木管楽器で一番難易度が高いといわれるオーボエ。オーケストラでは合奏を華やかに彩り、ソロでは抜群の存在感を発揮します。

そんなオーボエにフォーカスした「国際オーボエコンクール」は、世界中の奏者がこぞって出場する、高レベルかつ権威ある大会です。本記事では当大会について、概要や日程、課題曲などを紹介します。

国際オーボエコンクールとは?

国際オーボエコンクールは、公益財団法人ソニー音楽財団が3年に1度開催する、世界でも珍しいオーボエ特化のコンクールです。

ソニー元会長であり、バリトン歌手でもあった大賀典雄氏は、実業家としてソニーを大きく育てた人物です。早くからCDやMDの開発の先頭に立ち、また音楽ホールのなかった軽井沢にてホール建設に寄与したりと、音楽業界の発展にも大きく貢献しています。

そんな大賀氏は、オーケストラのクオリティを決定づける楽器としてオーボエの重要性を唱え、優れた人材の発見と育成のために、1985年に国際オーボエコンクールを設立しました。

今日では世界のオーボエ奏者の登竜門とされ、レベルは世界的に高く、第1位(大賀賞)該当者なしの回も少なくありません

長らく海外の演奏家の受賞が多く、日本人演奏家が上位に食い込むことが少ない時期が続きました。ところが、2015年に荒木奏美氏が第1位受賞、2018年には浅原由香氏が第2位受賞(第1位なし)と、近年では日本人の快進撃が続いています。

過去の主な入賞者

第11回国際オーボエコンクール第1位:荒木 奏美

1993年生まれのオーボエ奏者。茨城県東海村で育ち、9歳から吹奏楽部でオーボエを始める。東京藝術大学首席卒業し、同大学院に進学。坂本真紀、成田恵子、和久井仁、小畑善昭、青山聖樹の各氏に師事。2015年6月より東京交響楽団首席オーボエ奏者を務め、第11回国際オーボエコンクール・軽井沢において日本人初の大賀賞、軽井沢町長賞を受賞。その他、数々のコンクールで受賞しており、出光音楽賞も受賞している。

第12回国際オーボエコンクール第2位:浅原 由香

東京出身のオーボエ奏者。東京藝術大学音楽学部器楽科と同大学院音楽研究科修士課程を修了し、真田伊都子氏、池田昭子氏、和久井仁氏、小畑善昭氏、青山聖樹氏に師事。東京フィルハーモニー交響楽団、千葉交響楽団など数多くの楽団と共演。現在、札幌交響楽団副首席奏者であり、Japan National Orchestraコアメンバーの1人でもある。オーケストラに留まらず、ソロや室内楽にも取り組んでいる。

【公式Twitter】
https://twitter.com/yuka_a9355

2023年には第13回大会が開催!

2023年、国際オーボエコンクールは第13回の開催を迎えます。

本来だと2021年に開かれるはずでしたが、新型コロナウイルス騒動の影響により延期となっていました。久々の開催ということで、どんな演奏が聞けるのか、例年以上に楽しみですね。

第13回国際オーボエコンクールの流れと参加資格

大会の流れ

予備審査(動画審査)

第1次予選(動画による審査)

第2次予選

本選&表彰式

入賞者&審査委員コンサート

参加資格

1993年1月1日から2005年12月31日までに出生した者。ただし、過去に当コンクールにおいて第1位を受賞した者を除く。

第13回国際オーボエコンクールの日程と会場

予備審査

予備審査は非公開の動画審査となっており、2023年4~5月に行われます。通過者の発表は、6月19日(月)頃の予定です。

第1次予選

第1次予選も動画審査となっており、2023年8月に行われます。通過者の発表は、9月11日(月)頃の予定です。

第2次予選

第2次予選以降は実地審査となります。

日時

2023年10月3日(火)・5日(木)・6日(金)

会場

武蔵野市民文化会館小ホール

通過者発表

10月6日(金)

本選&表彰式

日時

2023年10月8日(日)

会場

武蔵野市民文化会館大ホール

入賞者&審査委員コンサート

日時

2023年10月9日(月・祝)

会場

武蔵野市民文化会館大ホール

第13回国際オーボエコンクールの課題曲

予備審査

下記の課題曲1曲を演奏し、録音・録画すること。

ポンキエッリ:カプリッチョ

第1次予選

下記の課題曲2曲を演奏し、録音・録画すること(曲順任意)。

1)G.Ph.テレマン:無伴奏フルートのための12の幻想曲より、第11番ト長調 TWV40:12(繰り返しすべてあり)

2)P.ヒンデミット:オーボエ・ソナタ

第2次予選

<A><B><C>のグループからそれぞれ1曲、計3曲を選択し、45~55分のリサイタルを構成し演奏すること(入退場含め60分以内)。なお無伴奏曲の選択は、最大1曲とする(曲順任意)。

<A>

1)J.S.バッハ:ソナタ ト短調 BWV1030b(3楽章のみ繰り返しなし)

2)J.S.バッハ:無伴奏フルートのためのパルティータ イ短調 BWV1013(ト短調で演奏すること。全楽章とも最初の繰り返しのみ。バッハの間違いを正して演奏すること)

3)F.クープラン:趣味の融合または新しいコンセール集より、コンセール第7番、または第9番、または第11番(チェンバロ伴奏、繰り返し任意)

<B>

1)A.ドラティ:協奏的二重奏曲

2)D.ミヨー:オーボエとピアノのためのソナチネ op.337

3)N.スカルコッタス:ソロ・オーボエとピアノ伴奏のためのコンチェルティーノ

4)A.パスクッリ:ドニゼッティ「ポリウート」の主題による幻想曲

5)A.パスクッリ:ヴェルディ「シチリア島の夕ベの祈り」の主題による大協奏曲

6)G.シルヴェストリーニ:6つの練習曲より、第1・2・5・6曲

7)細川俊夫:《スペル・ソング―呪文のうた―》オーボエのための「第11回国際オーボエコンクール・軽井沢」のための公益財団法人ソニー音楽財団委嘱作品

<C>

1)W.A.モーツァルト:オーボエ協奏曲 ハ長調 K.314(285d)(暗譜、ピアノ伴奏)

2)B.マルティヌー:オーボエ協奏曲 H.353

3)R.ヴォーン=ウィリアムズ:オーボエ協奏曲 イ短調

本選

以下の2曲を演奏すること。

1)W.A.モーツァルト:オーボエ四重奏曲 ヘ長調 K.370(368b)(弦楽伴奏、最初の繰り返しあり)

2)R.シュトラウス:オーボエ協奏曲 ニ長調 AV414(暗譜、オーケストラ伴奏)

第13回国際オーボエコンクールのチケット情報

第13回国際オーボエコンクールのチケット情報は、まだ発表されていません。

ただ、前回の第12回大会では、観覧はすべて無料でした(入場整理券が必要)。観覧されたい場合は、公式サイトにて最新情報のチェックをお願いします。

国際オーボエコンクール 公式サイト

第13回国際オーボエコンクールの結果

コンクールの結果は、詳細が分かり次第、当サイトにて紹介予定です。

まとめ

本記事では、2023年の第13回国際オーボエコンクールについて、概要や日程、課題曲などを紹介しました。

今回も日本人が上位受賞となるか、今からとても楽しみです。第2次予選と本選が行われる10月は、まさに芸術の秋真っ盛りの季節。心が癒されるオーボエの響きを満喫しに、ぜひ武蔵野の会場へ足を運んでみてください。