11月19日に大阪城ホールで開催された全日本マーチングコンテスト・高等学校の部に出場した京都府・京都橘高校吹奏楽部。大会終了直後のリアルな声を部長、ドラムメジャーのふたりにお聞きした。
取材・文
- オザワ部長世界でただひとりの吹奏楽作家。神奈川県立横須賀高等学校を経て、早稲田大学第一文学部文芸専修卒。在学中は芥川賞作家・三田誠広に師事。 現役時代はサックスを担当。現在はソプラノサックス「ヤマ」(元SKE48の古畑奈和が命名)とアルトサックス「セル夫」を所有。好きな吹奏楽曲は《吹奏楽のためのインヴェンション第1番》(内藤淳一)。
マーチングとは
マーチングとは吹奏楽の一形態で、行進やパフォーマンスを行いながら演奏するもののことだ。合わせて「演奏・演技」とも言われる。全日本吹奏楽連盟と朝日新聞社が主催するのがマーチングコンテストで、吹奏楽コンクール同様、各都道府県や支部の大会を勝ち上がった団体が出場する。高等学校以上の部は大学や社会人、それらの混成のバンドも参加できるが、全国大会に出場するのは高校がほとんどだ。
3年連続で全国出場の京都橘高校吹奏楽部
全国大会は各支部から代表25校が出場するが、今年3年連続で出場したのが京都府の京都橘高校吹奏楽部だ。
京都橘は特徴的なオレンジ色のユニフォームから「オレンジの悪魔」と呼ばれ、YouTubeの動画などを通じ、世界中にファンを持つ。
最大の特徴は《シング・シング・シング》を演奏しながらの溌剌とした激しいステップだが、現在は兼城裕先生の指導のもと、演奏力を強化して新たな魅力を開花させている。
トップバッターで魅せた
今年の全国大会では出場順1番で大阪城ホールに登場した。トップバッターは不利だと言われる中、出だしのファンファーレから観客の心をつかみ、オーソドックスなマーチ曲もしっかり聴かせた上で、クライマックスの《ザ・シング》(《シング・シング・シング》のアレンジ版)へ。
遠目からでもわかるほど全員が笑顔を輝かせ、6分間の演奏・演技を終えた。
3年連続金賞受賞!大会後にインタビュー
審査結果は3年連続の金賞。大会終了後、喜びの声を聞いた。
ドラムメジャー(マーチングの指揮者)で、吹奏楽ではクラリネットを担当する3年生、野口葵さんは率直な感想をこう語った。
「3年連続の全国大会金賞という願いが叶って、本当に嬉しい気持ちです。プレッシャーもあったんですけど、私たちの元気や笑顔を全国の人たちに伝えることができたのかなと思います」
部長でユーフォニアムを担当する3年生、中島朱里さんは大会終了後の印象をこう語ってくれた。
「正直、楽しいことばかりではなく、大変なこともいろいろあったんですけど、それを乗り越えてみんなでここまで来られて、3年連続金賞をとれたことが素直に嬉しいです。本番中にはカンパニーフロント(全員で横に広がって前進するマーチング最大の見せ場)のところで温かい拍手をいただけたことが深く印象に残っています」
野口さんも、やはり観客の温かさが思い出深かったという。
「最初、会場に入っていったときにたくさんのお客さんが見てくださっていて、温かい声援を受けて楽しい6分間を過ごすことができました」
大会が終わったとき、すでに外は真っ暗。しかし、そんな暗がりの中でも、京都橘の部員たちの笑顔はまぶしく輝いていた。