コンパクトで軽量なロールピアノは、初心者や子供向けとして人気があります。やはり手軽さは大きな魅力ですよね。

ただ、鍵盤や音色の数によってさまざまなモデルが出ていて、どれを選べばよいか分からない方も多いのではないでしょうか。そもそも「本当に練習になるの?」と心配な方もいらっしゃるはず。

そこで今回はロールピアノについて、上記の点のほか、向いている人やおすすめ機種などを現役ピアノ講師が詳しく解説します。

案内人

  • 海老野みほ4歳からエレクトーンを始め、高校生の時にピアノに転向。
    音楽系専門学校に進学し、クラシック・ジャズ・POPs・作曲・アレンジなど、様々なジャンルの知識を身につけながら演奏活動を行う。
    2011年から都内の音楽スクールのピアノ講師として勤務。

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ロールピアノとは、柔らかいシート状のピアノ

©SMALY|ロールアップピアノ49鍵盤

ロールピアノとは、柔らかい素材で作られた、くるくると巻いて収納できる薄型のピアノです。

スピーカー内蔵タイプや、音色やデモ音源がたくさん内蔵されたタイプなど、いろいろな機種がさまざまなメーカーから発売されていて、自宅に本格的なピアノを置く場所がない方、外出先でピアノ演奏をしたい方などから人気があります。

ロールピアノは練習になるのか?

ロールピアノを買うか検討する際、気になるのが「ピアノの練習になるのかどうか」ではないでしょうか。

結論から言うと、表現の練習はできないけれども、指使いの練習にはなります

ロールピアノの鍵盤は柔らかく、また細かいタッチを感知できるようには作られていません。そのため音の強弱や長さをほぼ変えられず、演奏表現に幅を持たせることができないのです。

ただ、鍵盤の幅と間隔は通常のピアノと同じなので、指を動かす順番などを覚える練習にはなるでしょう。ピアノ初心者にとっての鬼門である、左右の手をバラバラのタイミングで動かすことの練習効果も期待できます。

音質はどの程度?

本格的な電子ピアノほどの音質は期待できません。ただ、少なくとも子供用のおもちゃのピアノよりは良く、手軽に演奏できるアイテムとして考えると充分と言えるでしょう。参考までに、Smalyロールアップピアノの音色をお聴きください。

ロールピアノはどんな人に向いてる?

ロールピアノには「どこにでも持ち運びができる」というメリットがあります。また、MIDIやBluetoothの機能が付いた機種もあり、外部機器との連携も可能です。

このことから、ロールピアノは以下のような方に向いているといえます。

  • 外出先で練習したい方
  • 帰省先でピアノを弾きたい方
  • レジャー先で演奏したい方
  • 隙間時間で練習したい方
  • 本番前の最終確認で使いたい方
  • 音楽制作に使いたい方
  • ピアノアプリをプレイしたい方
  • 音楽ゲームを遊びたい方

ただし上述の通り、ロールピアノは指使いの練習にはなりますが、総合的なスキルアップにはつながりません。しっかりと演奏に取り組みたいのであれば、電子ピアノかアコースティックピアノを購入しましょう。

ロールピアノを選ぶときのチェックポイント

ここからは、ロールピアノを選ぶときのチェックポイントを解説していきます。

鍵盤の数

ロールピアノの鍵盤数は、88鍵・61鍵・49鍵の3種類があります。

クラシックやポップスなどのピアノ曲を幅広く弾きたい方は、通常のピアノと同じ鍵盤数の88鍵盤を選びましょう。なお初級クラスの楽譜であれば、多くの曲を61鍵でも演奏できます。

遊び用、または子供用にほしい方には49鍵もおすすめです。しかし、ほとんどの49鍵モデルはサスティンペダルに対応していない点に注意してください。

一度に出せる音の数

機種によっては、一度に2つ以上の音を出せない、つまり和音や左右で異なる音を出せないことがあります。単音しか弾けないとなると、演奏の幅が大きく狭まってしまいます。

比較検討の際には「同時発音数」という項目をチェックしてみましょう。クラシックなりポップスなり、何らかの曲を弾きたいのであれば、最低でも8は必要です。

サスティンペダルの使用可否

音の伸びをコントロールしたい場合、サスティンペダルが必須になります。アコースティックピアノや電子ピアノなら対応している機能ですが、ロールピアノだとそうでないモデルも多々あります。この点も忘れずチェックしておきましょう。

