱コンクール等の行事のねらいとして以下2点が挙げられています。
- 日頃の学習活動の成果を発表する
- 協調性や向上心などを身に付け高めていく
勝つことだけにとらわれてクラスの雰囲気が悪くなってしまっては、本来の合唱コンクールの目的から離れてしまいます。これから紹介するポイントを意識して、良い雰囲気で練習を進めていきましょう。
それぞれの役割と重要性
まずは合唱における役割を整理しましょう。
指揮者
演奏面でも練習面でも、クラス全体を引っ張るリーダーとしての役割を担います。
伴奏者
ピアノ伴奏をするのはもちろん、テンポや強弱を含めた曲全体のイメージを指揮者と相談し、演奏面で合唱メンバーを引っ張っていく役割もあります。
パートリーダー
パート練習で中心となって練習を進めます。パートのまとめ役として、メンバーのひとりひとりに気を配ったり声をかけたりすることが大切です。
合唱メンバー
合唱を作り上げるために欠かせない役割です。ひとりひとりが自分のパートを一生懸命歌うことで合唱が成り立ちます。
【練習のコツ】上手に歌うためのポイント
上手に歌うためにはちょっとしたコツがあります。クラス全員が意識して練習するだけで、格段にレベルアップするのでぜひ押さえておきましょう。
姿勢
練習の最初に必ずこの4つを意識してみてください。これだけでも声が出しやすくなります。
- 足は肩幅より少し狭く開く
- 肩を開くようにして背筋を伸ばす
- おへその下に少し力を入れる
- 天井から頭のてっぺんの髪の毛を引っ張られているつもりでまっすぐ顔を上げる
発声
歌声は、話し声の発声と区別することが大切です。コツは、『響かせる位置』と『口の開け方』です。
響かせる位置は、鼻より上(鼻~頭部にかけて)です。のどや胸が響くのではなく、鼻より上から声が出ていくイメージをもちましょう。
口の開け方にもポイントがあります。
上あごをグッと上に引き上げるように口を開けると、自然とあくびのときのように喉の奥が開いて、よく響く発声になります。
重要な部分を反復練習
まずパート練習で反復練習すべき部分は、『リズムが複雑な部分』と『音程をとるのが難しい部分』です。この2点を押さえておくと全体練習もスムーズにいきますので、自信がつくまで何度も練習しましょう。
全体練習では、下記3つのポイントを意識しましょう。
- 歌い出し
- テンポの変わり目
- 転調する部分
この3点で全員の息がぴったり合うと、全体の完成度が一気に上がります。
合唱コンクールの評価基準とは?
合唱コンクールでは、技術点と表現点を総合して評価をする学校がほとんどです。
技術点
正しい音程で歌えているか、合唱に適した発声か、声量は十分か、リズムが正確にとれているか、発音が明瞭か、という点を評価します。
表現点
曲に合った音楽表現(テンポ設定、強弱など)が工夫できているか、曲に込められたメッセージが伝わるか、という点を評価します。
技術点と表現点のどちらか一方だけが高得点でも、良い合唱とは言えません。両方バランスよく評価されるように意識して練習に取り組んでみてください。
合唱コンクール本番までにやるべきこと
計画的に、テンポよく練習を進めていくことが大切です。
【step1】パート分け
各パートの人数がなるべく均等になるように分けることが多いですが、注意すべきことは声量のバランスです。
ソプラノは高音がよく通るのに対してアルトの音域は聞こえにくいので、クラスの実態によっては、アルトの人数を増やす、または変声期前の男子にもアルトに入ってもらう等の工夫も効果的です。
【step2】選曲
まずは自分達が「歌いたい!」と強く思う曲を選ぶことが大切ですが、実は審査員ウケの良い選曲のコツもあります。
複数の候補で迷ったときには、曲調に変化のあるものを選んでみてください。途中でテンポや拍子が変わったり、転調したりすると曲全体にメリハリがつき、聴き手を引き込むため印象に残りやすくなります。
【step3】パート練習
パート練習を上手く進めるコツは、どの部分を練習するのか、何が課題なのかを歌う前にパートリーダーから合唱メンバーへ伝えることです。また、空白の時間ができてしまうとふざけだす人やサボる人がでてきてしまうので、テンポよく練習を進めることも大切です。
それでも上手くいかないパートには、指揮者や音楽の得意な人がサポートに入ってみてください。
人は「ちゃんとやってよ!」と言われるだけでは行動できません。指示を具体的に出し、できていることは褒め、指導するのではなく『一緒にがんばろう!』という姿勢を示すと上手くいくようになります。
音取りのコツは、部分的に繰り返して練習することです。いきなり長い範囲を歌ってもすぐに忘れてしまうので、1フレーズ(4~8小節程度)ずつ練習することが大事。全曲を通して歌うのは、音取りが一通り終わってからで十分です。
【step4】全体練習
パート練習と同じように、指示は明確に出し、空白の時間を作らずテンポよく練習を進めることを意識してみてください。
また、指揮者だけが練習を仕切るよりも、『みんなで進めること』を意識すると上手くいきます。
おすすめの方法は、パートリーダーが前に出て合唱を聴き、良い点と課題点を見つけて伝えるという練習です。
ただダメ出しばかりだとモチベーションが下がるので、必ず良い点も伝えましょう。
ある程度合唱が形になってきたら、パートリーダーだけでなく他のメンバーにも前に出て聴いてもらうと、ひとりひとりの責任感も自然と強くなっていきます。
【step5】ステージでの並び方(オーダー)を決める
基本は背の順で並ぶと見た目にも美しいですが、並び方を工夫することによって合唱の完成度も変わってきます。
まず、パートの境界は隣のパートにつられやすいため、音程を正確にとれる人を配置します。また、声の大きい人を最後列に配置することも効果的です。後ろから声が聞こえると他のメンバーも安心して声を出せて、声の大きな人だけが目立ってしまうこともなくなります。
【step6】本番前の最終チェック
自分達の合唱を動画で撮影し、それを見ながら、先に紹介した【合唱コンクールの評価基準】の『技術点』と『表現点』の自己採点してみるのがおすすめです。
自信をもって本番に臨めるように、自分達の合唱の良いところを全員で共有しましょう。
まとめ
合唱コンクールは、努力が結果につながりやすい学校行事です。合唱は正しい方法で練習すれば必ず成果が出ます。本記事で紹介した合唱コンクールの必勝法を参考に、ぜひがんばってくださいね。