目指せプロの声楽家!オーディションを乗り切るために学生がすべきこと4つ

2017/04/24
クラシック

私は大学院の声楽専攻を終了し、トッププロになる!と野心満々でフリーの音楽家生活を始めました。そうなると、避けて通れないのがオーディションです。
楽しみが勝るコンサートとは違い、オーディションは緊張や恐怖、嫉妬!など、自分と他人のさまざまな気持ちが入り乱れ、1回受けるだけでもどっと疲れが出て、とても辛かったです。こんなことを聞くと、まだ大学生の方はとても不安を感じてしまいますよね。それならば、今のうちに自分を鍛えておきませんか?これからお伝えすることは、私自身が学生時代に教えて欲しかった!と思うものばかりです。
今後の歌手生活に役立つと自信を持って言えますので、騙されたと思って試してみてください。

 

1. 第九を暗譜する

日本全国どこでも演奏される第九は、年末に向けてソリストオーディションが開催されます。声楽家として活動していれば、人生の間に必ず1度は第九を演奏する機会があるはずです。
暗譜さえしていれば、急に決まったオーディションにも躊躇なく挑むことができます。
また、ピンチヒッターを頼まれたとき、チャンスを取りこぼすこともありません。
年末は体調を崩しやすいですから・・・備えあれば憂いなし。

 

2. レパートリーをとにかく増やす

オーディション情報を知ったのが締め切りギリギリだった、公示から本番までの期間が短くて準備が間に合わない、といったことは本当によくあります。
でもレパートリーがたくさんあれば、どれかが課題曲に当たる確率が上がりますし、準備期間が短くても堂々と演奏することが可能です。
ここで申し上げるレパートリーとは・・・

・すべて暗譜しているもの
・いつでも舞台に上がれる!というくらい音楽的に練り上げられているもの
・余裕を持って歌いきれるもの

特にお勧めしたいのは、モーツァルトのオペラアリアです。
海外のオペラコンクールでも課題曲になるため、自分の声種の物はレチタティーヴォまでしっかり歌っておきましょう。
また歌曲は、同じ歌詞のものをチェックしておくと暗譜の手間が省けるのでオススメです。

例:
SchubertとR.Straussの”Das Rosenband”
DowlandとQuilterの”Weep you no more sad Fountains”
LisztとSchubertとBeethovenの”Freudvoll und leidvoll”

楽譜は重いし、意味調べで徹夜しなければいけないこともあるかもしれませんが、力技は体力のある学生のうちに頑張りましょう!

 

3. 響きの悪い部屋で練習をする

本番直前の声出し室は、楽屋やいびつな形をした控え室、和室、絨毯敷きなどあまり良い響きではない部屋であることもしばしば。
また、オーディション会場自体も会議室のようなところであったり、オペラのセットが組まれていて響きが捉えにくかったりと、演奏者には「デッド」に聴こえる場合もあります。

そのような会場でも実力を発揮するために、普段から響きの悪い環境でも歌える練習をしましょう。

1回につき5〜10分くらいでも、
・和室
・机と椅子が並んだ教室
・窓にカーテンを引く
・布団をかぶる

などの条件で歌ってみてください。
慣れてきたら、カーテンをランダムに開けたり、本を積んだりして、なるべく複雑な響きの中で歌うと、さらに鍛えられますよ。

 

4. コンクールをたくさん受ける

こちらは、私自身が後悔していることです。
学生時代にはコンクールの経験がほとんどなかったため、卒業してからオーディションを受け始めると

・初めての会場で
・ろくにウォーミングアップもできずに
・1発勝負の演奏をする

という流れの中、なかなか100%の力を発揮できずに苦労しました。
コンクールには賛否両論ありますが、私は積極的に受けるべきだと考えます。
順位よりもプロセスを大事にし、練習のつもりで割り切って挑戦してみてください。

 

 

おまけ 人に審査されるって最低の体験、本当にイライラする!

某オーディションで、私が受けたときのお話です。
本番を演奏する(リハーサル室のような)部屋の外には控え室があり、演奏を控える歌手たちとスタッフさんがいました。
数名の歌手とスタッフさんが終始ペチャクチャ・・・さてはあなたたち仲間ですね。もしかして事前に何か情報を得ていたりするのでは!?というか超うるさいんですけど!となんだか気持ちが落ち着きません。。

そうこうしている間に自分の番がきたので、気を取り直して会場に入りました。
審査員は2、3人。表情も硬く、声も近くに感じます。
気にしない、気にしない!と思いつつ歌い始めたのですが、ちょっとしたところでピアニストさんとの息がずれてしまいました。
その瞬間です!某有名審査員の顔があからさまに険しくなったのは。

—このことを思い出すと、私は今でもとてもイライラしてしまいます。(笑)
間違えた私が悪いけど、そんな顔しなくていいじゃないか!あなたは本番中に事故ったことはないの?そもそも、あなたは歌手じゃないのに何を審査しているんだ!といろいろとネガティブな思いはあふれるのですが、結局のところ、自分の存在を否定された気がしたんですね。

歌手にとって、歌の技量を審査されるというのは自分という人間そのものを審査されるのと限りなく同一に感じるもの。しかし実際は、同じではないですよね。
オーディションも歌を審査されるのであって、人格を計量されているわけではなく、つまり受かった人は優れていて、落ちた人は劣っているというものではありません。
私はこの嫌~な出来事を通して、歌と人間は切り離して考えるということを学びました。
あの表情、本当にイライラしたけれど、今では少しだけ感謝していますよ、ありがとう◯◯先生:)

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