音色やデモ曲の数

オルガンやギターなど、ピアノ以外の音色も楽しみたい方は、音色数の多い機種を選びましょう。演奏のお手本がほしい方は、デモ曲が充実したモデルを選びたいですね。

ただし、こうした機能の充実度は価格と比例します。予算と相談しながら検討してください。

イヤホン・ヘッドホンの使用可否

昨今のほとんどの機種にはイヤホンジャックが装備されていますが、一応確認しておきましょう。なければスピーカーからしか音を出せず、練習環境が大幅に制限されてしまうからです。

可能であれば、イヤホンジャックの位置にもこだわりたいところ。取り回しの不便な位置にあると、演奏に支障をきたすかもしれません。

ロールピアノのおすすめ人気モデル:①49鍵盤

ここからは、ロールピアノのおすすめを紹介していきます。まずは49鍵モデルから。

ONETONE ロールアップピアノ 49鍵盤

「ONETONE」は、電子キーボードやカリンバなどを制作している国内ブランドです。

スピーカー内蔵ですが530gと軽量で、畳むとお財布ぐらいの大きさに収まります。それでいて音色は47種類、リズムパターンは128種類も搭載されており、さまざまな曲の演奏を楽しめるでしょう。

Smaly ロールピアノ 49鍵

5,000円以下というお安い価格ですが、スピーカー内蔵かつ和音弾き対応と、コスパの良い製品となっています。ボタン配置はシンプルでわかりやすく、お子様1人でも簡単に操作できます。

シックな白と黒のほかにハローキティモデルもあり、お子様へのプレゼントにも最適です(在庫状況をご確認ください)。

carina ロールアップピアノ 49鍵盤

47種の音色と128種のリズムパターンを内蔵。和音対応もしており、さっと演奏するのに十分な性能です。鍵盤に貼るドレミのシールが付属しているので、初心者の練習用にもぴったり。

1年間無料で修理交換ができる保証も付いてきます。

ロールピアノのおすすめ人気モデル:②61鍵盤

次に、61鍵のおすすめ機種を3つ紹介します。

ONETONE ロールアップピアノ 61鍵盤

前述の49鍵モデルに比べ、音色数が128と2倍以上にパワーアップ。サスティンペダルに対応できるようになっているのもポイントです。ペダルは付属しているため、別途購入する必要はありません。

Smaly ロールピアノ 61鍵

前述の49鍵モデルが音色数6だったのに対し、こちらは音色数129。メトロノーム機能も付いているため、ある程度の練習もこなせるでしょう。

ただ、ペダルには対応していない点に注意が必要です。

GENIUS MAKER シリコンピアノ 61鍵盤

「GENIUS MAKER」は、子供用の知育玩具などを作っている国内メーカーです。

知育というコンセプトの通り、自分の演奏を録音したり、ドラム音色でリズムパターンを作ったりと、演奏のサポート機能が充実しているのがポイントです。演奏そのものを楽しみながら音感を鍛えることができるでしょう。

ロールピアノのおすすめ人気モデル:③88鍵盤

次に、88鍵のおすすめ機種を3つ紹介します。

YAMAZEN ハンドピアノ グランディア 88鍵盤

音色128種類、同時発音数64音、アンプ内蔵、サスティンペダル付きと、充実した機能が魅力のモデルです。

充電式なためコードレスで長時間使用でき、外出先でも練習したい方にもおすすめ。ただし、2,000gと重量があるので、頻繁に持ち歩きたい方には負担が大きいかもしれません。

Smaly ロールピアノ 88鍵

これまで紹介してきた同ブランドの88鍵モデルです。基本的な機能・性能は61鍵モデルと同じなので、用途に合わせて選びましょう。

ONETONE ロールアップピアノ 88鍵盤

スピーカーの出力が強く、他社製品よりも大きくて良い音を出せるのが特徴。演奏を聞かせたい方、より臨場感のあるサウンドを求める方におすすめです。

また、本体重量が1,250gと軽く、折りたたむと手のひらに収まるサイズになり持ち運びにも便利です。

ヤマハやカワイなどの有名メーカーはロールピアノを販売していない

「電子ピアノと言えば」のヤマハやカワイ、カシオやローランド、コルグなどの有名メーカーでは、ロールピアノを取り扱っていません。その代わり、スリムで軽量な電子ピアノ・キーボードを多数リリースしています。

ちゃんと鍵盤タッチ感がないとヤダ!という方は下記記事よりお好みの電子ピアノを探してみてくださいね。

まとめ

今回はロールピアノについて、ピアノの練習になるかどうかという点のほか、選び方やおすすめモデルなどを解説しました。
気軽さが最大のメリットである一方、ピアノ演奏の総合的なレベルアップにはつながりにくいのがデメリットといえます。良くも悪くもクセのある製品ということで、使用目的をあらためて整理し、その上で購入の是非を検討してみてください。

本記事が参考になれば幸いです。