マンドリンの曲には、その華やかな音色を最大限に活かした賑やかな楽曲や明るい曲が数多く存在ます。

今回は「気分が盛り上がる曲、明るい曲」をテーマに、4つの切り口から厳選した12曲をご紹介したいと思います。

行進曲や、町のお祭りなどをモチーフにした曲を取り上げていますので、是非聴いてみてください!
 

案内人

  • 久保慎太郎
  • 久保慎太郎大阪在住のマンドリン愛好家。幼少期にピアノを始め、学生時代にマンドリンやクラシックギター、コントラバスに出会い嗜むように。社会人になる際にはマンドリンオーケストラを自分で立ち上げて指揮者を務めるなど、常に音楽と過ごす人生を送ってきました…

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聴けば心が弾む! マンドリンの明るい行進曲3選

まず初めにご紹介するのは行進曲の3曲です。
どれもマンドリンの華やかな音色を活かした明るい曲です。

マンドリニストの行進

19世紀イタリアのマンドリニストであり、作曲家のエドワード・メツァカーポの作品。

A-B-A-C-Aという小ロンド形式になっており、その名の通りマンドリニストたちが行進する姿を描いた曲です。

ご紹介する曲の中では小曲の部類ですが、その明るい曲調からコンサートで演奏されることも多く、とても聴きやすく楽しい曲となっています。

英雄行進曲「イタリア」

19世紀イタリアの作曲家アメデオ・アマディの作品。

華やかで活気に満ちた行進から始まり、中間部では美しいイタリアの情景が描かれ、最後にまた力強い英雄を思わせる行進によって締めくくられます。

コンサートのオープニングでも頻繁に演奏され、マンドリン奏者に長年愛されている名曲です。

祝典行進曲「恵まれた結婚」

イタリアの作曲家ジュゼッペ・マネンテの作品。

イタリアの皇族の結婚式に献呈された曲で、マネンテが得意とした行進曲の中でも名曲の一つとして挙げられます。

祝典という名の通り全体的に鮮やかで明るい印象になっており、短いながらも魅力が詰まった曲です。

ポップス好きも楽しめる! 盛り上がるマンドリン曲3選

次は世代問わず盛り上がる3曲をご紹介します。
どれも現代的で気軽に楽しめる曲になっています。

VIVA!Mandolin

日本を代表するマンドリン作曲家の藤掛廣幸氏の作品。

マンドリンが日本に入ってきて100年の節目、1994年を記念して、藤掛氏が当時の日本マンドリン連盟の会長から作曲を依頼され、制作した曲です。

タイトルに相応しく、マンドリンの特徴的な音色が存分に引き出されている名曲です。

風のシンフォニア

日本のマンドリン作曲家、末廣健児氏の作品。

風の交わりや自然の織り成す調和を感じる曲に仕上がっており、末廣氏らしい鮮やかな単音での旋律で始まる冒頭には心を踊らされます。

後半は各パートの早いパッセージが重なり合い、盛り上がりも最高潮になるので必聴です。

スペイン組曲

イタリアの現代作曲家クラウディオ・マンドニコ氏の作品。

三曲からなる組曲で、それぞれが独特なリズムを持った現代的で楽しい曲。

特に第一曲は「雄鶏は鳴き、日は昇る」という表題の通り、素敵な一日の始まりを彷彿とさせる陽気な曲となっています。

お祭り好きに是非聴いてほしい! お祭りがテーマのマンドリン曲3選

続いて、クリスマスや町のお祭りから曲想を得た作品をご紹介します。
3曲ともに、華やかで楽しげな情景がはっきりと浮かんでくる楽想です。

町の祭典

19世紀イタリアの作曲家ヴィットーリオ・フィリッパの作品。

タイトルの通り町のお祭りをテーマに描いており、当時の人々の陽気で楽しげな情景を鮮明に表現しています。

もともとは吹奏楽のための曲ですが、その人気の高さからマンドリンオーケストラ用にアレンジされ、それ以来コンサートでもよく演奏される楽曲です。

小組曲「降誕祭の夜」

先ほどご紹介したアメデオ・アマディの作品です。

クリスマスをテーマとして描かれた組曲で、三部で構成されています。

第三曲は「ハレルヤ」という表題で、鐘の響きを表す旋律に始まり降誕祭を祝う陽気な祭りを表現しており、聴くだけで気持ちが躍るような名曲です。

幻想曲「華燭の祭典」

「恵まれた結婚」でご紹介したジュゼッペ・マネンテの代表曲ともいえる作品です。

鮮やかな結婚式の祭典がモチーフになっており、三楽章で構成されています。

一楽章は“友人など周りの人々からの祝福”、二楽章では“教会での誓いの場面”、そして三楽章、“挙式後の家族たちの祝宴”といった情景を、鮮明に描いた屈指の名曲と言えます。

聴いても演奏しても盛り上がる! かっこいいマンドリン曲3選

最後は、是非生で聴いて盛り上がってほしい作品を3曲紹介します。
どれもトリ肌もののかっこいい名曲なので要チェックですよ!

マンドリンオーケストラの為の「叙情組曲」

日本のマンドリン作曲家、長谷川武宏氏の作品の中でも高い人気を誇る曲。

長谷川氏本人の故郷の想い出などが、主観的なイメージ=叙情として表された曲になっており、緩-急-緩と回帰部の4部で構成されている組曲です。

全ての部が連続して演奏されるため、組曲らしさはありませんが、後半部分の“和”を感じさせる響きは必聴です。

ARSNOVA組曲

先ほどご紹介した末廣氏と丸本大悟氏の共作による組曲。

二楽章で構成されており、一楽章を末廣氏が、二楽章を丸本氏が作曲しています。
末廣氏や丸本氏が奏者として所属していたARSNOVA Mandolin Orchestraの解散コンサートにて発表された曲で、現代日本の数あるマンドリン曲の中でも屈指の名曲の一つだと言えるでしょう。

一楽章は末廣氏らしい旋律の軽やかな動きによる明るい雰囲気を持ち、二楽章は丸本氏の本領ともいえる壮大な曲に仕上がっています。

トレピックプレリュード

先ほどもご紹介した藤掛氏の大曲です。

トレモロの“トレ”とピッキングの“ピック”というマンドリンの奏法を題名に据えているように、マンドリンの特徴とポテンシャルを最大限に活用すべく作られた曲です。

曲中を通して早いテンポの旋律が多いため難易度の高い曲ですが、一度は演奏してみたい曲でもあります。

最後は合唱付きとなっており、マンドリンと歌声の壮大なハーモニーによって盛り上がりは最高潮に達します。
生の演奏を聴けばトリ肌が立つのは間違いありません。

まとめ

いかがでしたか?イタリアの活気に満ちた明るい曲もさることながら、日本の、テンションが高まる曲も素晴らしいですよね。

今回ご紹介した曲をきっかけに、マンドリンの世界にさらに興味を持っていただければ幸いです。