これからピアノの弾き方を学ぼうと考えている方にとって、教本選びはまず第一の難関と言えます。

とくに独学でピアノを学ぶ場合には、誰かに相談するということも難しいため「悩んでいるうちに1ヶ月経ってしまった」「選んだ本が難しくて段々やる気がなくなってきた」ということも多いのではないでしょうか?

本記事では、20年以上ピアノを学んできた筆者が3つの視点から考えたおすすめの教則本を紹介しています。「最初の1歩で失敗したくない」そんな気持ちで悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

案内人

  • 山本知恵ピアノ歴30年以上、他にもクラリネット、ヴァイオリンの演奏経歴を持つ音楽と美術を愛するフリーライター。好きな曲はベートーヴェンのピアノソナタ第8番「悲愴」とヘンデルのオラトリオ「メサイア」。

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ピアノ教本の選び方

ピアノ教本を選ぶときには、下記の3つの視点から考えてみましょう。

1.教室に通う場合
2.独学で学ぶ場合
3.どうすれば長く継続できるか

教室に通う(通っている)方には副教本がおすすめ

ピアノ教室に通う場合、『バイエル』や『ハノン』を代表とする基礎を学ぶための教則本については先生が選んでくれることが多いでしょう。一方、大人のピアノ教室では、学んだことを応用するための副教本を生徒が選ぶ場合があるようです。

選ぶときのポイントとしては、音名フリガナが入っていないものを選ぶことです。
初心者用の楽譜では、全ての音に音名フリガナが入っているものもありますが、先生によっては「注意書きを入れにくい」「音名フリガナに頼ってしまって楽譜が読めるようにならない」などの理由で、音名が入っている楽譜を好まない場合もあります。

どうしても音名フリガナがほしい時には、先生に相談しながら、後から消せるように鉛筆で楽譜に書き入れるとよいでしょう。

憧れの曲や好きな曲が入った曲集を選んで、自分のモチベーションを上げることも大切です。

独学なら基礎練習の教本がおすすめ

教室に通わず独学でピアノを学ぶ場合は、椅子に座った時の正しい姿勢から指の形、適切な力の入れ方までの全てを自分ひとりで身につけなければなりません。

こういった基礎的なことは、文章だけの説明ではわかりづらいものです。そのため、独学でピアノを学ぶ人にはDVDなどの動画がセットになった教本を選ぶことをおすすめします。

「百聞は一見にしかず」とはよく言ったもの。動画を見ながら練習を進めることで、無駄な回り道を避け、失敗を最小限にとどめることができます。

また、近年ではピアノの練習手段に『アプリ』を採用する人も急増中です。なかでもピアノ独学アプリのflowkey(フローキー)が注目を集めています。AI機能を使った次世代ピアノレッスンの詳細については下記記事をご覧ください。

継続するためには馴染みの曲が多い教本がおすすめ

初めてピアノを学ぶときは、誰もがやる気に満ちあふれています。ですが、このやる気を維持するのはなかなか難しい。壁にぶつかってくじけそうになることもあれば、単調な練習に飽きてしまうこともあるでしょう。

そのため、モチベーションを保つためにも馴染みのある曲がたくさん入った曲集を選ぶことも大事なポイント。初心者用にやさしくアレンジしてあるものや、サビの部分だけをピックアップしているものなど、達成感を得やすい教本がおすすめです。

レベル的に無理なく弾くことができて、弾けるようになったら今度は原曲にもチャレンジしたくなる、そんな曲が入ったものを選んでみてくださいね。

【副教本向け】ピアノレッスンで定番のおすすめ教本①

ピアノ教室に通っている人が副教本として選ぶのにおすすめの3冊をご紹介します。教室にも持っていきやすいように、音名フリガナが入っていないものを選んであります。

はじめてのギロック


基礎練習によく使う『ハノン』などには表題が付いておらず、番号だけが振ってあるものが多いですね。一方で『はじめてのギロック』では、全ての曲に表題がついています。想像力を膨らませながら楽しく練習できますよ。

