ロシアで開催される「チャイコフスキー国際コンクール」は、エリザベート王妃国際音楽コンクール(ベルギー)、ショパン国際ピアノコンクール(ポーランド)とともに、世界三大コンクールに数えられる、伝統と権威を備えた大会です。

クラシック音楽界における一大イベントであり、若手音楽家にとって世界へ羽ばたく第一歩となるこのコンクール。ウクライナ情勢の影響は気になるところですが、4年に1度の開催を待ち望むクラシック音楽ファンも多いことでしょう。

本記事では、チャイコフスキー国際コンクールについて、概要や2023年大会の日程や課題曲などを解説します。

チャイコフスキー国際コンクールとは?

画像出典:The International Tchaikovsky Competition

チャイコフスキー国際コンクールは、ロシアのモスクワとサンクトペテルブルクにて1958年から4年に1度開催されている、クラシック音楽のコンクールです。大会名の由来は、同国の作曲家ピョートル・チャイコフスキーから。

冒頭で述べた通り、エリザベート王妃国際音楽コンクール、ショパン国際ピアノコンクールと並ぶ「世界三大音楽コンクール」に数えられる、まさに音楽の祭典です。

コンクール創設当初はピアノとヴァイオリンの2部門のみが審査対象でしたが、第2回大会以降はチェロ部門が、第3回大会からは声楽部門が、そして第16回大会からは木管楽器部門・金管楽器部門が加わっています。

【チャイコフスキー国際コンクール公式サイト】

チャイコフスキー国際コンクールの歴代優勝者

チャイコフスキー国際コンクールは、プロを目指す若手奏者の登竜門として知られています。ここでは、コンクールの歴代優勝者を一部紹介します。

ヴァン・クライバーン

ヴァン・クライバーンは、1958年開催の第1回大会で優勝したアメリカのピアニストです。

コンクールの開催当時、開催国のソ連はアメリカと対立関係にありました。いわゆる冷戦下のこの時代、アメリカ人のヴァン・クライバーンがソ連のコンクールに参加し、さらに優勝までしたのです。

このことは世界で大きな話題となり、クライバーンは一躍アメリカの英雄となりました。そして、1962年には彼の名を冠した「ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール」が創設されます。

マリオ・ブルネロ

マリオ・ブルネロはイタリアのチェリストで、1986年の第8回大会で優勝しました。これまで世界中の名だたるオーケストラや指揮者と共演を果たしています。

彼は指揮者や室内楽奏者としても活躍しており、現代最高峰のチェリストのひとりといわれています。

過去には日本人優勝者も!

上原彩子

上原彩子は、2002年の第12回大会で優勝したピアニストです。ピアノ部門において、日本人初・女性初の優勝だったこともあり、当時は大きな話題となりました。

この大会以降、国内外で着実にキャリアを積み重ね、デビュー20周年を迎えた現在もオーケストラとの共演やソロ、デュオでのコンサートなど、多彩な活躍を続けています。

諏訪内 晶子

諏訪内晶子は、1990年開催の第9回大会で優勝したヴァイオリニストです。優勝時の年齢は18で、同コンクールのバイオリン部門における史上最年少かつ日本人初の優勝者として注目を集めました。

現在はソリストとしての音楽活動に加えて、国際コンクールの審査員や「国際音楽祭NIPPON」の芸術監督を務めるなどの活動を行っています。

2023年の6~7月には第17回大会が開催予定

2023年の6月19日から7月1日には、チャイコフスキー国際コンクールの第17回大会が開催予定です。

コンクールの応募期間はすでに終了しており、4月現在、大会参加者を決めるための予備審査が進められているところです。ただし、ウクライナ情勢次第では大会の日程が変更となる可能性もないとは言い切れません。もし何かしらの発表があれば、本ブログでもお伝えする予定です。

