電子ピアノを買うとなると、やはり性能や信頼性に優れた機種を選びたいですよね。歴史ある大手の電子ピアノは、アコースティックピアノに近い弾き心地と音が追求されており、多くのプロ奏者からも絶賛されています。

日本国内には素晴らしいメーカーが多数ありますが、今回はピアノ販売額世界トップのヤマハを取り上げます。同社の電子ピアノの特徴やラインナップ、おすすめモデルなどを解説していくので、ぜひ参考にしてみてください。

案内人

  • 海老野みほ4歳からエレクトーンを始め、高校生の時にピアノに転向。
    音楽系専門学校に進学し、クラシック・ジャズ・POPs・作曲・アレンジなど、様々なジャンルの知識を身につけながら演奏活動を行う。
    2011年から都内の音楽スクールのピアノ講師として勤務。

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ヤマハ電子ピアノの特徴

©ヤマハ株式会社

ヤマハの電子ピアノには、同社が培ってきたアコースティックピアノの開発技術が惜しみなく使われています。そんなヤマハ製品の特徴は次の3つ。

優しく透明感のある音

1つめは優しく透明感のある音です。

大きなポイントは、低価格ラインでも同社の誇る最高級グランドピアノの音が収録されており、さらに音の減衰なども細かくモデリングされていること。これにより、デジタル臭のない自然なサウンドを得ることができるのです。

実際、筆者の周りでもヤマハの電子ピアノは音が良いと好評で、音が決め手で購入したという声もよく耳にします。

業界トップクラスの耐久性

2つめは耐久性の高さです。

電子ピアノは音や打鍵感の良さだけでなく、耐久性も重要ですよね。もちろんアコースティックピアノの方が長持ちはするのですが、電子ピアノとして、ヤマハの製品は頑丈に作られています

アフターサポートも充実しており、お気に入りの1台を10年以上使っている人もいるほどです。

バリエーション豊かなタッチ感

3つめはタッチ感のバリエーションです。

グランドピアノさながらのタッチ感から、子供や初心者でも弾きやすい軽めのタッチ感まで、さまざまな弾き心地の製品が揃っています。弾き手のレベルや目的に応じて選べるのがポイント。

また、鍵盤から指を離した時の反発がどのグレードであっても高性能で、連打を要求される曲も自然に弾きこなせます。

【公式】YAMAHA|電子ピアノ

ヤマハ電子ピアノのおすすめ比較:①クラビノーバ

ヤマハの電子ピアノには、コンセプトや機能が異なる4つのシリーズがあります。まずはフラッグシップに位置づけられる「クラビノーバ」について見ていきましょう。長年愛されているシリーズということで、名前は知っているという方も多いのではないでしょうか。

クラビノーバには同社の楽器ノウハウが凝縮されており、アコースティックピアノのハンマーアクションや弦の響き、音の立ち上がりから減衰といった仕組みが細かく再現されています。その精度は非常に高く「グランドピアノと同じ感覚で弾ける」と、プロ・アマ問わず幅広く愛されています。

フラッグシップということで値段は張るものの、それ相応の価値があるのは間違いありません。初心者の方から上級者の方まで、長く愛用できる電子ピアノを購入したい方に最適です。

そんなクラビノーバのモデルは以下の3種類。

CLPシリーズ:クラビノーバの基本形

©ヤマハ株式会社|CLP-785

「CLPシリーズ」はクラビノーバの基本形で、アコースティックピアノの弾き心地や音色をシンプルに追求したシリーズです。

個人の好みも関係する部分ではありますが、グレードの高い製品ほどタッチ感やサウンドが向上しています。特に、10万円台で購入できる「CLP-735」は樹脂鍵盤、「CLP-745」以上は木製鍵盤となっており、演奏時の感触が大きく違ってきます。

©ヤマハ株式会社|CLP-745(他カラー:ニューダークローズウッド、ホワイトアッシュ、ダークウォルナット)

アコースティックピアノに近い環境で練習したい方は、CLP-745以上の機種を選びましょう。

CSPシリーズ:スマホやタブレットとの連携機能が豊富

©ヤマハ株式会社

「CSPシリーズ」の特徴は、スマホやタブレットと連携させて、楽曲の伴奏楽譜を自動的に作成したり、演奏空間の大きさやチューニングなどを自分好みにカスタマイズできること。

弾く鍵盤を光で教えてくれるシステムも搭載されているため、初心者でも1人で効率よく練習できます。

CVPシリーズ:機能豊富なクラビノーバ

©ヤマハ株式会社|CVP-809

「CVPシリーズ」はクラビノーバにおける多機能モデルで、本格的なピアノのタッチと音色が追求されています。

とりわけ弱い音のコントロールに優れていて、クラシックはもちろんポップスやジャズなど、さまざまなジャンルの楽曲を表現豊かに演奏できます。また、レコーディングやカラオケだけではなく、「スマートピアニスト」というアプリを使用して楽譜自動作成も可能に。練習以外にもさまざまな楽しみ方ができますよ。

©ヤマハ株式会社|CVP-805

【公式】YAMAHA|Clavinova(クラビノーバ)

【YAMAHA】クラビノーバ

クラビノーバについてもっと詳しく知りたい方は下記記事をご参照ください。

ヤマハ電子ピアノのおすすめ比較:②アリウス

「アリウス」は、ヤマハのエントリーモデルです。上位シリーズ譲りの品質と機能を備えており、初心者はもちろん、気軽さを求める中・上級者からも人気があります。デザイン性も良く、見た目にこだわりたい方にもおすすめ。