レベル的にはブルグミュラーよりもやさしめで、バイエルと併用できるくらいの程度です。別売りでCDも販売されています。使われている音が少なく、初心者が楽譜を読む練習をするのにうってつけの本です。

出版社

全音楽譜出版社

発売日

2008/8/19

ページ数

62ページ

価格

1,430円

別売りCD

ブルクミュラー25の練習曲 全音ピアノライブラリー


先ほどのギロックより少し難しいです。レベルとしては、バイエルが終わってから取り組む程度。「子どもの頃に習っていたピアノに久しぶりに挑戦したい」という人などにおすすめです。定番の教本なので「友だちが弾いていたので聴いたことある」という曲も多いでしょう。

こちらの教本にもそれぞれの曲にロマンティックな表題が付いています。別売りでCDも販売されています。使われている曲調にバラエティがあり、さまざまな表現法を学ぶことができます。

出版社

全音楽譜出版社

発売日

2008/8/27

ページ数

48ページ

価格

770円

別売りCD

美しく響くピアノソロ (初級) ディズニー


ここまでに紹介した2冊よりも、もう少し馴染みのある曲で練習したいという方には、こちらの教本がおすすめです。誰もが知っている名曲『ホール・ニュー・ワールド』や『星に願いを』を収録。初心者用ながらアレンジがすばらしく、弾きごたえのある美しい曲に仕上がっています。ちなみに、ジブリ版も販売されています。

レベルとしては、大体ブルグミュラーと同じくらいです。YouTubeで演奏を公開している方もいるので、それを参考にするのもよいでしょう。

出版社

ヤマハミュージックエンタテイメントホールディングス

発売日

2016/8/26

ページ数

72ページ

価格

1,870円

【基礎練習向け】ピアノレッスンで定番のおすすめ教本②

次に、基礎練習の教本を3冊紹介します。DVDの付いているものと付いていないものがあるので、用途に合わせて使い分けてみてくださいね!

無理のない指のトレーニングのために大人からはじめるハノンピアノ教本


ピアノを学ぶ人なら誰でも1度は弾いたことがあると言っても過言ではない、定番中の定番『ハノン』を大人向けに編集している教本です。

初心者でも取り組める内容であり、さらに指をスムーズに動かす練習にもぴったりなので、ぜひ日々の練習に取り入れてみてください。

出版社

ヤマハミュージックエンタテイメントホールディングス

発売日

2002/10/25

ページ数

64ページ

価格

1,100円

これならひとりでマスターできる! 大人のための独習バイエル [上巻]


ピアノのレッスンと言えば『バイエル』も定番ですね。楽譜の難易度を示すときにも「バイエル後半程度」「バイエル終了程度」という表現がされるほど、誰もが知っている有名な教本です。
こちらも大人向けに編集されており、上下巻に分かれています。上巻はこれからピアノを始める人にぴったりのレベル!また、全曲収録されているわけではないですが、要となる曲を収録したDVDが付いているのもおすすめポイントです。

出版社

ヤマハミュージックエンタテイメントホールディングス

発売日

2016/3/21

ページ数

76ページ

価格

2,750円

ピアノの教科書


DVDだけでなく、各チャプターに表示されているQRコードを使って、スマホでも動画が見れる教本です。かたわらにスマホを置いて確認しながら練習できるので、とくに独学で学びたい人におすすめです。

ピアノの構造や演奏フォームから始まり、最終的には両手奏までマスターできるので、ピアノ入門者にぴったりです。

出版社

ヤマハミュージックエンタテイメントホールディングス

発売日

2019/3/22

ページ数

160ページ

価格

1,650円

【練習曲がたくさん】ピアノレッスンで定番のおすすめ教本③

続けて、短めの練習曲がたくさん入った初心者向きの教本を紹介します。少し難しめのものも紹介しますが、まずは片手練習からでよいので「楽しむ」ことを第一に練習していきましょう!

