「電子ピアノの種類が多くて、どれが自分にぴったりなのかわからない!」
あなたもそう思っていませんか?
楽器販売店にはさまざまなメーカー・モデルの電子ピアノが並べられていますが、店頭ポップや店員の説明を頼りに自分に合った楽器を選び出すのは、決して容易ではありません。
そこで本記事では、現役ピアノ講師である筆者が、実際に試奏した経験をもとに、大人の初心者から上級レベルを目指す方まで、あらゆるレベルのピアノ学習者に最適な10機種をご紹介します!
「鍵盤のタッチ」と「音質」にフォーカスした正直レビューと併せて、選ぶ際のポイントや各地域の試奏可能な楽器店に関する情報もお伝えしますので、電子ピアノ選びで失敗しないためにもぜひ参考にしてください。
案内人
- 古川友理名古屋芸術大学卒業。
4歳よりピアノを始め、伊藤京子、深谷直仁、奥村真の各氏に師事。
地元愛知県三河地方を中心に器楽、声楽、合唱伴奏者として活動する傍ら、島村楽器音楽教室等でピアノ講師として勤める。
目次
【電子ピアノ】タッチと音質重視!おすすめ10機種を徹底レビュー
実際に筆者が弾いて「おすすめしたい!」と感じた電子ピアノ10機種を以下の4つのカテゴリに分けてご紹介していきます。
- 10万円以下
- 10~20万円
- 20~30万円
- 30万円以上
今回選定の際に特に重視したのは、以下の3つのポイントです。
1.アコースティックに近いタッチ
2.リアルな音質
3.プラスαの機能や細部へのこだわり
もちろん、実際に購入する場合は価格も重要!長く愛用するためにも、予算内でより生ピアノに近いタッチや音色を楽しめるピアノを選びましょう。
※レビュー内容はあくまで体験した筆者の感想です
10万円以下のモデル【ピアノを始めたばかりの初級者向け】
最初にご紹介するのは「ピアノを習い始めたばかりで続くかどうかわからない……」「とりあえず独学でピアノを始めてみたい」といった方々におすすめの10万円以下の2機種です。
・CASIO|Privia PX-S1100
・Roland|FP-10
ピアノの上達を目指すのであれば、ある程度タッチのしっかりした楽器が必須。価格の手頃さだけで選んで後悔しないよう、弾き心地や音質、使い心地に注目しましょう。
CASIO|Privia PX-S1100
カシオの「Privia PX-S1100」は、スタイリッシュなデザインが魅力のモデル。卓上型電子ピアノでありながらも、グランドピアノの響きを再現するカシオ独自の技術「マルチ・ディメンショナル・モーフィングAiR音源」で、鮮やかで豊かな響きを楽しめます。
タッチに関連するアクション部分には、アコースティックピアノのハンマーアクション機構を小型化した「スマートスケーリングハンマーアクション鍵盤」を採用。これにより、88鍵のスピーカー内蔵デジタルピアノとして世界最小のスリムボディでありながらも、繊細なタッチや細かなニュアンス付けが可能となっています。
予算は抑えたいけど音質にこだわりたい!という方におすすめです。
★レビュー★ピアノ講師が実際に弾いてみた!
【タッチ】
- タッチは軽めだが、弾き心地はよい
- トリルや連打に対する鍵盤の反応がよい
【音質】
- ややリアルさには欠けるが、響きの広がり方は心地よい
【その他】
- ボディに重量感があるため卓上でもずれにくい
- 光沢のあるスタイリッシュなボディがおしゃれ
- ザラザラに加工された鍵盤の感触がよい
- 専用アプリから操作可能
Roland|FP-10
コンパクトかつ本格的なタッチを追求したのが、ローランドのポータブルピアノ「FP-10」です。鍵域によって異なるハンマーアクションや高精細なセンサーを採用。鍵盤をごく弱い力で押し込んだ際のエスケープメント(ハンマーが弦を止めずに速やかに離れる仕組み)の再現によって、グランドピアノのリアルなタッチを実現しています。
音響には、ローランド独自の技術「スーパーナチュラル・ピアノ音源」を採用。繊細でやわらかい音色やダイナミックで明瞭な音色によって、表情豊かな演奏が可能になっています。
また、専用の無料アプリ「Piano Partner 2」を使えば、本体に内蔵されている楽曲の譜面表示や音当てゲームなど、ピアノの楽しみ方が広がります。ピアノや音楽に興味を持つきっかけ作りにも最適な一台と言えるでしょう。
★レビュー★ピアノ講師が実際に弾いてみた!
