東北支部は合唱も含め、とても音楽が盛んな地域です。小学校で合唱部、中学で吹奏楽部といった生徒も多いのではないでしょうか。

そんな東北支部には、日本の吹奏楽全体の発展に大きく貢献した中学校があることをご存知ですか?

今回は、中学生とは思えないハイレベルな演奏と、ストイックな姿勢が好印象な吹奏楽強豪校についてご紹介します。これを読めばますます全国大会が楽しみになるでしょう。

案内人

  • 川島光将指揮者・作曲家・編曲家 元・中学高等学校音楽教員、吹奏楽顧問 吹奏楽指導者協会・認定指導員 音楽表現学会会員 K MUSIC GROUP代表 現在はオーケストラ、吹奏楽、合唱、声楽など音楽全般の指導にあたる。

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仙台市立向陽台中学校

ブリュッセル・レクイエム/アッペルモント

実績

吹奏楽コンクール全国大会出場は5回。そのうち金賞を1回受賞しています。

2018年から3年連続で全国大会に出場しており、今年もその記録を伸ばすことが期待されています!

特徴

中学生とは思えないようなテクニックを持った学校です。毎年かなり難易度の高い曲に挑戦されていますね。

三大会連続全国大会出場の曲を見ると、バーンズの『交響曲第3番』、アッペルモントの『ブリュッセル・レクイエム』、スパークの『宇宙の音楽』と、それはもうすごいラインナップです。

向陽台中学校は自由曲だけでなく、課題曲もこだわりが強い。一般的には自由曲が大作の場合は課題曲はマーチを選んでサラッと演奏することが多いですが、課題曲もなかなか難しい曲を選んでいます。

王者の風格が漂っているように感じます。選曲も含めて今年の演奏も楽しみですね。

山形市立第六中学校

「嬉遊曲(ディヴェルティメント)」より/J.イベール

実績

1987年に全国大会初出場を果たし、その後2017、2019、2021年と出場。そして2021年には念願の金賞を受賞しました。

特徴

毎年かなりの難曲に挑戦している学校です。最近の中学生の演奏技術の高さには本当に驚かされますね。

ちなみにこのあたりの地区の生徒さんは、小学校から吹奏楽に取り組んでいる子が多いようです。音楽が地域に根付いていて素敵ですね。

顧問の先生が一方的に指導するわけではなく、生徒同士で考える時間をとってみんなで曲作りをしていくスタイルのようで、教育の面でも理想的な部活動と言えます。

北上市立上野中学校

上野中学校吹奏楽部 紹介動画

実績

吹奏楽コンクール全国大会出場は5回。そのうち、2021年も含め金賞を2回受賞しています。

演奏レベルの高さに年々注目が集まっている学校です。

特徴

北上市立上野中学校も、自由曲だけでなく課題曲選びも特徴的です。技術的な難しさだけでなく、音楽表現が問われる曲にも果敢に挑戦しています。

コンクールだけでなく演奏会にも力を入れている上野中学校。彼らの音楽は「上中サウンド」として知られ、大変人気です。

どの学校も同じ条件だとは思いますが、満足に部活の練習時間がとれない中での2021年全国大会金賞受賞はやはり快挙と言えるでしょう。個人やアンサンブルなど、生徒だけの練習が充実している証拠ですね。

南相馬市立原町第一中学校

アルプス交響曲/リヒャルト・シュトラウス

実績

吹奏楽コンクール全国大会出場は7回。そのうち金賞を3回受賞しています。
2015年以降は全国大会から遠ざかっており、2021年は久しぶりに支部大会金賞で全国大会まであと一歩でした。

特徴

中学の部は高校と違い、全国大会に継続的に出場できる学校はほとんどありません。顧問の先生や学校の方針が変わることが大きく影響してしまうためだと言われています。

この南相馬市立原町第一中学校も1990年代は全国大会常連でしたが、2001年を最後にすっかり全国大会で見ることはなくなってしまいました。県大会のみで支部大会に選ばれることがない年も続き、いわゆる強豪校のイメージが薄れていきましたね。

そんななか2013、2014年に全国大会出場。その翌年からは再び全国の舞台から遠ざかっていましたが、2021年に見事支部大会で金賞を獲得しました。

諦めない心と吹奏楽部の伝統が受け継がれている軌跡が見えますよね。はたして今年は全国の舞台に返り咲くことができるのか…非常に楽しみです!

秋田市立山王中学校

バレエ音楽「三角帽子」より 粉屋の踊り、終幕の踊り/ファリャ

実績

吹奏楽コンクール全国大会出場は34回。そのうち金賞を17回受賞してるレジェンド校です。

全国大会初出場はなんと1962年。昭和30年代から存在する大変歴史のある吹奏楽部です。

特徴

吹奏楽ファンなら秋田市立山王中学校のことを一度は耳にしたことがあるでしょう。

数々の名演を残している超強豪校で、CDやDVDも出版されています。

山王中学校は、東北支部だけでなく日本の吹奏楽全体の発展に大きく貢献したと言っても過言ではありません。初代顧問である木内博先生の指導方法は、現在の吹奏楽で活躍されている先生のお手本になっています。いわゆる”山王サウンド”というものが、演奏者だけでなく指導者にとっても憧れの存在でありました。

2016年からは残念ながら全国大会には出場していませんが、これだけ歴史と伝統のある学校です。また全国の舞台で、”山王サウンド”が聴ける日も近いのではないでしょうか。

まとめ

東北支部は小編成も盛んなので、中学小編成の部でも多くの名演が生まれています。

今回ご紹介させていただいた他にも、素晴らしい団体はたくさんありますので、ぜひ多くの学校の演奏を聴いてみてください。

お近くの人はぜひ定期演奏会やコンクールに足を運び、生徒を応援していただけると幸いです。