これなら弾ける 超・簡単ピアノ初心者ベスト100曲集 決定版


音名フリガナについては賛否両論ありますが、ひとつ言えるのが「独学で学ぶ人の心強い味方」であるということ。この教本では全ての音符に音名フリガナが付いているので、譜読みが苦手な初心者でも安心して挑戦することができます。

有名な部分だけを取り出して短く編集した曲がたくさん入っているので、達成感を感じながら練習することができます。気に入った曲をいつか全曲弾けるようになることを目標に、練習に励みましょう!

出版社

デプロMP

発売日

2020/4/15

ページ数

220ページ

価格

2,200円

はじめてでも最後まで弾ける 大人のピアノ名曲77 ~クラシックから定番のポップスまで~


こちらも全曲音名フリガナ付きの、初心者向け教本です。この本のすばらしいところは、QRコードを利用して全曲分のお手本動画をスマホなどで見られることです。

あらゆるジャンルから選曲した名曲が多数収録されているため、あなたの好きな曲がきっと見つかりますよ。楽しみながらいろいろな表現を身に付けることができるため、ピアノ初心者におすすめです。

出版社

西東社

発売日

2020/10/9

ページ数

256ページ

価格

2,200円

ピアノ名曲110選 グレードA


発表会やCMなどでお馴染みのクラシック曲がたくさん入った教本です。グレードAはバイエル後半からソナチネ程度の難易度となっているので、曲によっては難しく感じるものもあるかもしれません。

まずは、無理せず弾ける曲からチャレンジしてみてください。有名な曲が入っているので、メロディーを片手で弾くだけでも楽しめます。音名フリガナは入っていないので、先生に見てもらうときにも利用しやすいでしょう。別売りでCDも販売しています。

出版社

ドレミ楽譜出版社

発売日

1983/5/20

ページ数

144ページ

価格

1,320円

別売りCD

【テクニックやコードを学ぶ】ピアノレッスンで定番のおすすめ教本④

最後に、少し毛色の変わった教本をご紹介。
「ただピアノを弾くだけでは物足りない」そんな人にぴったりの、「コード弾き」や「弾き語り」などもあわせて学べる教本です。

はじめよう! ピアノでコード弾き 超かんたん編 (CD付)


「コード」とは、和音を記号であらわしたもののことを言います。ポピュラーやジャズの曲を弾くときによく使われます。コードを学ぶことで五線譜を見なくてもコードだけで自由に伴奏を付けたり、アドリブを入れたりできるようになります。

こちらは、「コード」についてイチから学ぶことができる教本。「コード弾き」をマスターしたい人におすすめですよ。

出版社

リットーミュージック

発売日

2010/12/17

ページ数

112ページ

価格

1,870円

コード初心者でも安心! 気軽にピアノで弾き語り


これから弾き語りのテクニックを身につけたいと思っている人にぴったりの教本。コードを確認しながら、五線譜を見て練習することができます。

馴染みのある曲をコード初心者向けにアレンジしているので、比較的チャレンジしやすい内容となっています。

出版社

ヤマハミュージックエンタテイメントホールディングス

発売日

2020/9/27

ページ数

44ページ

価格

1,760円

ピアノのコードの押さえ方から弾き方までが身に付く本 実践で本当に使える鍵盤コードBOOK (CD付)


コードをさまざまな形で応用していきたいと考えている人のための教本です。CDや、実践で本当に使える鍵盤コードBOOKが付いているのも嬉しいポイントです。

いずれDTM(パソコンを使った音楽作成)をしてみたいと考えている人にもおすすめですよ。エクササイズに取り組みながら、コードについて体系的に学ぶことができます。

出版社

リットーミュージック

発売日

2013/11/22

ページ数

192ページ

価格

2,090円

まとめ

初心者向けのピアノ教本の選び方や、おすすめの教本をご紹介しましたが、あなたにぴったりと思える教本を見つけることができたでしょうか?

1.教室に通う場合
2.独学で学ぶ場合
3.どうすれば長く継続できるか

上記3つの視点から考えて、後悔のない教本選びをしてくださいね。

楽しくて奥深いピアノ演奏の世界!この記事が初めの1歩を踏み出そうとしているあなたのお役に立てたら幸いです。