吹奏楽の神様、カリスマ指導者といった名立たる先生方が揃う九州支部。玉名女子高等学校や精華女子高等学校、福岡工業大学附属城東高等学校など、吹奏楽界では知らない人がいないほどの超強豪校や今後注目の学校について解説します。
案内人
- 川島光将指揮者・作曲家・編曲家 元・中学高等学校音楽教員、吹奏楽顧問 吹奏楽指導者協会・認定指導員 音楽表現学会会員 K MUSIC GROUP代表 現在はオーケストラ、吹奏楽、合唱、声楽など音楽全般の指導にあたる。
目次
九州の吹奏楽強豪高校を一挙紹介!
伝統ある学校が多い九州支部。
それだけではなく、『吹奏楽の神様』『吹奏楽カリスマ指導者』と言った名のある先生方もたくさんいらっしゃいます。
そんな吹奏楽大国である九州支部の強豪校をご紹介します。
玉名女子高等学校 吹奏楽部
保科洋作曲:復興
実績
全国大会初出場は1989年。
その後は2019年までに11回出場し、今ではすっかり全国大会常連になっています。
2019年までの吹奏楽コンクール全国大会で7回連続金賞記録を継続中。
作曲家:天野正道作品を得意としており、過去に5回連続演奏しています。
特徴
玉名女子の特徴は、なんといってもサウンドです。唯一無二の音色は誰にも真似ができません。
また、マーチングでも大活躍しており、2019年までに5年連続ダブル金賞受賞という快挙を成し遂げています。
さらに全日本アンサンブルコンテスト全国大会にも何度も出場。おそらく今、九州支部で最も勢いのある学校です。
『良い音楽は良い活動から』をコンセプトに日々練習に取り組んでいます。
あの魔法のようなサウンドは地道な練習の積み重ねの賜物ですね。
吹奏楽はこんなにも美しい。そう感じさせてくれる極上のサウンドです。
精華女子高等学校 吹奏楽部
P.スパーク作曲:宇宙の音楽
実績
1990年に初出場を果たし、今までに22回全国大会に出場しています。
そのうち銅賞は0回!金賞は13回も受賞しています。
マーチングでも毎年全国大会に出場する、玉名女子と並んで九州支部高校の部を代表する学校です。
特徴
昔から九州といえば「精華女子」と言われるほど大変有名であり、多くの吹奏楽関係者にとって憧れの存在でした。
2014年まではテレビや本でも話題になったカリスマ指導者:藤重佳久先生が顧問を務め、
そこから櫻内教昭先生に引き継がれ、2016年からは見事全国大会で3年連続金賞を受賞しました。
活躍の場は日本だけにとどまらず、アメリカのローズパレード参加、韓国で開かれたマーチングショーバンド世界大会出場、アメリカ・ミシガン州選抜の高校生バンドと共演、台湾・国際管楽器祭り出場など、ワールドワイドに活動しています。
しかし、2019年に大波乱が起きて全国大会の舞台に上がることができませんでした。
こういった事態が起こるのがコンクールの恐ろしいところですね。
今年はリベンジに燃えているはずです。
さらに進化した「Seika」サウンドが、今年は全国大会の舞台で聴けるかもしれません。
福岡工業大学附属城東高等学校 吹奏楽部
樽屋雅徳 作曲:プラネット・ナイン〜未知への軌跡〜
実績
全国大会初出場は1964年。
吹奏楽界では知らない人はいない伝統ある超強豪校です。
全国大会出場は32回。そのうち金賞は15回。銅賞は1回のみ。
日本全体をみてもこれだけ歴史のあるレジェンド校はないでしょう。
特徴
福岡工業大学附属城東高等学校は、これまでに尾木恒雄先生(福岡大学)、小野照三先生(ブリヂストン吹奏楽団久留米)、鈴木孝佳先生(TADウインドオーケストラ)、屋比久勲先生、武田邦彦先生など、名だたる先生方が歴任し、それぞれ伝説・全盛期を作ってきました。
もはやこの学校だけで本や映画が作れそうなくらいです。
また面白いのが、それぞれの全盛期で全く異なるサウンドが聴けることです。
当時の顧問の音楽性と、生徒のキャラクターがよく表れています。
九州の吹奏楽界を発展させてくれたのは、間違いなくこの福岡工業大学附属城東高等学校でしょう。
前回の2019年の九州支部大会では武田邦彦先生が退任されてから初めての年で、惜しくも全国大会の代表を逃してしまいました。
実は、顧問の先生が変わるとしばらくは全国大会に行けないというのは、「吹奏楽あるある」なのです。
伝統ある吹奏楽強豪校。このままで終わるはずがないでしょう。
新しい福岡工業大学附属城東高等学校のサウンドは、どのようなものか。非常に楽しみです。
活水高等学校 吹奏楽部
高 昌帥 作曲:吹奏楽のための協奏曲
実績
吹奏楽コンクール全国大会には2回出場。そのどちらも見事金賞を受賞しています。
また全日本マーチングコンテストにも出場し、金賞を受賞。2015年に彗星のごとく現れた強豪校です。
特徴
カリスマ吹奏楽指導者:藤重佳久先生が就任1年目で全国大会に出場するという伝説を作った学校です。
その活動はテレビや雑誌にも取り上げられ大変話題になりました。
努力すればそれが結果となって現れるということを証明してくれたので、全国の吹奏楽関係者は勇気づけられたことでしょう。
1年目の奇跡のあとは、なかなか全国に上がることができなかったが、2019年の吹奏楽コンクールでは久しぶりに全国の舞台に立ちました。
しかしながらそんな伝説を作った「カリスマ指導者」藤重佳久先生は、2020年で活水を退職。その後は大村へ行き、中学校5校の吹奏楽部指導者として活動されるそうです。
藤重先生退職後の活水は、かつて佐賀市立成章中学校を全日本吹奏楽コンクールに導き、現在は活水中学校を指導されている杉町たまみ先生が後任にあたられるとのことです。
はたして今年はどうなるか?とてもワクワクしますね。
鹿児島県立松陽高等学校 吹奏楽部
バルトーク 作曲:バレエ音楽「中国の不思議な役人」より
実績
吹奏楽コンクール全国大会に過去6回出場し、そのうち金賞を2回受賞しています。
2019年は久しぶりに全国の舞台に上がることができました。
今年も勢いそのまま、快進撃が期待されます。
特徴
1983年の開校と同時に創部された歴史のある吹奏楽部です。
九州大会には今までに34回も出場しています。
現顧問である立石純也先生は、2000年前後にも松陽高等学校吹奏楽部の顧問を務めており、その時には全国大会に5回出場しています。
そして2017年にこのコンビが復活し、2019年には見事全国大会の舞台に戻ってきました。
レベルの高い九州支部で代表に選ばれるというのは、本当にすごいことです。
2020年は残念ながら吹奏楽コンクールが中止となり、全国大会連続出場の夢が叶わないままその当時の3年生は定期演奏会を迎え、それが最後の舞台となりました。
その様子がテレビにも取り上げられ話題となりましたね。
今年は再び全国の場で演奏が聴けるか…楽しみです。
まとめ
やはり九州支部の吹奏楽強豪校は非常にレベルが高いですね。
また、各学校のバックグラウンドも魅力的で、それぞれの軌跡に大きな感動があります。
2019年から有名な吹奏楽指導者が相次いで退任されるなど、大変革が多かった九州支部。
ここからまた新たな歴史が始まるのでしょう。ますます目が離せません!