アリウスの種類は以下の2つがあります。

スタンダードシリーズ:入門用として最適

©株式会社ヤマハ|YDP-145

「スタンダードシリーズ」は、10万円以下で購入できるリーズナブルな電子ピアノです。鍵盤が薄っぺらいといったこともなく自然な抵抗感で演奏できます

「YDP-165」と「YDP-145」の2種類があり、機能面での差もあるのですが、それよりも付属の椅子が高さ調整可能かどうかという点が一番の違いです。椅子の高さは重要ポイントなので、練習しながらベストポジションを探せるYDP-165の方をおすすめします。

©株式会社ヤマハ|YDP-165

スリムシリーズ:コンパクトさを求めるならコレ

©株式会社ヤマハ|YDP-S35

その名の通り「スリムシリーズ」は、スリムなデザインが特徴のモデルです。

コンパクトにまとまっており、スタイリッシュな印象を受けます。それでいてスタンダードシリーズと同等の性能を持っているので、日ごろの練習も十分にこなせます。

リビングの一角や個人の部屋に設置したい方におすすめです。

【公式】YAMAHA|ARIUS(アリウス)

【YAMAHA】アリウス

ヤマハ電子ピアノのおすすめ比較:③Pシリーズ

「Pシリーズ」は、持ち運びができるポータブルピアノシリーズです。ピアノを常設する場所を取りにくい方、外へ持ち出したい方におすすめ。

もちろんヤマハの高い技術が詰まっていて、打鍵感も音色も本格的です。ただし、ダンパーペダルは付属していますが、スタンドと椅子は別途用意する必要があります。

Pシリーズのおすすめは次の2つ。

P-45:手軽にピアノを始めたい方向け

©株式会社ヤマハ|P-45B

88鍵のフルサイズを5万円以下で購入できるのが「P-45」です。

音色数やデモ演奏などの種類は少ないものの、ピアノそのものの機能や品質は十分。最低限の構成で持ち運び可能なピアノが欲しい方にピッタリと言えます。

また、2022年11月末頃には、Pシリーズに新モデル「P-125a」が加わります!こちらも要チェックです。

コンパクトでありながら、本格的でダイナミックなピアノサウンドを楽しめる電子ピアノです。鍵盤は、定評のある「グレードハンマースタンダード(GHS)鍵盤」を採用。美しいサウンドとともに、アコースティックピアノさながらの演奏をお楽しみいただけます。

スリムで洗練されたデザインは、どんなお部屋にも馴染みます。軽量でコンパクトな本体は置く場所を選ばず、スタジオやステージなどへの持ち運びも可能です。さらに、練習に欠かせないアプリや、ヘッドホン接続、リズム機能なども充実しています。ピアノ演奏を自分らしく楽しむ上で不可欠な要素がしっかりと備わっています。
引用:ヤマハ | P-125a

P515:木製鍵盤でアコースティックな弾き心地

©株式会社ヤマハ|P515(スタンドとペダルは別売)

「P515」は、ポータブルピアノでは珍しい木製鍵盤搭載のモデルです。ヤマハの電子ピアノで木製鍵盤かつ10万円台というのは、他シリーズを含めてこの機種だけになります。

ただ、重量が22kgと重めなため、気軽に持ち運べるかは少し怪しいところ。自宅に据え置いて使う機会の方が多い方なら問題ないでしょう。

【公式】YAMAHA|Pシリーズ

ヤマハ電子ピアノのおすすめ比較:④ステージピアノ

「ステージピアノ」は、ライブ活動や音楽制作もやりたい方向けのシリーズです。

シンセサイザーのように音色をエディットしたり、音楽制作にも便利な機能が搭載されています。61鍵の軽いタッチ感のキーボードから、88鍵のピアノタッチ感の鍵盤まで揃っているので、用途に合わせて選びましょう。

ただし、スピーカーは搭載されていないため、ヘッドフォンや外部スピーカーが必要です。

CPシリーズ:ピアノ音色をメインで使う方向け

©株式会社ヤマハ|CPシリーズ

「CPシリーズ」は、ピアノやエレピの音色をメインにしている方向け。

ピアノ音色は16種類、エレピ音色は19種類も搭載されています。特にピアノ音色は、ヤマハ最高峰のグランドピアノ・CFXや、老舗メーカー・ベーゼンドルファーの音色などを選べるのがポイント。本格的なサウンドで演奏に深みを出すことができます。

YCシリーズ:ピアノ以外の音色も積極的に使いたい方向け

©株式会社ヤマハ|YCシリーズ

「YCシリーズ」は、ピアノ音源の他にオルガン専用音源とFMシンセ音源を搭載した上位モデルです。様々な楽器のサウンドをよりリアルに楽しむ事ができ、ヤマハ電子ピアノの中では唯一オルガン用ドローバーを搭載しています。

さまざまな音色を使い分け、パフォーマンスに力を入れたい方にはYCシリーズがおすすめです。

【公式】YAMAHA|ステージピアノ/ステージキーボード


【YAMAHA】ステージキーボード

ヤマハ以外のメーカーとも比較してみよう!

電子ピアノをリリースしている会社はヤマハ以外にもあります。以下の記事にて他メーカーそれぞれの特徴やラインナップを解説しているので、気になる方はぜひお読みください。

まとめ

今回はヤマハの電子ピアノについて、特徴やラインナップ、おすすめ機種などを解説しました。

優しく透明感のある音とリアルな打鍵感は、ピアノメーカーとして長い歴史を持つヤマハならではといえます。ここは好みも関係するため、ぜひ楽器店で実際に触れてみてください。