大御所ピアニストが活躍するなか、近年では若手日本人ピアニストが頭角を現しています。
才能あふれる日本人ピアニストは、国内メディアに限らず海外でも取り上げられることが増えており、今後のクラシック界を担う方々ばかりです。
そこで今回は、現在活躍中の日本人若手ピアニストを10名紹介します!
クラシックからポップスまで幅広いジャンルで活躍する演奏家たちです。
反田恭平
1994年生まれの反田恭平は、型破りの経歴を持つ天才肌ピアニストです。一般的なピアニストは、幼少期から英才教育を受け、10代で有名コンクールの賞を受賞するという経歴を持っていることがほとんどでしょう。
そんななか、反田氏は11歳からピアノを始め、6年後の高校在学中に日本音楽コンクールで第1位に入賞しており、ずば抜けた才能を発揮しています。スタイルもピアスにロン毛というクラシック界の常識を逸脱している個性的なピアニストです。
反田氏の演奏は、繊細かつ正確なタッチでありながら、自由で心が躍るような表現力が魅力です。まるで時の流れのように自然に進み続ける音楽は、聴く人の心を惹きつけます。
また、国内にとどまらずロシアや中国でも演奏活動を行っており、今や世界で活躍するピアニストの1人です。メディアへの露出も多く、らららクラシックや題名のない音楽会への出演はもちろん、news zeroや情熱大陸などのテレビ番組でも特集されています。
2019年には、「自由でいたい」という理由から所属事務所を辞め独立。さらなる飛躍が期待される注目の日本人若手ピアニストです。
藤田真央
1998年生まれの藤田真央は、繊細で美しい音色と大胆な表現力を持ち合わせており、一度聴くと虜になってしまうような演奏が特徴です。
東京音楽大学出身の藤田氏は、弱冠18歳で第27回クララ・ハスキル国際ピアノコンクールで優勝。20歳でチャイコフスキー国際コンクール第2位を受賞など、輝かしい成績を残しています。
ロシアの有名指揮者ワレリー・ゲルギエフからもその演奏を絶賛され、ゲルギエフ指揮の管弦楽団との共演も果たしています。現在までにミュンヘンやモスクワ、ニューヨークなどでデビューしており、世界で活躍するピアニストの1人です。
演奏は、ホール中を駆け回るような自由な表現でありながら1つ1つの音が驚くほど繊細。常に適切な表現を追求しているため心地のよい正統派な音楽で、クラシック音楽の真髄を感じることができます。
2020年には、将来有望な若手ピアニストに送られる「第21回ホテルオークラ音楽賞」や「第30回出光音楽祭」を受賞し、様々な奨学生にも選ばれています。題名のない音楽会や報道ステーションなどテレビ出演も多く、日本でも注目されている演奏家です。
牛田智大
牛田智大は、1999年に福島県で生まれ、生後間もなく上海に転居。幼少期から天才的な才能を発揮しているピアニストです。3歳からピアノを始めた彼は、一日中ピアノから離れないほどの音楽好きで、母親から一度も「練習しなさい」と言われたことがないそうです。
8歳でショパン国際ピアノコンクールin ASIA小学1・2年生部門 アジア大会金賞第1位を受賞し、その後同コンクールで5年間第1位を受賞し続けました。
さらに、2012年の12歳のときには、日本人ピアニストとして最年少でCDデビューを果たすなど10代からプロのピアニストとして活動しています。現在22歳でありながら7枚のCDを発売し、数々の有名オーケストラと共演しておりその活躍はとどまる所を知りません。
牛田氏が奏でる音楽は、華麗で美しく成熟した表現が特徴です。大人な演奏に加えて繊細で輝かしい音色も魅力で、1音1音が透き通っています。どの曲も精密に作りこまれており、音楽を尊敬し愛する精神を伺うことができます。
弱冠12歳で題名のない音楽会に出演後、これまでに20以上のメディアで取り上げられており、イケメンピアニストとしても定評があります。まだ、22歳と若いのでこれからの活躍も楽しみな演奏家の1人です。
大井健
1983年生まれの大井健は、ファンの間で「鍵盤の貴公子」と呼ばれるイケメンピアニストです。3歳からピアノを始め、幼少期にはメンデルスゾーンの子孫から直接指導を受けていました。13歳のときには、バッハのピアノ協奏曲でオーケストラとの共演も果たしています。
国立音楽大学卒業後は、オペラユニットやピアノデュオのメンバーとして活動し、2015年にキングレコードからソロでメジャーデビューをしています。