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第17回チャイコフスキー国際コンクールの流れと審査部門

大会の流れ

まず、世界各国の応募者から本大会出場者を選出するために、ビデオによる予備審査が行われます。本大会へ進める人数は下記の通りです。

ピアノ部門

25名

ヴァイオリン部門

25名

チェロ部門

25名

声楽部門

男声

30名

女声

30名

管楽器部門

木管楽器

48名

金管楽器

48名

また、本大会では一次審査・二次審査・本選の3つの審査段階が設けられています。最終的な入賞者数については発表されていませんが、直近の第16回大会では各部門ごとに4~8名となっています。

審査部門

第17回チャイコフスキー国際コンクールの審査部門は、以下の5つです。

  • ピアノ
  • ヴァイオリン
  • チェロ
  • 声楽
  • 管楽器

管楽器部門は、木管楽器(フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット)と金管楽器(トランペット、ホルン、トロンボーン、チューバ)が対象です。

第17回チャイコフスキー国際コンクールの課題曲

ピアノ部門

◆予備審査

選曲の条件

演奏時間

チャイコフスキーの作品を1曲以上含める

25分以上30分以内

◆一次審査

作曲者

曲目等

演奏時間

1

J.S.バッハ

「平均律クラヴィーア曲集」の第1巻または第2巻から前奏曲とフーガ(1曲)

40分以上

50分以内

2

下記の作曲家のうちいずれか

・ハイドン

・モーツァルト

・ベートーヴェン

・クレメンティ

古典派ピアノ・ソナタ(全楽章)

3

チャイコフスキー

任意の作品(1曲以上)

4

・ショパン

・リスト

・ラフマニノフ

各作曲家によるエチュード(1曲ずつ)

◆二次審査(独奏)
※一次審査で演奏した曲を除く

作曲者/曲目等の規定

演奏時間

1

チャイコフスキー/任意の作品(1曲以上)

50分以上

60分以内

2

下記のいずれかの作曲家による作品(1曲以上)

・バラキレフ

・グラスノフ

・メトネル

・ムソルグスキー

・ミャスコフスキー

・プロコフィエフ

・ラフマニノフ

・スクリャービン

・R. シチェドリン

・ショスタコーヴィチ

・ストラヴィンスキー

◆本選

作曲者/曲目等の規定

1

チャイコフスキー/ピアノ協奏曲 第1番または第2番

2

任意の作曲者/ピアノ協奏曲(1曲)

ヴァイオリン部門

◆予備審査

選曲の条件

演奏時間

チャイコフスキーの作品を1曲以上含める

30分以内

◆一次審査

作曲者/曲目等の規定

演奏時間

1

J.S.バッハ/無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番ハ長調 (BWV1005)からアダージョとフーガ、または無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番ニ短調(BWV1004)からシャコンヌ

40分以上

50分以内

2

パガニーニ/24のカプリースより第24番と任意のカプリース1曲

3

チャイコフスキー/ワルツ・スケルツォ(Op.34)

4

自由曲(1曲以上)

◆二次審査(独奏)
必ずロシアの作曲家による作品を含むこと
※一次審査で演奏した曲を除く

作曲者/曲目等の規定

演奏時間

1

下記のいずれかの作曲家によるヴァイオリン・ソナタ

・モーツァルト(※幼年期のソナタは除外)

・ベートーヴェン

・シューベルト

・R.シューマン

・ブラームス

・グリーグ

・フランク

・ドビュッシー

・ラヴェル

・R.シュトラウス

・バルトーク

・プロコフィエフ

・ショスタコーヴィチ

・マルティヌー

50分以上

60分以内

2

A virtuoso piece.(Произведение виртуозного характера.)

