【ラ・フォル・ジュルネ超え?】Proms JAPAN 2019 プロムス【世界最大級クラシックの祭典が日本初上陸】

2019/09/24
イベント

Proms[プロムス。消費者金融会社の名前ではアリマセン、念のため]」ということばを聞いたことがありますか? Promsは、英国のサマーシーズンを代表する一大音楽イベントのこと。最終日公演には必ずエルガーの行進曲『威風堂々 第1番』とその中間部の合唱ヴァージョン『希望と栄光の国』が演奏され、聴衆がオーケストラに合わせ国旗を振りながら歌うシーンをテレビ中継で見たことがある、という向きもきっと少なくないはず。

ヨーロッパの夏はどこも音楽祭シーズンですが、BBC Proms最大の特徴は、その開催期間の異例とも言える長さ。今年は7月19日に始まり最終日が9月14日、ということで、ほぼ2か月(!)にわたってさまざまなクラシック音楽が、メイン会場のロイヤルアルバートホールを中心に連日のように演奏されます。

そんな英国発の、公式サイトの表記をそのまま借用すれば「世界最高の音楽祭」が、なんと日本にいながらにして楽しめることに。それが、「BBC Proms JAPAN 2019」。今回は、今年国内初開催のこの音楽祭について、個人的に気になったプログラムをご紹介。

[出演者と公演内容は予告なく変更される場合があります]

 

オープニングはスコットランドらしいこの作品から

BBC Proms JAPAN 2019の記念すべきオープニングを飾るのは、メンデルスゾーンの名曲、序曲『フィンガルの洞窟 Op.26』。英国発の音楽祭、ということなのか、まずはもっとも英国らしさを感じさせる作品を持ってきた、という印象です。

プログラム全体を眺めると、「スコットランド」がらみが多いようにも思えます。メンデルスゾーンのこの序曲のほか、公演最終日の「ラスト・ナイト・オブ・ザ・プロムス」では現代の作曲家、サー・マルコム・アーノルド(1921-2006)の『4つのスコットランド舞曲』、そして卒業式でおなじみスコットランド民謡の『蛍の光(オールド・ラング・ザイン)』も演奏されます。また英国ゆかりの作曲家の作品では、エルガーの『チェロ協奏曲 ホ短調 Op.85』も演奏されます。

公演情報:First Night of the Proms(ファースト・ナイト・オブ・ザ・プロムス)
2019年10月30日(水)Bunkamuraオーチャードホール
18:30 開場 19:00 開演

メンデルスゾーン序曲『フィンガルの洞窟(ヘブリディーズ) Op.26』
チャイコフスキー『ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調 Op.23』(ピアノ:ユリアンナ・アヴデーエワ)
マーラー『交響曲 第5番 嬰ハ短調』
出演:管弦楽 / トーマス・ダウスゴー指揮、BBCスコティッシュ交響楽団
ピアノ / ユリアンナ・アヴデーエワ

 

スコットランド関連ではこの楽器も登場!

日本初上陸のBBC Proms JAPAN 2019ですが、スコットランドつながりでは、いかにもスコットランドといったイメージの強い伝統楽器「バグパイプ」のプレーヤーたちも登場します。

 

出演は「東京パイプバンド」。1974年、日本初のバグパイプ愛好会として発足したこのパイパー楽団は海外コンテストで優勝した経験を持ち、アイルランドの有名バンド「ザ・チーフタンズ」と共演するなど、日本を代表するバグパイプ演奏団体です。

ちなみにバグパイプはスコットランドの専売特許ではありません。バグパイプはスコットランドとおなじくケルト色の強く残る地域のアイルランド(イーリアンパイプス)、スペインのガリシア地方(ガイタ)、フランスのブルターニュ半島(ビニュー)にとどまらず東欧やギリシャにまで伝わっており、その世界は意外に広かったりします。

公演情報:渋谷マークシティ「マークイベントスクエア」サテライト会場
公演情報:2019年11月3日(日・祝)
1 12:00~12:30 ②14:15~14:45 ③17:15~17:45
出演:東京パイプバンド
演目種:ワールドミュージック(スコットランド音楽)

 

