オーケストラは多くの奏者が入り乱れることから、他の音楽の形態に比べ、運営に大きな負担が強いられます。

特に問題になるのが、以下の3つです。

運営資金面
マネジメント面
広報活動

当記事では、上記の問題から広報活動に的を絞り、集客が困難になる原因や、効果的な広報の手段についてお話していきます。

広報はチラシと団員のチケットノルマ頼りでいいのか

オーケストラの広報としてまず浮かぶのが、チラシによる宣伝や団員個人による集客でしょう。

しかし、毎回同じような方法ばかりだと、回を重ねるごとに効果が薄れていくことがわかってきます。

運営としても何とか他の集客方法を模索していると思いますが、なかなか案が浮かばない、または実践まで行きつかないというのが内情なのではないでしょうか。

他の広報手段を考える前に、なぜチラシによる集客や団員個人の動員で人が集まらなくなってしまうのかを考えてみましょう。

マンネリ化していく集客

結論から言うと、チラシや団員個人による集客の効果が薄くなる理由は、集客のマンネリ化にあります。

人は新しいものにはある程度のリアクションを示しますが、既に知っているものに対しては当初程の驚きや感動を得ることができません。

あなたのオーケストラが何度も演奏会を行っている場合、チラシを見た多くの人は「ああ、またやってるな」程度にしか思わないのです。

団員個人による集客についても同様になります。

基本的に個人集客は、団員の家族や友人・知人などに対して行っていくことになるでしょうが、何度も演奏会に誘われると「またか」という感情がどこかに生まれてきてしまうものです。

それは集客のできるオーケストラだろうができないオーケストラだろうが同じになります。

有名なオーケストラでは、毎回演奏会に訪れてくれる熱烈なファンもいるでしょうが、大半の顧客は自身の都合が良い時に演奏会を聞きに来ていることでしょう。

演奏会が行われるタイミングと「今回は行きたいな」という感情が噛み合ってはじめて、1人の顧客が演奏会に来てくれるのです。

つまり、演奏会の集客を安定させるには、演奏会にタイミング的にも感情的にも都合が合う顧客を増やす累積してゆく必要があります。

上記のよう顧客を増やすには、新規のファンをプラスしていくしかないのです。

演奏会の企画内容も広報に影響

演奏会の企画内容も、集客のマンネリ化に大きく影響します。

基本的には毎回クラシックのコンサートを行っているオーケストラが大半なはずです。

しかし、クラシックのみを演奏しているだけでは、新規のファンが増える可能性は低いでしょう。

何故なら、クラシックの演奏を聴くなら、トッププロが集まる有名オーケストラのコンサートに行けば良いからです。

クラシックが再現音楽で、演奏家の腕がそのままクオリティに反映される音楽だからこそ、演奏の腕が勝っているオーケストラに集客で対抗することは難しいかもしれません。

オーケストラの集客力を上げたいのであれば、演奏会の企画も工夫し、大衆の興味を惹きつけることが必要です。

広報を考える

先述した話を踏まえると、効果的な広報の方法として有効なのは、

演奏会の企画を興味深いものにする
新規顧客に届くような広報を実践する

の2つになります。

ここからは上記の方法を実践する具体的な手段について考えていきましょう。

一味違う演奏会を考える

先に話した通り、クラシックの演奏会だけを行っていては有名オーケストラに顧客を持っていかれてしまいます。

集客力を上げたいなら、既存のオーケストラとは一味違った企画を考える必要があるでしょう。

好例として挙げられるのが「JAGMO」です。

「JAGMO」はゲーム音楽をオーケストラで演奏するプロ楽団で、強烈な企画力と演奏力によって、経済的な成功を納めています。

特筆すべきは、単にゲーム音楽を演奏するだけでなく、演奏したゲームのプロデューサーなどを招致してトークイベントなどを行ったり、ひねりを加えた企画をしていることです。

「JAGMO」のようにクラシックファン以外の新規顧客を取り込むためにクラシック以外の曲を演奏したり、演奏以外の企画を用意することは有効な手段といえるでしょう。

筆者もオーケストラ運営に携わっていた時には、アニソンや吹奏楽曲をオーケストラアレンジして演奏する企画や、オーケストラの成り立ちフォーカスした軽い演劇を取り入れた演奏会などを行った結果、集客数が普段の倍以上になった経験があります。

クラシックの範疇に思考を閉じ込めず、柔軟に企画を考えてみましょう。

動画を使った広報の実践

チラシや個人集客はもちろん重要ですが、基本的には同じ場所、同じ人に対して宣伝をすることになるので、新規顧客の獲得という面では宣伝力が弱いと言わざるをえません。

より拡散性の高い広報を行いたいのであれば、動画を活用することをおすすめします。

現在は動画プラットフォームの普及とツールの発展により、誰でも比較的簡単に動画編集をすることが可能です。

また、動画はSNSでの拡散性が高く、上手く行けば世界中の人の目に触れることになります。

本番前のリハ時や、何人かの団員が集まれるタイミングで演奏動画などを撮影し、編集した上で動画プラットフォームやSNSにアップしてみましょう。

動画による宣伝は、闇雲に行うだけでは効果的ではありません。

動画プラットフォームやSNSでは、アップした動画のデータを測定することができ、再生回数はもちろん、視聴者がどこまで視聴しどこで観るのをやめたかまで知ること可能です。

蓄積されたデータを参考に効果的な企画の選定や動画時間の吟味などを行えば、より集客効果のある洗練された動画を制作できるようになってきます。

根気よく動画制作を続け、効果測定と改善を繰り返せば、効果が出てくるはずです。

まとめ:広報の幅を広げよう

今回はオーケストラの広報についてお話ししてきました。

オーケストラの広報で重要なのは、見込み顧客の母数を増やすことです。

そのためには新規の顧客に認知してもらえるための施策を行う必要があります。

今回紹介した演奏会の企画や動画を活用した広報は、マンネリ化した集客事情を解消するのに有効なので、試してみる価値はあるでしょう。

しかし新規顧客の獲得が重要とはいえ、今まで通りチラシや個人集客を行うことは必須と言えます。

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