【タッチ】
- 重めのしっかりとしたタッチ
- トリルや連打時の鍵盤の反応がやや遅め
【音質】
- ややリアルさには欠けるが、明瞭で聴きやすい
【その他】
- 象牙を再現した吸湿性素材の鍵盤で弾き心地がよい
- 打鍵時のノイズがやや気になる
10~20万円のモデル【テクニック強化を目指す中級者向け】
続いては、より難易度の高い曲に挑戦していきたいピアノ中級者におすすめのモデルをご紹介します。
・KAWAI|CA401
・YAHAMA|Clavinova CLP-735
・Roland|DP603
10~20万円という価格帯は、電子ピアノの平均価格です。決して安い買い物ではありませんので、理想のピアノライフを楽しむためにも、各メーカー・機種によるタッチや音質の違いをおさえて、好みの弾き心地・音色のモデルを選びましょう。
KAWAI|CA401
カワイが製造する電子ピアノは「CNシリーズ」「CAシリーズ」の2タイプ。その違いは鍵盤の素材にあり、CNにはアクリル樹脂製、CAには木製の鍵盤を採用しています。
なかでも「CA401」は、カワイが電子ピアノの製造を開始した1985年当初からこだわりをもっていた木製鍵盤使用のCAシリーズの大人気モデルです。
本体内部には、グランドピアノと同じシーソー式のアクション構造「グランド・フィール・スタンダード・アクション」を搭載。これにより、高速の連打やトリル、なめらかなレガートなどを、限りなくグランドピアノに近いタッチで演奏することが可能です。また、ショパン国際コンクールで使用されているカワイピアノの最高峰モデル「SX-EX」の音色を採用しており、リアルなタッチと音色を同時に楽しめます。
さらに『バイエル』『ブルグミュラー』『ショパンのワルツ集』など全200曲が内蔵されており、音源に合わせて一緒に演奏できるのも、ピアノ学習者にとって魅力的なポイント。左右いずれかのパートのみを再生することもできるため、練習のバリエーションが増え、ピアノに向かうモチベーションの向上にもつながるでしょう。
★レビュー★ピアノ講師が実際に弾いてみた!
【タッチ】
- アコースティックピアノと比べて軽め
- 連打やトリルに対する鍵盤の反応はやや遅め
【音質】
- コンクール・コンサートピアノの違いが明確で楽しい
(コンクール:丸みのある深い音色/コンサート:明朗ではっきりとした音色) - 低音はリアルだが、高音はやや甲高く聴こえる
【その他】
- 木製鍵盤の手触りがよい
- 専用アプリから操作可能
YAMAHA|Clavinova CLP-735
最新テクノロジーがもたらすグランドピアノ並みの表現力を備えた、ヤマハ「Clavinova CLP-735」。1983年に初号機が発売されて以来、常に進化を続けるクラビノーバのなかでも、手ごろな価格帯でありながらも音とタッチに重点をおいた「CLPシリーズ」のモデルです。
鍵盤には、指先にハンマーアクションの手応えを感じながら繊細な表現ができる「グランドタッチ-エス™鍵盤」を採用。さらに、タッチによる繊細なニュアンスの変化を生み出す最新技術や、弱い力で鍵盤を押さえた際に感じるグランドピアノ特有のわずかな抵抗感を再現する「エスケープメント」を搭載することで、よりリアルなタッチと音色を実現しています。
さらに、ヤマハの最高峰コンサートグランド「CFX」と、世界三大ピアノメーカーの一つであるベーゼンドルファーの最上級モデル「インペリアル」の音色が収録されており、音質にも強いこだわりがあります。ヘッドホンでも臨場感のある響きを楽しめるようサンプリングされているため、夜間や明け方もリアルな音を耳にしながら快適に練習できます。
★レビュー★ピアノ講師が実際に弾いてみた!
