メトロノームはテンポを確認するだけでなく、リズム感を鍛えるさまざまな練習に活用できます。

当記事では、メトロノームを使う前に知っておきたい基礎知識やメトロノームを使ったおすすめの練習方法を紹介します。

メトロノームの使い方がわからない人、メトロノームを上手く活用してリズム感を身につけたい人はぜひ参考にしてくださいね。

案内人

  • 笹木さき音楽大学の短期大学部で作曲とジャズピアノを専攻。現在は芸術専門図書館で司書として働く傍ら、ライターとして活動中。

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まずは楽譜のメトロノーム記号を確認しよう

メトロノーム記号とは、演奏の速さを指定した記号のことです。
楽譜の最初やテンポの変わり目に書いてあり、『音符=数字』の形で曲の演奏に最適な速さを示しています。
たとえば『♩=60』なら四分音符が1分間に60回、『♩=180』なら四分音符が1分間に180回の速さということがわかります。

曲の拍子によって基準となる音符が変わる場合があるので、楽譜ごとにきちんと確認しましょう。

速度標語しか記載がない場合

速度標語とは、演奏の速さを指定する楽語のことです。
主にクラシック音楽の楽譜で使われていて、メトロノーム記号と同じく楽譜の最初やテンポの変わり目に書かれています。

アナログの振り子式メトロノームでは、テンポを示す数字や目盛りと速度標語の両方が記載されていますが、電子式やアプリのメトロノームではどちらか一方しか表示がない場合があります。

迷わずメトロノームを設定して練習するために、よくある速度標語と目安のテンポを覚えておくとよいでしょう。

【よくある速度標語と目安のテンポ】

速度標語

意味

目安のテンポ

Lento

ゆるやかに

♩=50~56

Adagio

静かにゆっくりと

♩=56~63

Andante

歩くような速さで

♩=63~76

Moderato

中くらいの速さで

♩=76~96

Allegretto

やや速く

♩=96~120

Allegro

速く

♩=120~152

Vivace

快速に

♩=152~176

メトロノームの使い方:①メトロノームに合わせて手を叩く

メトロノームに合わせて手を叩くのは、リズム感の基礎を身につけるには最適な練習法です。

実際にやってみると、ゆっくりとしたテンポでも、正しいリズムを刻むのは意外と難しいことがわかります。

まずは四分音符でメトロノームと同時に手を叩くことから始めて、慣れてきたら八分音符、三連符などの細かいリズムで叩いてみましょう。

テンポを変えたり、人と一緒に合わせたりして、楽しくリズムの練習をしてみてくださいね。

メトロノームの使い方:②メトロノームに合わせて楽譜を読む

メトロノームに合わせて楽譜を読むのは、一通り譜読みをした後に有効な練習です。

楽譜指定のテンポでメトロノームを鳴らしながら音符を目で追いかけることで、曲全体の流れやフレーズの切れ目などを正しく理解することができます。

頭の中で音をイメージしながら読むとさらに効果的。新しい曲を練習するときは、楽器で演奏する前段階としてぜひこの練習を取り入れてみてください。

メトロノームの使い方:③メトロノームに合わせて旋律を歌う

メトロノームに合わせて旋律を歌う練習は、楽器演奏をしていない分、リズムと音程に集中することができます。この時点でテンポの合わせ方を体に刻み込んでおくことで、次のステップがスムーズに進むでしょう。

吹奏楽の場合は、同じリズムを吹く人と一緒に練習するのもおすすめ。リズムと同時にハーモニーの感覚を知ることで、楽器で演奏したときの音のまとまりが格段にアップします!

メトロノームの使い方:④メトロノームに合わせて基礎練習を行う


メトロノームに合わせて基礎練習を行うことは、演奏の基礎力アップに直結します。

スケールやアルペジオなどの音階練習では、1つの音符につき1回鳴るようにメトロノームを設定してもよいでしょう。わずかなリズムのズレにも気付きやすくなり、より効果的な指のトレーニングができます。

管楽器の練習には、テンポと音量を意識したロングトーンの練習がおすすめ。息の量をコントロールする感覚が身について、演奏の安定感が増します!

メトロノームの使い方:⑤苦手な部分をピックアップした曲練習を行う

複雑なリズムや速いパッセージなど、苦手な部分をピックアップした曲練習にはメトロノームを活用しましょう。

曲の中でも苦手な部分は「間違えないように」と慎重に演奏するため、そこだけテンポが遅れやすくなります。はじめは苦手な箇所だけ抜き出して、ゆっくりと正しいリズムを確認しましょう。

次は前後の小節とつなげて演奏できるようにして、だんだんとテンポを上げて指定の速さに近づける…このような段階的な練習が効果的です。

1曲を通してメトロノームに合わせる必要はない


メトロノームを使って練習することは大切ですが、1曲を通して合わせる必要はありません。曲練習でメトロノームに合わせすぎると機械的な演奏になってしまうため、注意が必要です。

音楽のテンポは盛り上がる部分でやや速くなったり、音量が小さくなると少し遅くなったり、表現とともに自然と揺れ動くもの。

集団での演奏なら指揮を見て、アンサンブルなら他のメンバーと息を合わせるなどして、その瞬間にしかできない表現を大切にしましょう。

日々の練習でリズム感が身についていれば、多少テンポが前後してもうまく演奏できるはずです。

まとめ

音楽に大切なリズム感は、メトロノームを使った練習で鍛えることができます。

楽器練習では、メトロノームを使った基礎練習・曲の部分練習がおすすめです。
演奏のレベルアップを目指して、ぜひ日々の練習にメトロノームを活用してみてくださいね。