3

下記のうちいずれか1曲

・クライスラー/任意の作品

・チャイコフスキー/憂鬱なセレナード(Op.26)

・ラフマニノフ/ロマンス(Op.6-1)

4

自由曲

◆本選

作曲者/曲目等の規定

1

チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲ニ長調(Op.35)オリジナル版

2

下記のモーツァルト作品のいずれか

・ヴァイオリン協奏曲 第3番 ト長調(KV.216)

・ヴァイオリン協奏曲 第4番 ニ長調「軍隊」(KV.218)

・ヴァイオリン協奏曲 第5番 イ長調「トルコ風」(KV.219)

チェロ部門

◆予備審査

選曲の条件

演奏時間

チャイコフスキーの作品を1曲以上含める

30分以内

◆一次審査(独奏)

作曲者/曲目等の規定

演奏時間

1

下記のJ.S.バッハ作品のいずれか1曲より、前奏曲とサラバンド

・無伴奏チェロ組曲 第3番(BWV1009)

・無伴奏チェロ組曲 第4番(BWV1010)

・無伴奏チェロ組曲 第5番(BWV1011)

・無伴奏チェロ組曲 第6番(BWV1012)

40分以上

50分以内

2

チャイコフスキー/カプリッチョ風小品(Op.62)

3

A.ピアッティ/無伴奏チェロのための12のカプリース(Op.26)のいずれか1曲 ※第1番を除く

4

自由曲(1曲以上)

◆二次審査(独奏)
必ずロシアの作曲家による作品を含むこと
※一次審査で演奏した曲を除く

作曲者/曲目等の規定

演奏時間

1

下記のいずれかの作曲家によるチェロ・ソナタ

・ベートーヴェン

・シューベルト

・ブラームス

・マルティヌー

50分以上

60分以内

2

A virtuoso piece.(Произведение виртуозного характера.)

3

自由曲(1曲以上)※ソナタの第1楽章または第2楽章の演奏も可

◆本選

作曲者/曲目等の規定

1

チャイコフスキー/ロココ風の主題による変奏曲 イ長調(Op.33)

2

任意のチェロ協奏曲

声楽部門

◆予備審査

作曲者/曲目等の規定

演奏時間

1

チャイコフスキー/任意の歌曲(1曲)

30分以内

2

任意のアリア(2曲)

◆一次審査

作曲者/曲目等の規定

演奏時間

1

下記のいずれかの作曲家によるオペラ、カンタータ、またはオラトリオからのアリア(1曲)

・JS バッハ

・パーセル

・ヘンデル

・グルック

・ハイドン

・モーツァルト

20分以内

2

下記のいずれかの作曲家によるオペラ・アリア(1曲)

・ウェーバー

・ロッシーニ

・ドニゼッティ

・ベルリーニ

・グリンカ

・ワーグナー

・ヴェルディ

・グノー

・モニューシュコ

・スメタナ

・ボロディン

・サン=サーンス

・ドリーブ

・ビゼー

・ムソルグスキー

・ドヴォルザーク

・リムスキー=コルサコフ

・レオンカヴァッロ

・プッチーニ

・マスカーニ

・ラフマニノフ

・チャイコフスキー

3

チャイコフスキー/歌曲(1曲)

◆二次審査

作曲者/曲目等の規定

演奏時間

1

チャイコフスキー/歌曲(1曲)

※一次審査で選択した作品と16の子どものための歌(Op.54)を除く

35分以内

2

下記のいずれかの作曲家による歌曲(1曲)

・シューベルト

・シューマン

・グリンカ

・バラキレフ

・ダルゴムイシスキー

・ボロディン

・ムソルグスキー

・リムスキー=コルサコフ

・ベートーヴェン

・ブラームス

・グリーグ

・メンデルスゾーン

・ドヴォルザーク

・ドビュッシー

・ラフマニノフ

・ラヴェル

・マーラー

・ヴォルフ

・ファリャ

・プロコフィエフ

・ショスタコーヴィチ

・ スヴィリードフ

3

アカペラまたはピアノ伴奏による民謡歌曲

※演奏者の出身国の作品が望ましい

4

有名なアリア(任意選択・1曲)

5

1950年以降に作曲されたオペラ、カンタータ、オラトリオのアリア(1曲)

◆本選

作曲者/曲目等の規定

1

チャイコフスキー/オペラまたはカンタータ「モスクワ」からのアリア(1曲) ※バリトンは第4曲、メゾ・ソプラノは第5曲

(コロラトゥーラ・ソプラノはリムスキー=コルサコフのオペラから任意のアリアを選択)