【タッチ】
- ある程度の重みはあるが、アコースティックピアノと比べて軽め
【音質】
- 収録された音色ごとの特徴は感じられるが、ややリアルさに欠ける
【その他】
- 吸湿性の高い象牙調の鍵盤で感触がよい
- 20種類のリズムや303曲の練習曲が収録されており、練習のバリエーションが広がる
- 専用アプリから操作可能
Roland|DP603
スタイリッシュなデザイン性に加え、豊かな表現を可能にするローランドの最新技術を搭載した「DP603」。アコースティックピアノの発音プロセスを再現した「スーパーナチュラル・ピアノ・モデリング音源」と、専用設計のスピーカーによって生み出される、奥深い『生きたピアノの音色』を楽しめます。
鍵盤には、安定性の高い木材と樹脂センターフレームのハイブリッド構造を採用し、アコースティックピアノの演奏感と耐久性を実現しています。さらに、白鍵は象牙調、黒鍵は黒檀調の風合い、そしてエスケープメント機構を備えるなど、細かなこだわりも魅力の一つです。
さらに、メトロノームやレコーダー機能、375曲の内蔵曲、鍵盤を2つの音域に分けて演奏できるツインピアノ機能など、自宅でのピアノ練習が楽しくなる要素が満載です。タッチや音色だけでなく、ピアノを楽しみながら続けていきたい方にピッタリのモデルと言えるでしょう。
★レビュー★ピアノ講師が実際に弾いてみた!
【タッチ】
- かなり重めでずっしりとしている
- 連打やトリル演奏時の鍵盤の反応がよい
【音質】
- ややリアルさに欠ける
- 全体的に機械的な甲高い音色に聴こえる
【その他】
- 木製の象牙調鍵盤で触り心地がよい
- 打鍵時のノイズが少ない
- ふたを閉めるとフラットになるキャビネット型デザインが新鮮
20~30万円のモデル【総合的な演奏力の向上を目指す上級者向け】
テクニックと表現力を確固たるものとし、「演奏会やコンクールで高難度の曲に挑戦したい!」という上級者の方におすすめなのが以下の2機種です。
・CASIO|Privia PX-S7000
・Roland|LX705
20~30万円台の電子ピアノのなかには、音質やタッチよりもデザインへのこだわりが強いものもありますが、今回は演奏性や機能性に優れ、見た目も美しく、長期にわたって愛用したくなるモデルをご紹介します!
CASIO|Privia PX-S7000
カシオの最先端テクノロジーとスタイリッシュなデザインを組み合わせた「Privia PX-S7000」は、楽器店大賞2023 電子ピアノ・キーボード部門で大賞を受賞した人気モデル。カシオの電子楽器アンバサダーを務めるピアニストの角野隼斗(Cateen)さんも「360度どこから見てもきれいに見えるピアノ」と絶賛する、おしゃれでスタイリッシュな電子ピアノです。
見た目だけでなく、カシオの技術によって生み出された高い楽器性能も注目すべきポイント。ハンマーの自重を最新デジタル制御技術によってコントロールする「スマートハイブリッドハンマーアクション鍵盤」によって、弾きごたえのある本格的なタッチでの演奏を楽しめます。
また、鍵盤ごとに異なる音の大きさを忠実に再現しており、鍵盤を離すスピードによってリリースタイムを変化させる「キーオフシミュレーター機能」を搭載。ハーフペダルなどの微妙なニュアンスの調節が可能なところも、上級者におすすめしたい理由の一つです。
★レビュー★ピアノ講師が実際に弾いてみた!
【タッチ】
- 非常に軽め
- ハンマーアクションの感触は感じにくい
【音質】
- ややリアルさに欠ける
【その他】
- スプルース材と樹脂のハイブリッド鍵盤で触り心地がよい
- デザイン性が高くインテリアの一つとして映える
Roland|LX705
「LX705」は、グランドピアノの音と響きにこだわって作られたハイスタンダード・モデルの電子ピアノです。4つのスピーカーによる「アコースティック・プロジェクション」によって、クリアで明瞭な迫力あるピアノサウンドが再現されています。
音源にはローランドが理想とする2つのピアノ「ヨーロピアン」「アメリカン」を備え、「スタジオ」「ラウンジ」「コンサートホール」など演奏空間を指定することで、同じ音色で異なる響きを楽しむことも可能。また、Bluetoothやメトロノーム、録音、消音など、デジタルピアノならではの機能も満載です。
さらに、表現力に定評のある木材と樹脂のハイブリッド鍵盤にも注目。アコースティックピアノの演奏性や風合い、さらに耐久性や安定性をあわせ持つこの鍵盤の弾き心地を気に入って選ぶ方も多いようで、筆者が立ち寄った楽器店では「リアルなタッチが魅力の人気No.1モデル」として紹介されていました。
★レビュー★ピアノ講師が実際に弾いてみた!
