【演奏家のための】読みやすい楽譜の書き方【書き譜】

2017/07/16
音楽家の生活

近年、フリーの楽譜作成ソフトも充実してきて、誰でも気軽に美しい楽譜が起こせるようになりました。
また演奏家にとっては、既成曲のアレンジや移調などで活用するケースも多いと思います。

しかしながら、楽譜の正しい記譜方法を知らない演奏家も多いのではないでしょうか。
普段何気なく読んでいる楽譜も、細かい点に注意して初めて見やすく読譜しやすい楽譜になるのです。

それではまずは、基本的な注意点から見てみましょう。

楽譜を書くときの基本的な注意点

1)レイアウト = 全体設計

楽譜を書き始める前に、まずは全体のレイアウトを考えましょう。
大枠の楽曲形式、また細かく楽節単位まで、どのように音楽が構成されているかを考え設計し、ページ数、小節数と小節間隔のバランスを考慮します。

 

2)段構成

ポイントは、楽節に沿って改段することです。音楽の構成がわかるレイアウトにすると、初見演奏が非常にやりやすくなります。

 

基本的に、音楽は4小節ないしは8小節の楽節から構成されています。
そのため、1段当たりの小節数を4小節ないしは8小節とするのがベター。
同じモチーフの繰り返し、逆行系のモチーフなどが縦に並び、構成が一目で判別できるようになります。

 

3)小節の配置 幅、間隔の調整

アウフタクトの有無や、1小節当たりの音符の数によっても、1小節に必要とされる小節の幅は変わってきますから、常に1段に4小節ずつとはいきません。その場合でも、12や24の公約数(6小節など)で1段の小節数を構成すると、段の最後の小節に音楽の区切り(終止、疑終止など)が揃って読みやすくなります。
そのように、和声的な動きに連動した小節の配置にすると、より音楽の構成が理解しやすくなります。
辻褄が合わない分は、前後の段で小節を増やしたり減らしたりして調整します。

 

4)改ページ

改ページ位置は同様に、音楽の大きな区切りを意識してつけると良いでしょう。

譜面の下部から上部に視線を移す際は、視線のインターバルがありますので、演奏への影響を最小限におさえるため、動きのある旋律の途中で改ページされない配慮が必要です。
楽曲形式を意識し、音楽的な区切りで改ページできたらベストですね。

 

5)適切なマーク

もちろん、小節番号、練習番号を振ることも大事です。デュオ以上のアンサンブルの楽曲の場合は、小節番号と練習番号は必須です。また、曲想が変わる部分に適度にダブルバーを挿入するというのも楽譜を読みやすくするポイントです。

 

6)拍子感のあるリズム表記

リズムの表記に関しては、必ず拍子を意識します。
拍子によって、音符の旗の区切りを変えます。どのように旗を連結するかによって、視覚的に捉えられる拍子感、リズム感が大きく変わってくるからです。

AとBのリズムは同じですが、譜面を見た時に受ける拍子感が全く違うのがわかりますね。
この場合はBが正しい表記の仕方となりますが、4/4の拍子を感じさせる並びになっているのがわかります。
休符や伸ばす音の割り方や、シンコペーションも言わずもがな。
ポリリズムの場合は、できるだけ視覚的にリズムの配分がわかるような書き方をした方が、演奏の際に大きな助けとなります。

 

こんな楽譜は読みづらい

1)譜めくりしづらい

譜めくりの邪魔になるような場所に「改ページ」が挿入されている楽譜は、読みづらいです。
演奏者も、譜めくりの都合を考えて楽譜を製本するものですが、忙しく手を使っている演奏個所に改ページ位置がきていると、譜めくりのための挙動を必要とし、ミス等のリスクとなりやすいのです。

一番良いのは、適度に休符やロングトーンのある小節がページの最後にくるパターンです。休符の間、音符を伸ばしている間に、ページをめくれます。
しかし管楽器や弦楽器など、音をのばしている間も両手を使っているような楽器の場合は、ロングトーンの最中に譜めくりは出来ません。何の楽器の楽譜なのか、その楽器の演奏の都合も考慮できると良いですね。スコアの場合は最も忙しく動いているパートに考慮し、合わせると良いでしょう。

 

2)リピートやダルセーニョのページまたぎ

また、リピート記号の位置も確認しておかなければなりません。
リピートする際に譜めくりを必要とするような譜面の書き方は、演奏者にとって非常に不都合です。
その場合、ひとつひとつの小節幅を狭くしたり、段の間の余白を調整したりして1ページ当たりの段数を増やし、全体のページ数を減らすなどの工夫が必要です。

 

3)視線があちこち移動するダルセーニョとコーダの多用

ポピュラーの楽譜に多く見られるダルセーニョとコーダの多用も、演奏の際はとても気になり邪魔になります。
視線があっちに行ったりこっちに行ったりするので、ダルセーニョの際にセーニョ記号の場所を見失う、コーダに移る時にコーダ1とコーダ2を見間違う、など音楽の進行にとって重大な事故を引き起こしかねません。
同じフレーズであっても、改めて小節を確保し記譜したほうが、見やすい楽譜になる場合があります。
もちろん、ダルセーニョやコーダの間に改ページがくるときは、現実的に譜めくりができるのかどうか配慮しましょう。
筆者も、ダルセーニョやコーダの間に改ページが何度もある場合、どのように譜面を製本したらよいか、よく悩みます。

 

4)音高や音域がわかりづらい

音域について、架線の書き方や音部記号の選択も注意したいポイントです。
架線がやたら何本も付加されているとやはり初見の障害になりますので、適度にオッターヴァを使い、5線内に収まるように調整します。また、しばらく5線の外に出るようなフレーズが続く場合は、へ音記号からト音記号、ト音記号からヘ音記号へと音部記号を変えるという選択も必要です。

 

しかし、一貫性が無かったり、音部記号の変更があまり頻繁だったりすると奏者が振り回されますので、多用しないようにします。

 

まとめ

見やすい楽譜を書くポイントは、とにかくパッと見て読みやすく、演奏の都合を考えた楽譜です。

・楽節や和声進行を意識した段構成、楽曲形式を意識したページ割りで、見た目に曲の構成がわかるような配置にする。
・演奏の際の手や視線の都合を考える。改段や改ページの位置には特に注意を払う。
・譜めくりの都合を考える ページをまたいで(めくって)視線を移すことがおこらないような工夫を。
・音高やリズムが読み取りやすいような書き方にする

よりインテリジェンス溢れる楽譜で、一歩差を付けましょう!

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