若手実力派ピアニストとしてその名を轟かせている金子三勇士。演奏の素晴らしさはもちろん、彼の人間性にも心惹かれるファンが続出しています。

コロナ禍であっても立ち止まることなく音楽の力を発信し続けている金子氏は、2021年に日本デビュー10周年を迎え、2022年3月にニューアルバム『フロイデ』をリリース!

今回は、ニューアルバム『フロイデ』と金子氏のこれまでの活動についてご紹介します。

プロフィール

©Ayako Yamamoto
1989年日本人の父とハンガリー人の母のもとに生まれる。6歳で単身ハンガリーに渡りバルトーク音楽小学校に入学、2001年からは11歳でハンガリー国立リスト音楽院大学(特別才能育成コース)に入学。
2006年に全課程取得とともに帰国、東京音楽大学付属高等学校に編入する。東京音楽大学を首席で卒業、同大学院修了。2008年、バルトーク国際ピアノコンクール優勝の他、数々の国際コンクールで優勝。第22回出光音楽賞他を受賞。
これまでにゾルタン・コチシュ、小林研一郎、ジョナサン・ノット他と共演。国外でも広く演奏活動を行っている。
NHK-FM「リサイタル・パッシオ」に司会者としてレギュラー出演。 2019年5月には新譜CD「リスト・リサイタル」をリリースした。
コロナ禍でも、オンラインを活用したさまざまな企画を発信中。2021年には日本デビュー10周年を迎えた。キシュマロシュ名誉市民。スタインウェイ・アーティスト。
オフィシャルHP

ニューアルバム『フロイデ』リリース

金子氏は、2022年3月4日にニューアルバム『フロイデ』をリリース。気になる収録曲や聴きどころについてご紹介します。

収録曲

『フロイデ』金子三勇士

1.フロイデ ~交響曲 第9番 ニ短調 作品125《合唱》から第4楽章(特別編)
ベートーヴェン:(リスト/金子三勇士編曲)
2.アヴェ・マリア
シューベルト:(リスト編曲)
3.アヴェ・ヴェルム・コルプス
モーツァルト:(リスト編曲)
4.G線上のアリア
J.S.バッハ:(金子三勇士編曲)

聴きどころ

なんといってもアルバムタイトル曲「フロイデ ~交響曲 第9番 ニ短調 作品125《合唱》から第4楽章」が聴きどころです!
金子氏が深く敬愛する作曲家フランツ・リストは、他の作曲家の作品を数多くピアノ用に編曲しました。ベートーヴェンの9つの交響曲も全てピアノ用に編曲しています。それを基に、さらに金子氏が「リスト/金子版」として編曲したのが「フロイデ」です。

筆者は2021年にコンサートで金子氏の「交響曲第9番《合唱》第4楽章」を聴きましたが、一人で演奏しているとは思えない迫力で会場中が驚きと感動に包まれていました。「フロイデ」では、さらに金子氏の編曲がバージョンアップされているとのこと!とても楽しみですね。

またJ.S.バッハの「G線上のアリア」も金子氏が編曲。リスト編曲の「アヴェ・マリア」(シューベルト)、「アヴェ・ヴェルム・コルプス」(モーツァルト)と共に、どれもクラシック初心者でも楽しめるような馴染み深い曲ばかり。
金子氏の挑戦が詰まったこのアルバムは、大きな話題となること間違いなしです。

これまでの活動

©Günter Zorn

2011年7月に東京オペラシティでデビューリサイタルを開いた金子氏。同年、第12回ホテルオークラ音楽賞を受賞し、翌年には第22回出光音楽賞受賞と高い評価を得ました。その後は国内外での数々のコンサートやTV・ラジオ出演など幅広く活躍し続けています。

昨年は「NHK音楽祭2021」に出演し、九州交響楽団と共にリストの「ピアノ協奏曲 第1番 変ホ長調」を演奏しました。
そんな金子氏のこれまでの活動についてご紹介します。

映画『蜜蜂と遠雷』で話題に

2019年に公開された映画『蜜蜂と遠雷』では、信念の貴公子・マサル(森崎ウィン)の演奏を担当し話題になりましたね。

バルトーク 「ピアノ・ソナタ Sz.80」、リスト「ピアノ・ソナタ ロ短調」などを演奏し、小説ファンのみならず多くの音楽ファンを喜ばせました。それらはインスパイアード・アルバムでも聴くことができます。

どのようにして『蜜蜂と遠雷』の実写化が実現したのか⁉詳しくは下記記事をご覧ください。

軽妙なトークでラジオ番組やコンサートも人気

金子氏は軽妙なトークにも定評があり、コンサートでは演奏のみならずMCを楽しみにしているファンも多いほどです。また、毎回実力あるアーティストをゲストに迎えるラジオ音楽番組「リサイタル・パッシオ」(NHK-FM)の司会者も務め、インタビューではゲストの魅力を存分に引き出しています。

カルチャースクールで音楽講座を行うこともあり、作曲家の人生などクラシックにまつわる話を演奏を交え分かりやすく解説しており、毎回人気の講座となっています。

アウトリーチ活動に熱意

金子氏の素晴らしさは、一人の人間として社会人として何ができるかを常に自身に問いかけているところです。そんな彼はアウトリーチ活動を積極的に行っています。子供たちの夢や、病気の人々の希望に繋がればという想いの下、学校のみならず病院や介護施設でもコンサートを開いているのです。

また、活用の進んでいない公共音楽ホールにも足を運び、地域の芸術文化の発展に繋げたいと地道に活動を展開しています。そこには、「音楽家である以上、社会に対して貢献するのは当たり前」というヨーロッパで彼自身が学んだプロの音楽家たちの思想が根底にあるのです。

まとめ

金子三勇士というプロピアニストの魅力が少しでも伝わったでしょうか?
金子氏は全国各地で積極的に演奏活動をされています。お近くでコンサートがある時は、ぜひ足を運んで彼の演奏と人間的な魅力に触れてみてくださいね。