また、ピアノデュオとして全国12カ所でツアーを行うほか、ソロでリサイタルツアーも行開催しており、若手ピアニストとして大活躍中です。
クラシックのみならずポップスや映像音楽の演奏も多く、幅広いジャンルの音楽を演奏しています。全ての作品を魅力的に仕上げる表現力を持っており、多彩な音色の持ち主です。
テレビは、「関ジャニの仕分け∞No.1決定戦」や「鍵盤貴公子〜Prince of Piano」などに出た経験があり、「スマートフォンXperiaのCM」にも出演していました。ほかのピアニストに比べて、バラエティ番組や情報番組への出演が多いです。
そのため、イケメンピアニストとして女性ファンが多く、2018年にはプライベート映像が入った映像作品を発表し話題になりました。
2020年に個人事務所を設立し、10月にはイープラスとパートナーアーティスト契約を締結しており、今後もさらに活躍することでしょう。
辻井伸行
盲目のピアニストとして有名な辻井伸行は、現代の若手日本人ピアニストの中で最も有名と言えるでしょう。2009年ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで日本人初の優勝者となり、一躍有名になりました。
1988年に生まれた辻井氏は出生時から盲目でありながら、7歳で全日本盲学生音楽コンクールで第1位を受賞し、その後10歳で大阪センチュリー交響楽団と共演しプロデビューを果たしています。
これまでに、ドイツ交響楽団やロンドンフィルハーモニー管弦楽団のほか、世界最高峰と言われるウィーンフィルハーモニー管弦楽団とも共演しており、世界で活躍する一流ピアニストです。
また、水泳や登山など意外にもアクティブな趣味を持ち、テレビ出演の際には好きな女性のタイプを語るなど親しみやすい一面があります。
そんな彼の演奏は、洗練された音色と表現、そして非常に高いテクニックが特徴です。表現とテクニックは、自由でありながら不自然さを全く感じさせません。辻井氏の音楽は、作曲家の意図を丁寧に汲み取っていて音楽への愛を感じます。
清塚信也
1982年生まれの清塚信也は、バラエティ番組にも多く出演するエンターテイナーなピアニストです。「ダウンタウンなう」や「人志松本のすべらない話」などのお笑い番組への出演が多く、演奏家のイメージが少ないですが、ピアノの実力は超一流です。
幼少期から数々のコンクールで優勝し、2000年には第1回ショパン国際ピアノコンクールin ASIAで第1位を獲得しました。モスクワへ留学後は、世界各国のコンクールでも数々の賞を受賞しており、天才的な才能を発揮しています。
また、これまでにドラマ「のだめカンタービレ」や映画「神童」のピアノ吹き替え演奏を担当し、本人も数々のドラマに出演しており、ピアニストの中では最もメディア出演が多いと言えるでしょう。
演奏は、正確無比でありながら表情豊かで、音楽の楽しさがひしひしと伝わってきます。常に作品に入り込み、全身で音楽を感じている姿が魅力的です。
コンサートは速弾きやアドリブなど派手なパフォーマンスが多く、クラシックの知識があまりない人でも楽しむことができます。
清塚氏は、演奏が上手いだけでなくコンサートの合間の話も面白く、エンターテインメント性が高いピアニストが好きな方におすすめです。
金子三勇士
金子三勇士は、1989年に日本人の父とハンガリー人の母のもとに生まれ、幼少期からハンガリーで生活していたこともあり海外での活躍が目立つピアニストです。
6歳からピアノを始め、バルトーク音楽小学校に入学後、11歳のときに飛び級でリスト音楽院大学に入学するという経歴を持っています。
また、18歳でバルトーク国際ピアノコンクール優勝をはじめとし、バラッシャジャルマット国際コンクールやコンツェルテウム・ギリシャ国際コンクールなど数々の世界的コンクールで優勝しており、2010年にデビューアルバム「プレイズ・リスト」を発売しています。
一方、国内ではホテルオークラ音楽賞、出光音楽賞などを受賞しています。
金子氏は、多彩な音色の持ち主で、とくに優しく繊細な音が魅力です。ショパンやリストの作品では、切なさと憂いを感じる音色とあふれ出す感情が混ざり合う演奏で、一気に惹きつけられます。