【タッチ】
- やや重め
- 連打やトリル演奏時の鍵盤の反応がよい
【音質】
- ややリアルさに欠ける
- 高音の甲高い音色が気になる
【その他】
- 電子ピアノであることを感じさせないクラシカルなフォルム
30万円以上のモデル【本格的なタッチを求める方におすすめ】
最後にご紹介するのは、とことんアコースティックに近い音色とタッチを求める本格派の方におすすめのモデルです。
・CASIO|CELVIANO GP-510BP
・KAWAI|CA901
・YAMAHA|Clavinova CLP-775
30万円以上となると中古のアップライトピアノを購入できる価格帯ですが、より省スペースで設置でき、消音機能で時間を選ばず練習できるメリットを求めて電子ピアノを選択する方も少なくありません。住環境や練習する時間帯を考慮しつつ、より自分に合った楽器を選択しましょう。
CASIO|CELVIANO GP-510BP
カシオ最高峰デジタルピアノ「CELVIANO GP-510BP」。世界中で敬愛されている歴史的なピアノの性質や個性をカシオ独自の研究と分析によって再現した、高性能ハイブリットピアノです。
なんと、収録されている音色の一つ「ベルリン・グランド」は、世界三大ピアノメーカーの一つ「C.ベヒシュタイン」とカシオの共同開発によって生み出されたもの!リストやドビュッシーも愛したとされる音色を、奏者の感性で表現する「マルチ・ディメンショナル・モーフィング」や、グランドピアノの響きを再現する「弦共鳴システム」などの最高峰の技術で、本格的なピアノ演奏を楽しむことができます。
独自のアクション構造でグランドピアノの繊細なタッチを体感できる木製鍵盤や、本物のペダル動作を追求した独自のシステムなども注目ポイントです。
筆者個人的に、今回ご紹介した機種のなかで、最もアコースティックピアノに近いタッチと音質を実感できたモデルでした。
★レビュー★ピアノ講師が実際に弾いてみた!
【タッチ】
- 重厚感のあるグランドピアノに限りなく近いタッチ
- トリルや連打、高速のパッセージを弾いたときの鍵盤の反応が良い
【音質】
- 3つのグランドの音色の違いが楽しい
(ベルリン:粒立ちが良い/ハンブルク:ソフトでやさしい/ウィーン:低音が美しい) - 音がタッチの変化に瞬時に反応する
- 音色・音量をコントロールしやすい
- 高音は全体的にやや甲高く硬い音に聴こえる
【その他】
- ハーフペダルも可能
- ソフトペダルによる音色の変化も忠実に再現
- 眩しいほどの光沢ボディ
KAWAI|CA901
カワイが電子ピアノ製造開始当初よりこだわり続けてきた、シーソー式アクション構造の木製鍵盤を備えた「CA901」は、CAシリーズ最高峰モデルと言われています。
さらに、国際コンクールで公式採用されているフルコンサートグランドピアノ「SK-EX」の音色と響きを再現するためだけに開発された革新的システム「SK-EXレンダリング音源」を搭載。まるでコンサートホールで演奏しているかのような臨場感を味わえます。
さらに、タッチパネル方式で操作可能な液晶画面が付いているところも、時代に即した魅力的なポイントです。スマートフォンやタブレットの操作に慣れている現代の子どもたちにとっては、ボタン式よりも簡単に操作しやすく、ピアノに触れる機会が増えるきっかけになるかもしれません。
★レビュー★ピアノ講師が実際に弾いてみた!
【タッチ】
- アコースティックピアノと比べて軽め
- 連打やトリルに対する鍵盤の反応はやや遅め
【音質】
- まろやかで上品
- 音色の変化が楽しい
(コンサート:華やか/グランド:クラシカル)
【その他】
- スクロール式タッチパネルが斬新
- 打鍵時のノイズがやや気になる
YAMAHA|Clavinova CLP-775
タッチ感・音質全てにこだわりたい方には、ヤマハの「Clavinova CLP-775」がおすすめです。グランドピアノのタッチを再現する「グランドタッチ™鍵盤」と、高・中・低の3Wayスピーカー、アコースティックピアノの振動を再現する「トランスデューサー」などを搭載。本格的なタッチと音色を求める方に大人気のモデルです。
音色には、世界に誇るコンサートグランドピアノ「ヤマハ CFX」と「ベーゼンドルファー インペリアル」の音を新たにサンプリングした音源を採用。響板から響いているかのような自然なサウンドを実現した音響設計「グランドアコースティックイメージング」によるリアルな響きで、世界最高峰のピアノの音色を堪能できます。
ちなみに、筆者がとある演奏の現場で使用しているピアノもこちらのモデル。音の粒をコントロールするのに工夫が必要ですが、豊かな響きで広い空間を包み込んでくれる点はとても気に入っています。
★レビュー★ピアノ講師が実際に弾いてみた!