2

任意のオペラ・アリア(1曲)

管楽器部門:木管楽器

木管楽器の部門は、フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴットが審査対象です。課題曲の規定は次の通り。

フルート

◆予備審査

作曲者/曲目等の規定

1

モーツァルト/フルート協奏曲 第1番ト長調(KV 313) または第2番ニ長調(KV 314)の第1楽章

※演奏者自身が作ったカデンツァを演奏することが望ましい

2

ゴーベール/幻想曲

3

ツィビン/フルートとピアノのための演奏会用練習曲 第1番(スケルツォ)

◆一次審査(独奏)

作曲者/曲目等の規定

1

J.S.バッハ/無伴奏フルート・ソナタ(パルティータ)イ短調

2

ツィビン/コンサート・アレグロ第1番、第2番、第3番のいずれか

◆二次審査(独奏)

作曲者/曲目等の規定

チャイコフスキー/憂鬱なセレナード Op.26(編曲)

 

ブリアコフによるヘ短調編曲、または演奏者自身の編曲を含むその他の編曲

※演奏者編曲の場合はピアノパートの譜面を提出すること

下記のうちいずれか1曲

・E.デニソフ/フルートとピアノのためのソナタ

・ナゴヴィツィン/フルートソナタ

・プロコフィエフ/無伴奏ヴァイオリンソナタ Op.115(編曲)

 編曲者は任意、演奏者自身の編曲も可

・コルナコフ/フルートとピアノのためのソナタ第1番または第2番

下記のうちいずれか1曲

・パガニーニ/ラ・カンパネラ(編曲)

 ブリアコフ、J.バーリント、または演奏者自身の編曲を含むその他の編曲

・サン=サーンス/序奏とロンド・カプリッチョーソ(編曲)

 ブリアコフによる編曲、または演奏者自身の編曲を含むその他の編曲

・ベーム/グランドポロネーズ

下記のうちいずれか1曲

・ベリオ/セクエンツァ第1

・カーター/スクリーヴォ・イン・ヴェント

・一柳 慧/忘れえぬ記憶の中に

・武満 徹/声

・尹伊桑/フルートソロのための練習曲 第5番

◆本選

作曲者/曲目等の規定

1

下記のC.P.E.バッハによる協奏曲のいずれか1曲

・フルート協奏曲 イ長調(Wq.168)

・フルート協奏曲 イ短調(Wq.166)

・フルート協奏曲 ニ短調(Wq.22)

・フルート協奏曲 ト長調(Wq.169)

2

チャイコフスキー/オペラ「エフゲニー・オネーギン」よりレンスキーのアリア(L.アウアーのヴァイオリン版を基にしたアンドレイ・ルブツォフによる編曲)

3

チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲 ニ長調

ブリアコフによるヘ長調フルート編曲版より第3楽章 アレグロ・ヴィヴァチッシモ

オーボエ

◆予備審査

作曲者/曲目等の規定

1

モーツァルト/オーボエ協奏曲ハ長調(KV.314)より第1楽章 アレグロ・アペルト

※演奏者自身が作ったカデンツァを演奏することが望ましい

2

ボザ/田園風幻想曲(Op.37)※ピアノ伴奏

◆一次審査

作曲者/曲目等の規定

1

テレマン/12のファンタジーよりいずれか1曲

2

下記の作品よりいずれか1曲

・N.カスティリョーニ/オーボエ独奏のための<アレフ>

・ベリオ/セクエンツァ 第7

・ホリガー/オーボエ独奏のための練習曲 第2番

3

下記の作品よりいずれか1曲

・サンカン/オーボエ・ソナチネ

・デュティユー/オーボエ・ソナタ

・サン=サーンス/オーボ・エソナタ ニ長調(Op.166)

・プーランク/オーボエ・ソナタ(EP185)

◆二次審査(独奏)