2019年には、映画「蜜蜂と遠雷」に登場するマサル・カルロス・レヴィ・アナトールのピアノ演奏を担当し、題名のない音楽会をはじめとするメディアにも多く出演し、現在はNHK-FMリサイタル・パッシオにて司会者を務めています。
積極的にコンサートを開催しており、2021年にはジャズクラブでクラシック音楽を楽しむイベントを行うなどユニークな企画で楽しませてくれます。現在、国内外で活躍する注目の若手ピアニストです。
高木竜馬
1992年生まれの高木竜馬は、ウィーンと日本を拠点に活躍する若手日本人ピアニストです。ピアニストの母とアマチュアヴァイオリニストの父との音楽一家であったため、2歳からピアノを始めています。
学生時代は、ウィーン国立音楽大学やイタリアの名門イモラ国際ピアノアカデミーなどでピアノを学び、世界の名だたるピアニストから指導を受けました。
さらに、9つの国際コンクールで優勝しており、2018年の第16回エドヴァルド・グリーグ国際ピアノコンクールでは優勝及び聴衆賞を受賞し、世界的に有名になりました。国内の交響楽団はもちろん、海外でも多くのオーケストラと共演するなど世界各地で活躍中です。
吹き替え演奏の経験もあり、NHK総合テレビ「ピアノの森」では、雨宮修平のメインピアニスト役として出演し、話題になりました。現在は、ウィーンと日本を中心に演奏活動を行い、世界を股に掛けて活躍しています。
高木氏の演奏は、高い表現力が魅力的で、圧倒されるほどの表情の変化を楽しむことができます。どの音域もどこか軽やかさがあり、心地よい音色です。ウィーンの巨匠たちから学んだ伝統や歴史が感じられ、クラシック音楽のよさを最大限まで感じることができるでしょう。
中村匡宏(鍵盤男子)
1985年生まれの中村匡宏は、作曲家や音楽博士でありながら、ピアノデュオ「鍵盤男子」としても活躍しているピアニストです。作曲の技術が高く、国立音楽大学を卒業後、ウィーン国立音楽大学大学院でも作曲を学んでいます。現在は、作曲や楽曲制作のほか、指揮やピアノ演奏を行うなど幅広く活躍しています。
鍵盤男子は、中村匡宏と大井健のメンバーからなり、クラシックをベースに様々なジャンルを演奏するピアノデュオです。超絶技巧や高速連弾などの圧倒的なテクニックと派手な演出が魅力的です。
鍵盤男子は、クラシックのイメージが強いピアノの印象を変える斬新なグループとして人気を博しました。2020年に大井氏が勇退したため、現在は活動していません。
作曲家でもある中村氏は、自由でパワフルな演奏でアドリブ力に優れています。その場で作り出される音楽は、スリリングでありながら心地よいリズムでライブ感を味わうことができます。
中村氏は、様々なジャンルのピアノを聴きたい方におすすめのピアニストです。
小林愛実
小林愛実は、1995年生まれで山口県出身のピアニストです。3歳からピアノを始め、7歳でオーケストラと共演した後、9歳で国際デビューを果たしており、幼少期からプロの演奏家として活動しています。
桐朋学園大学付属高校音楽科を卒業後、フィラデルフィア・カーティス音楽院に留学し、現在も研鑽を積んでいます。
華々しい経歴をもつ小林氏ですが、第17回ショパン国際ピアノコンクールではファイナリスト、ジーナ・バッカウアー国際ピアノコンクールのヤングアーティスト部門では第3位になるなど、惜しくも優勝には至らないという経験をしました。
その挫折からピアノを弾く自分について考えるようになり、現在では「ピアノが好きで演奏している」という意志を強く持ちながら、真摯に音楽と向き合っています。
挫折を経験しながら成長する彼女の演奏は、豊かな音色と幅広い表現力があり、テクニックが光ります。特にショパンやベートーヴェンは、哀愁を感じ胸が熱くなる演奏です。
そんな小林氏は、2015年に「情熱大陸」に出演し話題を呼びました。年齢は25歳とまだ若く、今後のさらなる活躍が期待できる若手日本人ピアニストと言えるでしょう。
まとめ
今回は、国内外で活躍中の若手日本人ピアニスト10名を紹介しました。ピアニストによって経歴はもちろん、演奏ジャンルや表現方法が違うので好みの演奏家を見つけることも楽しいですよ。どのピアニストも国内外で活躍中で、今後のさらなる活躍が楽しみな方々ばかり。お好みのピアニストを見つけてクラシック音楽への愛をさらに深めていきましょう!
▼日本人奏者についてはこちらの記事もあわせてどうぞ