コンパクトで持ち運びも可能な折りたたみピアノは、初心者や子供の練習用、あるいは電子ピアノのサブとして人気があります。中には購入を考えて、いろいろと情報収集をしている方もいらっしゃるはず。

そこで気になるのが「本当に練習になるの?」「どれを選べばいいんだろう」といった点ではないでしょうか。

本記事では上記のことに加え、折りたたみピアノの選び方なども解説します。

案内人

  • 海老野みほ4歳からエレクトーンを始め、高校生の時にピアノに転向。
    音楽系専門学校に進学し、クラシック・ジャズ・POPs・作曲・アレンジなど、様々なジャンルの知識を身につけながら演奏活動を行う。
    2011年から都内の音楽スクールのピアノ講師として勤務。

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折りたたみピアノってどんなピアノ?

引用:KIKUTANI キーボードKDP-61P

折りたたみピアノとは、その名の通り、本体を折りたたんで収納できる電子ピアノのこと。

片手で気軽に持ち運びができ、スピーカーから音を出す、ヘッドフォンで静かに演奏するなど、場所を選ばずピアノを楽しめます。

ただし、折りたたみの部分の強度が低く、X型のような2点で支えるスタンドでは使用できないため、平置きできる机などが必要です。

折りたたみピアノは練習になる?

折りたたみピアノの鍵盤は、キーボードのような軽いタッチのものが多く、アコースティックピアノのような抵抗感はありません。ですので、細かい打鍵コントロールの練習に使うのは厳しいでしょう。

しかし、鍵盤の幅はピアノと同じに作られており、曲を一通り弾くという意味での練習には役立ちます。普段アコースティックピアノを弾いている方のサブ機、もしくは外出先でのちょっとした演奏用などであれば、十分に使えます。

ロールピアノとどちらが便利?

折りたたみピアノと似た楽器にロールピアノがあります。こちらも軽量・コンパクトで、持ち運びが容易です。

両者の弾き心地を比べると、ロールピアノの方が鍵盤が柔らかく、押している感覚をあまり得られません。一方、キーボードの弾き心地ではありますが、折りたたみピアノには打鍵感があります。したがって、演奏の体験を重視したい方には折りたたみピアノがおすすめです

重さを比べてみると、折りたたみピアノは1~数kgなのに対し、ロールピアノは500g~1.5kgほど。全体的に軽量で持ち運びしやすいのはロールピアノといえます。

折りたたみピアノが向いている人

  • 外出先や出張先で練習したい人
  • キャンプなどで演奏を楽しみたい人
  • 遊び用や練習用として子供にプレゼントしたい人
  • セカンドピアノとして使いたい人
  • 発表会前の確認で使いたい人
  • DTMなど打ち込みをしたい人

折りたたみピアノの選び方

折りたたみピアノを購入するにあたって、機種選びで比較したいポイントを5つ解説します。

1.鍵盤の数

折りたたみピアノの鍵盤数は、49・61・88の3種類があります。

クラシックやポップスなど、幅広いジャンルの曲を弾きたい方は、一般的なピアノと同じ88鍵を選びましょう。コンパクトさ重視であれば49鍵や61鍵も選択肢に入りますが、音域に制限が出る点には注意が必要です。

鍵盤数については、大は小をかねると考えましょう。

2.鍵盤の弾きやすさ

メーカーによって一番違ってくるのが、鍵盤の弾きやすさです。

鍵盤の幅は各社ほぼ同じ大きさですが、奥行きは異なります。アコースティックピアノの鍵盤の奥行きは約15cmですので、本物に近いスケール感で演奏したい方は、この15cmに近い機種を選びましょう。

また、鍵盤を押すときの抵抗の強さ、鍵盤から指を離すときの跳ね返りの強さなども、弾きやすさに影響を与えます。これらは実際に触ってみるしかなく、また個人の好みにもよるので、楽器店や家電量販店などで実際に触ってみるのがよいでしょう。

3.音色数とその他機能

オルガンやストリングス、シンセなど、ピアノ以外の音色も楽しみたい方は、音色やリズムの搭載数が多い機種を選びましょう。ほとんどの場合、数十種類搭載されています。

また、デモ演奏やメトロノーム、オクターブ変更、録音など、希望の機能が揃っているかも要確認です。

4.スピーカー

ほとんどの折りたたみピアノにはスピーカーが内蔵されています。2つのスピーカーでステレオ出力できる機種もあるので、サウンド重視の方はチェックしてみてください。

また、付属スピーカーの出力はあまり強くないため、音質や音量に不満があれば外部スピーカーを別に用意しましょう。

5.付属品

電源ケーブルとケースはたいていの機種に付属しています。より演奏の幅を広げたいのであれば、ペダルの有無もチェックしてください。

また、スタンドや椅子は別売ですので、必要に応じて買い揃えましょう。

折りたたみピアノのおすすめ:①49鍵盤

ここからは、折りたたみピアノのおすすめを紹介していきます。まずはコンパクトな49鍵から。

TAHORNG オリンピア49

重量1kg、収納時の長さ39cmと、折りたたみピアノの中でも特に軽量コンパクトな製品です。

音色は128個搭載で、メトロノーム機能や自動伴奏機能も付いています。サスティンペダルも付属しており、届けばすぐに演奏を楽しめます。簡単な曲の練習やDTMに使用したい方には十分な機能性です。

折りたたみピアノのおすすめ:②61鍵盤

次に、61鍵モデルのおすすめを2つ紹介します。

TERENCE 61鍵盤 折り畳み式

鍵盤の奥行きが13.7cmとなっており、アコースティックピアノとほぼ同じスケール感で演奏できます。鍵盤は弾く強さを感知してくれるため、音の強弱を付けた表現の練習にも一定程度有用です。

また、Bluetoothでスマホと接続し、練習アプリと連携したり録音したりといった、さまざまな使い方が可能です。

キクタニ 【折りたたみ式】電子ピアノ

楽器貿易企業「キクタニ」からリリースされているオリジナル製品です。

日本語操作パネルと日本語取扱説明書が付いており、さらに各機能はボタン一つで使えるため、初心者や子供でも感覚的に操作できます。フル充電で10時間の連続使用ができることから、持ち運び先で気軽に演奏できるのもポイントです。

折りたたみピアノのおすすめ:③88鍵盤

次に、88鍵盤のおすすめモデルを紹介します。

Longeye 電子ピアノ 88鍵盤 【折り畳み式 】

鍵盤のサイズと押し込みの深さが、アコースティックピアノと同等に作られている製品です。白鍵は象牙調仕上げになっていて、滑りにくいのもポイント。

上下に音域を分けて演奏を分担できるモードも搭載されており、親子でピアノを楽しみたい方にもおすすめです。

ORIPIA88

四つ折りの88鍵モデルです。重量は1.6kg、折りたたみ時の長さは33cmと、このクラスの中では圧倒的にコンパクトな機種です。

ただ、その分鍵盤の奥行きは短く、押し込みも浅く作られています。本物のピアノのスケール感を求める方にとっては弾きにくい可能性があるため注意が必要です。

まとめ

今回は折りたたみピアノについて、練習になるかどうか、選び方、おすすめ製品などを解説しました。

コンパクトさや気軽さが、折りたたみピアノの大きなメリットです。しかし、鍵盤タッチや音質では、どうしても電子ピアノやアコースティックピアノに劣ります。このデメリットをどれだけ許容できるかが、折りたたみピアノ購入の条件になるでしょう。

そして、購入の際にはぜひ本記事の内容を参考に、自分にピッタリの一台を選んでいただければと思います。