ピアノを弾く方についてまわる問題の一つとして、練習できる住宅環境というのがあげられます。ピアノ教室やスタジオもいいですが、自宅で練習できるに越したことはありませんよね。

とくに賃貸住まいの方は悩むところではないでしょうか。そこで今回は、賃貸でもトラブルなく快適にピアノを弾きたい方に向けて、ピアノ引っ越し経験者でもある筆者が『知っておくべきポイント』をまとめてご紹介します。

これから引っ越しを考えられている方、今満足に自宅練習ができない方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

案内人

  • 海老野みほ4歳からエレクトーンを始め、高校生の時にピアノに転向。
    音楽系専門学校に進学し、クラシック・ジャズ・POPs・作曲・アレンジなど、様々なジャンルの知識を身につけながら演奏活動を行う。
    2011年から都内の音楽スクールのピアノ講師として勤務。

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賃貸マンションでピアノは弾ける?

ピアノを弾ける物件を探す際には「楽器可」もしくは「楽器応相談」という表記を一つの基準にしますよね。ただ、一般の物件に比べると数が少なく、理想的なお部屋に出会える確率は、どうしても下がってしまいます。

だからといって、楽器OKでない物件にピアノを持ち込むのはNGです。楽器の可否については契約書に明記されていることも多く、違反すると即退去勧告…なんてこともあり得ます。

そして「楽器可」となっていても、実は条件が設定されている場合があるので注意が必要です。

  • ヘッドフォンをしていれば演奏可
  • 生ピアノ(グランド・アップライトなど)は不可
  • 9時から18時のみ演奏可

などはよくある条件です。

また、意外と知られていないのが『楽器可の物件=防音設備が整っている物件』ではないということ。完全防音になっている物件はごくわずか。たいがいの楽器OK物件は「音や振動についてはお互い様」という前提であることを、あらかじめ理解しておきましょう。

大家さんと相談してみるものアリ

楽器OKでなくとも、大家さんとの交渉次第ではピアノの持ち込みが許されるケースもあります。

物件情報や契約書に「楽器不可」と明記されていると、さすがに交渉の余地はありませんが、とくに記載がないのであれば相談してみましょう。もしかすると、嬉しい結果になるかもしれません。

賃貸のピアノトラブルでよくあること

楽器可の物件であっても、条件やマナーを守らないとトラブルになります。ぐっすり寝たい夜中に他の部屋から演奏音が聞こえてきたら不快に思いますよね。

また、ピアノの場合だと演奏している音よりも、鍵盤を押したりべダルを踏んだりする際の振動が迷惑になりがちです。それもあり、深夜の時間帯にはヘッドフォンをしていても演奏禁止、とされている楽器OK物件もあります。

トラブルを回避するには、入居前に演奏して良い時間帯を確認しておいたり、周りに配慮した音量を心がけたりしましょう。

賃貸でピアノを弾きたいなら防音・防振対策が必須!

楽器OK物件であっても、トラブル防止のために防音・防振の対策はしておきましょう。

防音対策

防音グッズの定番は、吸音パネルや防音カーテン、ヘッドホンなどです。

ただ、音漏れは部屋の密閉度に関係しているため、建物の構造によってはどんなに対策しても音漏れを防げないことがあります。吸音パネルや防音カーテンのネックは、この点と価格です。また、低価格な製品だとほとんど意味がない場合も。

したがって、電子ピアノや消音機能付きピアノであれば、ヘッドホンを装着するのが最もお手軽で確実な防音になります。自分にとって心地よい装着感や音鳴りのものを選ぶために、必ず楽器店や家電量販店などで複数を試すようにしましょう。

下記記事では、ヘッドフォンを選ぶときの注意点やよくある失敗パターンなどが紹介されているので、初めてヘッドフォンを購入する方は一読しておくことをおすすめします。

振動対策

先ほどもお話ししたように、ピアノだと振動が近所迷惑の原因になりやすいため、振動対策をしっかりしておかなければなりません。

振動は、ピアノと接している壁や床に伝わります。

壁の対策としては、壁にピッタリつけずに、少し離して設置しましょう。壁の薄さが気になるのであれば、防音(防振)パネルや毛布を取り付けるだけでも効果が期待できます。床の対策には、防振マットや厚めのカーペットを敷きましょう。

いずれの方法でも、ピアノ設置後に対策するのは大変なので、引っ越し前に準備しておくことをおすすめします。

下記記事では、ピアノの音の伝わり方や防音・消音におすすめの対策方法を詳しく紹介しているので併せてチェックしてみてください。

まとめ

賃貸マンションへのピアノの持ち込みは、何かと制限が出てきてしまいます。ただ、しっかりとした対策と周りへの配慮があれば、トラブルの回避は十分に可能です。

ちょっとした工夫で快適な自宅練習が実現できるので、これから引っ越しを考えている方はぜひ本記事の内容を試してみてくださいね。