クラシックだけじゃない、ジャズも楽しめるBBC Proms JAPAN 2019

今回、公演プログラムを見てちょっと驚いたのは、クラシック音楽祭ではあるけれど、ジャンル横断的・クロスオーヴァー的プログラムも用意されている点。バグパイプなどの民族音楽系のほかに、なんとジャズまで楽しめてしまうというから、クラシックとジャズどちらも好きな方にはかなり食指をそそられるのではないかと思われます。

演奏陣も豪華な顔ぶれ。日本人ジャズ作曲家 / 編曲家の挾間美帆氏と自身のジャズ室内楽団「m_unit」をはじめ、ジャズギターのリー・リトナー、映画音楽の作曲家としても活躍するジャズピアニストのデイヴ・グルーシン、ドラムスのウェス・リトナー、ベースのエイブラハム・ラボリエルといった日本でも人気どころのアーティストが勢ぞろい。そして後日発表の「特別ゲスト」も登場するとかで、こちらも期待したいところ。

公演情報:2019年11月1日(金)18:00 開場 18:30 開演
Bunkamuraオーチャードホール
前半 18:30~
挾間美帆
後半 19:50~
Lee Ritener Dave Grusin Dream Band featuring Ivan Lins

 

北欧・ロシア音楽、日本人作曲家の作品もラインアップ

BBC Proms JAPAN 2019にはシベリウスなどの北欧の作品やロシア、そして日本の作曲家の作品も用意されています。名ヴァイオリニスト、ヴァディム・レーピンの登場するチャイコフスキーの『ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.35』も要チェックですが、細川俊夫の1982年の作品『プレリューディオ』という現代作品が入っているのはかなり目新しいのでは。筆者自身、邦人作曲家で実演に接したことがあるのはせいぜい武満徹や三善晃、というテイタラクですので、こうした実演に接するチャンスはすこぶるラッキーと言えるでしょう(三善晃氏のときはご本人も会場に来ていたのを覚えています)。
また、「BBCプロムスの楽しみ方」というトークイベントも用意されており、三浦文彰氏や宮田大氏といった出演ソリストたちの貴重なお話も聞くことができます。

BBC Proms JAPAN 2019 無料コンサート
開催日:2019年11月2日(土)、3日(日・祝)、4日(月・振休)
SHIBUYA109 店頭イベントスペース、渋谷マークシティ「マークイベントスクエア」、渋谷駅付近[予定]
出演:高野猶幸(サクソフォン、クラリネット)、サイモン・コスグローブ(サクソフォン、ピアノ)、中野優樹(ベース)、岡田真帆(パーカッション)、小田朋美(ヴォーカル)、三枝伸太郎(ピアノ)、東京パイプバンド、細川千尋トリオほか

 

Promsか、LFJ(ラ・フォル・ジュルネ)か

元祖Promsのすばらしい点は、プログラムがバッハから近現代までバラエティに富んでいること、BBCの名を冠しているだけあって連日、BBCラジオのクラシック専門放送局Radio3でライヴストリーミング配信されていること。ネット接続環境さえあれば世界のどこでも楽しむことができます(ポッドキャストやオンデマンド配信もあります)。とにかくどこでも「気軽に楽しめる」のが、Proms最大の魅力でしょう。

そこで思い出すのが、フランスはナント発の音楽祭「ラ・フォル・ジュルネ(LFJ)」。筆者も以前、日本版LFJ公演をハシゴした経験がありますが、たしかに一公演当たり料金は安いからお得感はあります。でも一日であれもこれもと欲張ると、けっこうシンドかったりするのも事実。

「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2019」おすすめの公演3選

その点、BBC Proms JAPAN 2019は料金的には割高ですが、時間に追われず「じっくり聴き」したい向きには最適ですし、サテライト会場公演のように無料の、それこそPromsの名前の由来どおりに「そぞろ歩きながら」聴くことができるプログラムもLFJと同様、しっかり用意されています。開催期間は数日間とはいえ、「当日にふらりと立ち寄ってもじゅうぶん楽しめる」Promsスピリットは受け継がれていると思います。あとはラジオでもネット配信でもいいから、中継とかあれば言うことなしなんですけれどもね(よろしくお願いします!)。

イギリス 夏の風物詩 プロムス(Proms) ~世界最大級のクラシック音楽の祭典~

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