音楽コンクールは世界中に数多く存在し、それぞれ開催趣旨や審査部門などの違いによる個性があります。

今回紹介する「フランス音楽コンクール」は、対象をフランス音楽に限定しているという点で非常に独特といえるでしょう。フランス音楽に精通した人が集まるこの大会では、どんな曲が課題曲になり、どんな演奏が繰り広げられるのか気になりますよね。

そこで本記事では、フランス音楽コンクールについて、概要や2023年大会の日程、会場、課題曲などを紹介します。

フランス音楽コンクールとは?

フランス音楽コンクールは、その名の通りフランス音楽に特化した珍しい音楽コンクールです。フランス音楽の普及という目的のもと、優れた演奏家の発掘や切磋琢磨のための場として運営されています。

50年以上の歴史があり、在日フランス大使館やフランス総領事館所属の外交官有志、フランス人および日本人演奏家グループによって1970年に設立された、日仏音楽協会=関西という団体が長く運営を行ってきました。2022年度の第52回大会からは、兵庫県芦屋市にある一般財団法人カンセイ・ド・アシヤ文化財団が主催を務めています。

【フランス音楽コンクール公式サイト】

過去の結果と主な受賞者

2022年度第52回大会と、2021年度第51回大会の結果を紹介します。

2022年 第52回

ピアノ部門

入賞1位

フランス総領事賞(両部門総合2位)

カンセイ・ド・アシヤ文化財団賞

萩野 瑠菜

入賞2位

大阪日仏協会賞

日仏音楽協会=関西記念賞

池田 崇雄

入賞3位

アンスティチュ・フランセ関西賞

山田 忍記念賞

森 夏野

声楽部門

入賞1位

フランス大使賞(両部門総合1位)

稲畑賞

島内 菜々子

入賞2位

MBS賞(旧毎日放送賞)

日仏音楽協会=関西記念賞

大久保 藍

入賞3位

月刊「音楽現代」賞

山田 忍記念賞

小林 香奈

声楽部門第1位 島内菜々子さんの演奏動画

2021年 第51回

ピアノ部門

入賞 第1位

フランス大使賞(両部門総合1位)

カンセイ・ド・アシヤ文化財団賞

小林 遼

入賞 第2位

フランス総領事賞(両部門総合2位)

月刊『音楽現代』賞

肥塚 菜々花

入賞 第3位

山田 忍記念賞

奥井 理澄

声楽部門

入賞 第1位

稲畑賞

宮川 七海

入賞 第2位

MBS賞(旧毎日放送賞)

日仏音楽協会=関西賞

笠 恵里花

入賞 第3位

アンスティチュ・フランセ関西賞

大阪日仏協会賞

榎本 菜々

ピアノ部門第1位 小林 遼さんの演奏動画

2023年には第53回大会が開催!

フランス音楽コンクールは、2023年に53回目の開催を迎えます。フランス音楽に愛情を持ち、より多くの人にフランス音楽を広めたいという熱意を持つ演奏家が集まることでしょう。

ここからは、フランス音楽コンクール第53回大会の要項をお伝えします。

審査部門

第53回フランス音楽コンクールの審査部門は、ピアノと声楽の2つとなっており、どちらも独奏・独唱が対象です。参加資格は15歳以上で、年齢上限や国籍、性別は不問です。

また、年齢等による区分は設けられておらず、15歳以上であれば経歴を問わず同じ条件で審査を受けることができます。

大会の流れ

第53回フランス音楽コンクールには予選と本選があり、審査は連続した2日間で行われます。本選の審査結果については当日に会場で発表され、その後に表彰式と講評が設けられる予定です。

また、本選では各部門の上位入賞者に以下の賞が授与されます。

順位

カンセイ・ド・アシヤ文化財団賞

ピアノ部門1位

稲畑賞

声楽部門1位

大阪日仏協会賞

ピアノ部門2位

月刊「音楽現代」賞

声楽部門2位

日仏音楽協会=関西記念賞

ピアノ部門・声楽部門それぞれ2位

山田 忍記念賞

ピアノ部門・声楽部門それぞれ3位

順位以外のところで特に将来性を感じさせる演奏をした出場者には「審査員特別賞」が授与されます(各部門1名まで)。

第53回フランス音楽コンクールの日程と会場

近年、参加者が増加傾向にあるため、2023年度開催の今大会から部門別の開催が導入されました。それぞれの日程と会場は次の通り。

ピアノ部門

日程

会場

予選

2023年11月4日(土)

13:00~

泉佐野市立文化会館「エブノ泉の森ホール」小ホール

(大阪府泉佐野市)

本選

2023年11月5日(日)

11:00~

声楽部門

日程

会場

予選

2023年11月11日(土)

13:00~

音楽サロン「ラ・カンパネラ」(大阪府大阪市)

本選

2023年11月12日(日)

13:00~

第53回フランス音楽コンクールの課題曲

ピアノ部門

予選

クープラン:恋の夜鳴き鶯<Le Rossignol en amour> ※出典は問わない

シャブリエ:ブーレ・ファンタスク<Bourrée fantasque>

ラヴェル:蛾(鏡 )<Noctuelles(Miroirs )>

本選

フォーレ:舟歌 第4番<4ème Barcarolle>

ドビュッシー:水の反映(映像 第1集 )<Reflets dans l’eau(Images Ⅰ)>

以下の作曲家の作品から1曲、あるいは複数曲を演奏。作曲家は複数選んでも良い。ただし、10分を超えないこと。

 

メシアン / デュティユー / ブーレーズ / プーランク

※予選・本選とも、使用エディション(版)不問
※リピート記号は楽譜の指示に従う
※全曲暗譜で演奏すること

声楽部門

予選

課題曲は2曲、8分以内。 

 

うち1曲はグノー、フォーレ、アーンの歌曲のうち1曲を選ぶこと。もう1曲は違う作曲家の歌曲を選ぶこと。ただしその1曲については、重複しなければこの3人の作曲家の歌曲から選んでもかまわない。 

 

※フランス・オペラのアリアは課題としない。必ず歌曲作品から選ぶこと。

本選

本選の課題曲は演奏時間が合計15分以内で、曲数は自由。

 

予選で歌唱した曲は不可。二人またはそれ以上の作曲家から選ぶこと。

※ミサ曲やモテットなど「宗教曲」の中のアリアは歌曲ではないので対象外とする
※予選・本選とも、演奏曲は歌曲から選択すること(いずれもフランス語で歌唱)

第53回フランス音楽コンクールの結果

コンクールの結果は、詳細が分かり次第、本サイトにて紹介予定です。

第53回フランス音楽コンクールのチケット情報

23年7月18日現在、チケットに関する情報は発表されていません。

ただ、過去には公式サイトで予選開催前に観覧希望者向けのメッセージが発信されています。観覧を希望する方は、公式サイトの情報更新をお待ちください。

まとめ

フランス音楽に特化したフランス音楽コンクールでは、一般的なコンクールとは一味違った雰囲気を味わえます。ラヴェル、フォーレ、ドビュッシーなど、色彩豊かで繊細なフランス音楽が好きな人にぴったりの魅力的な大会です。

今年はどんな演奏が聴けるのか、筆者も今から楽しみです。