作曲者/曲目等の規定

1

下記の作品よりいずれか1曲

・クープラン/新しいコンセール 第14番 ニ短調

・ヴィヴァルディ/オーボエ・ソナタ ハ短調(RV.53)

・C.P.E.バッハ/オーボエ・ソナタ ト短調(Wq135)

2

R.シューマン/3つのロマンス(Op.94)

3

下記の作品よりいずれか1曲

・ブリテン/テンポラル・ヴァリエーションズ

・ドラティ/オーボエとピアノのためのデュオ・コンチェルタンテ

・P.ハース/オーボエ組曲(Op.17)

◆本選

作曲者/曲目等の規定

1

チャイコフスキー/チャイコフスキー/オペラ「エフゲニー・オネーギン」よりレンスキーのアリア(L.アウアーのヴァイオリン版を基にしたアンドレイ・ルブツォフによる編曲)

2

R.シュトラウス/オーボエ協奏曲 ニ長調(TrV292)

クラリネット

◆予備審査

作曲者/曲目等の規定

1

モーツァルト/クラリネット協奏曲 イ長調(K.622)より第1楽章 アレグロ

※演奏者自身が作ったカデンツァを演奏することが望ましい

2

ドビュッシー/クラリネットのための第1狂詩曲

◆一次審査(独奏)

作曲者/曲目等の規定

1

モーツァルト/クラリネット協奏曲 イ長調(K.622)より第1楽章 アレグロ

※演奏者自身が作ったカデンツァを演奏することが望ましい

2

ストラヴィンスキー/クラリネット独奏のための3つの小品

3

チャイコフスキー/バレエ音楽「白鳥の湖」より「ロシアの踊り」

◆二次審査(独奏)

作曲者/曲目等の規定

1

R.シューマン/幻想小曲集(Op.73)

2

デニソフ/無伴奏クラリネットのためのソナタ

3

L.バッシ/ヴェルディのオペラ「リゴレット」による幻想曲

◆本選

作曲者/曲目等の規定

1

ドビュッシー/クラリネットのための第1狂詩曲

2

チャイコフスキー/チャイコフスキー/オペラ「エフゲニー・オネーギン」よりレンスキーのアリア(L.アウアーのヴァイオリン版を基にしたアンドレイ・ルブツォフによる編曲)

3

ロッシーニ/クラリネットとオーケストラのための序奏、主題と変奏

ファゴット

◆予備審査

作曲者/曲目等の規定

1

モーツァルト/ファゴット協奏曲 変ロ長調(K.191/186e)より第1楽章 アレグロ

※演奏者自身が作ったカデンツァを演奏することが望ましい

2

フンメル/ファゴット協奏曲 ヘ長調(Woo23/S63)より第1楽章 アレグロ・モデラート

◆一次審査(独奏)

作曲者/曲目等の規定

1

モーツァルト/ファゴット協奏曲 変ロ長調(K.191/186e)より第1楽章 アレグロ

※演奏者自身が作ったカデンツァを演奏することが望ましい

2

チャイコフスキー/6つの小品より夜想曲 嬰ハ短調(Op.19,No.4)または2つの小品より夜想曲 ヘ長調(Op.10,No.1)I.コストランによる編曲

◆二次審査(独奏)

作曲者/曲目等の規定

1

下記のどちらか1曲

・マルセル・ビッチュ/ファゴットと管弦楽のためのコンチェルティーノ

・ヴィラ=ロボス/ファゴットと弦楽合奏のための<7つの音のロンド>

2

ボノー/ワルツ形式のカプリース

3

チャイコフスキー/四季より「8月」(収穫)I.コストランによる編曲

4

ジェイコブ/ファゴットのためのパルティータ

◆本選

作曲者/曲目等の規定

1

チャイコフスキー/チャイコフスキー/オペラ「エフゲニー・オネーギン」よりレンスキーのアリア(L.アウアーのヴァイオリン版を基にしたアンドレイ・ルブツォフによる編曲)

2

フンメル/ファゴット協奏曲 ヘ長調(Woo23/S63)より第1楽章 アレグロ・モデラート

管楽器部門:金管楽器

金管楽器の部門は、トランペット、フレンチホルン、トロンボーン、チューバが審査対象です。課題曲の規定は以下の通り。

トランペット

◆予備審査

作曲者/曲目等の規定

1

ジョリヴェ/コンチェルティーノ

2

ヴァシリー・ブラント/演奏会用小品 第1番または第2番

◆一次審査(独奏)

作曲者/曲目等の規定

1

ハイドン/トランペット協奏曲 変ホ長調(3楽章) ※使用楽器はB管またはEs管

2

下記の作品よりいずれか1曲

・ヴィズッティ/無伴奏トランペットのためのカスケード

・パーシケッティ/パラブル 第14番

・プログ/ポストカード

・武満 徹/径

3

下記の作品よりいずれか1曲 ※使用楽器はC管またはB管

・オネゲル/イントラーダ

・ズーターマイスター/演奏会用ガヴォット

・エネスコ/レジェンド

◆二次審査(独奏)

作曲者/曲目等の規定

1

下記の作品よりいずれか1曲 ※使用楽器はピッコロ・トランぺット

・ファッシュ/トランペット協奏曲 ニ長調(3楽章)

・テレマン/トランペット協奏曲 ニ長調(4楽章)

・L.モーツァルト/クラリーノ(トランペット)協奏曲 ニ長調(2楽章)

2

下記の作品よりいずれか1曲 ※使用楽器はB管

・V.ペスキン/トランペット協奏曲 ハ短調より第1楽章

・ゲディケ/トランペット協奏曲

・パフムートワ/トランペット協奏曲<初版>

3

シャルリエ/コンクールのための独奏曲 変ロ短調 ※使用楽器はコルネットまたはB管

◆本選

作曲者/曲目等の規定

1

チャイコフスキー/チャイコフスキー/オペラ「エフゲニー・オネーギン」よりレンスキーのアリア

※使用楽器はトランペットEs管、C管、B管、コルネット、フリューゲルホルンの中から演奏者が自由に選択できる

※伴奏にはオペラのスコアが使用されるが、独奏部分は演奏者自身が採譜する必要がある

2

下記の作品よりいずれか1曲 ※使用楽器はC管またはB管

・ヴァインベルク/トランペット協奏曲

・シチェドリン/トランペット協奏曲

フレンチホルン

第17回チャイコフスキー国際コンクールでは、すべての審査段階においてフルダブルホルンのみ使用が認められています。

◆予備審査

作曲者/曲目等の規定

1

モーツァルト/ホルン協奏曲 第4番 変ホ長調(K.495)よりカデンツァ付き第1楽章

※ベーレンライター版またはヘンレ版

2

ブヤノフスキー/ホルン独奏のための<旅の印象>よりエスパーニャ

※McCoy’s Horn Library版

◆一次審査

作曲者/曲目等の規定

1

下記の作品よりいずれか1曲

・ハイドン/ホルン協奏曲 ニ長調(Hob.Ⅶb-3)カデンツァはヘンレ版または演奏者によるものを演奏すること ※ヘンレ版

・モーツァルト/ホルン協奏曲 第2番 変ホ長調(K.417)

※ベーレンライター版またはヘンレ版

 

2

ブヤノフスキー/ホルンとピアノのための3つの小品より<狩風スケルツォ>

※Izdateljstvo Muzika版(レニングラード,1962年)

3

チャイコフスキー/四季より「舟歌」(Op.37,No.6)A.ウーソフによる編曲

※State Music Publishing House版(モスクワ,1958年)

◆二次審査

作曲者/曲目等の規定

1

下記の作品よりいずれか1曲

・ヴィニェリ/ホルン・ソナタ( Op.7) ※Andel版またはBrogneaux版

・ヒンデミット/アルトホルンのためのソナタ(1943) ※ショット社版

2

下記の作品よりいずれか1曲

・ボザ/頂上にて

・ボザ/森にて ※ともにルデュック版 

3

アシニモフ/ポエム ※Izdateljstvo MUZGIZ版(レニングラード,1961年)

◆本選

作曲者/曲目等の規定

1

チャイコフスキー/弦楽四重奏第1番より「ホルンと弦楽のためのアンダンテ・カンタービレ」(M.サントス編曲)

2

グリエール/ホルン協奏曲 変ロ長調(Op.91)カデンツァはV.ポレフによる

※Izdateljstvo Muzika版(Moskva,1964)またはMCA Music(Melville, New York, 1957)

トロンボーン

◆予備審査

作曲者/曲目等の規定

演奏時間

演奏者の自由選択

20分以内

◆一次審査

作曲者/曲目等の規定

1

ペルゴレージ/シンフォニア

2

下記の作品よりいずれか1曲

・ネステロフ/テナー・トロンボーンのための協奏曲

・グレンダール/トロンボーン協奏曲

・トマジ/トロンボーン協奏曲

・ダヴィッド/コンチェルティーノ(Op.4)

◆二次審査

作曲者/曲目等の規定

1

L.モーツァルト/アルト・トロンボーン協奏曲

2

下記の作品よりいずれか1曲

・ラーベ/トロンボーン独奏のための<バスタ>

・ブヤノフスキー/トロンボーン独奏のための3つの小品

・クセナキス/トロンボーン独奏のための<ケレン>

3

チャイコフスキー/歌劇「スペードの女王」組曲(C. リンドバーグによるトロンボーンとピアノのための編曲)

◆本選

作曲者/曲目等の規定

1

チャイコフスキー/「エフゲニー・オネーギン」組曲(V. Kruglik編曲)

※カデンツァは自由選択。演奏者自身が作ったカデンツァを演奏することが望ましい

2

ロータ/トロンボーン協奏曲 ハ長調

チューバ

◆予備審査

作曲者/曲目等の規定

演奏時間

演奏者の自由選択

20分以内

◆一次審査

作曲者/曲目等の規定

1

T.スティーヴンス/古風な様式の変奏曲

2

下記の作品よりいずれか1曲

・ペンデレツキ/無伴奏チューバのための奇想曲

・バシュマロフ/カッサツィオーネ

・ブヤノフスキー/Improvisation

・R.シューマン/アダージョとアレグロ(Op.70)

◆二次審査

作曲者/曲目等の規定

演奏時間

1

下記の作品よりいずれか1曲

・シュミット/チューバとピアノのためのソナタ

・プログ/チューバ・ソナタ

・マドセン/チューバ・ソナタ

・V. Kladnicki/ソナタ

30分以内

2

A virtuoso piece of the competitor’s choice

◆本選

作曲者/曲目等の規定

1

チャイコフスキー/弦楽四重奏第1番より「チューバと弦楽のためのアンダンテ・カンタービレ」(M.サントス編曲)

2

下記の作品よりいずれか1曲

・アルチュニアン/チューバ協奏曲

・G.コルチマー/チューバ協奏曲

第17回チャイコフスキー国際コンクールの結果

コンクールの結果は、詳細が分かり次第、当サイトにて紹介予定です。

第17回大会の詳細は公式ホームページで要確認

すでに予備審査が進められている第17回チャイコフスキー国際コンクールですが、ウクライナ情勢や新型コロナ騒動によって、延期や中止となることも考えられます。

大会の最新情報については、コンクールの公式サイトを随時ご確認ください。

【チャイコフスキー国際コンクール公式サイト】

まとめ

世界的に重要な音楽イベントの一つである、チャイコフスキー国際コンクール。4年ごとに開催されてきたコンクールは、今年で第17回大会を迎えます。

ここでの入賞をきっかけにして、世界的な音楽家としての名声を確立したケースも少なくありません。世界情勢が気になるところですが、大会が無事開催されたあかつきには、クラシック界全体が盛り上がるような明るい話題を提供してくれることでしょう。