【タッチ】
- 重みがあり少し硬め
- 音のコントロールが難しい
【音質】
- 響きの広がりが心地よい
- ややリアルさと深みに欠ける
【その他】
- 場所を選ばないコンパクト設計
失敗しない電子ピアノの選び方【5つのチェックポイント】
電子ピアノの購入で失敗しないためには、価格や見た目、目新しい機能だけにとらわれず、多角的な視点で選ぶことが大切です。
ここからは、電子ピアノ選びでチェックすべき5項目について、詳しく解説していきます。
①据え置きタイプか卓上タイプか
電子ピアノは、鍵盤部分・スタンド・べダル一体型の「据え置きタイプ」と、鍵盤部分のみの「卓上タイプ」に分けられます。
それぞれのメリット・デメリットは以下のとおりです。
|
据え置きタイプ |
卓上タイプ |
メリット |
・正しい姿勢・フォームを保ちやすい ・タッチ・音色等の質が高い ・椅子やヘッドホンなどの付属品が充実している製品も多い |
・コンパクトで手軽に移動させられる ・テーブルなどに置いて使用できる ・据え置きタイプに比べ安価 |
デメリット |
・卓上タイプに比べ高価 ・重量があるため移動させにくい ・専門業者による組み立てが必要な場合がある ※モデルにより異なる |
・スタンドとペダルは別途購入する必要がある ・置く場所によって正しい姿勢・手のフォームを保ちにくい場合がある |
姿勢や手のフォームは、ピアノの上達に大きな影響を与えます。中級や上級レベルを目指す場合は、価格や大きさだけでなく「正しい演奏姿勢を保てるか」といった点にも注目して選ぶとよいでしょう。
②鍵盤タッチにこだわる【木製鍵盤と樹脂鍵盤】
電子ピアノの鍵盤は、主に「木製鍵盤」と「樹脂鍵盤」の2種類です。
それぞれ次のような特徴があります。
|
木製鍵盤 |
樹脂鍵盤 |
採用モデル |
高価格帯のモデルに多い |
低価格帯のモデルに多い |
表面の質感 |
ザラザラ |
ツルツル |
タッチ |
重め |
軽め |
その他 |
アコースティックピアノとのギャップが少ない |
表面の汚れを拭き取りやすい |
近年普及しつつある電子ピアノとアコースティックピアノの利点を融合した「ハイブリットピアノ」や、木製鍵盤を採用した電子ピアノのなかには、アコースティックピアノに限りなく近い、または同等のハンマーアクションを内蔵したモデルもあります。
日常的にアップライトピアノやグランドピアノに近いタッチで練習したい場合は、木製鍵盤+ハンマーアクションのモデルがおすすめです。
③鍵盤数を確認しよう
アコースティックピアノの鍵盤数は、黒鍵・白鍵含め88鍵。現在販売されている電子ピアノも、多くの場合88鍵盤です。
ただし、卓上タイプのコンパクトなモデルや、「キーボード」「シンセサイザー」と呼ばれる鍵盤楽器では76鍵盤、あるいは61鍵盤の製品もあります。
61鍵盤の音域は5オクターブ、88鍵盤の音域は7オクターブと4鍵盤。アコースティックピアノでの演奏を想定した作品の場合、61鍵盤では音域が足りない場合も多々あるため、購入する際は必ず鍵盤数を確認しましょう。
④音質(スピーカー )と発音数をチェック
電子ピアノの音質を左右するのは、音源とスピーカーの性能・数です。
電子ピアノから流れる音は、あらかじめ録音された音源ですが、多くの上位モデルでは、世界の名器の音色を独自技術を駆使してサンプリングしたものなど、各メーカーこだわりの音源が採用されています。
また、低価格モデルのスピーカーは左右1つずつ、計2つが一般的ですが、高価格帯モデルになるほど4つ、6つと増え、より臨場感のある音色を楽しめます。
加えて、音の響きを左右するポイントとして注目したいのが「同時発音数」。「(鍵盤を押さえた数+ペダルで残る音の数)×スピーカーの数=同時発音数」となり、上限を越えた場合、最初に鳴った音から自動的に消えていきます。
響きの重なりを楽しみたい場合は、最低でも128音、より本格的な響きを求める場合は256音以上を目安に選ぶとよいでしょう。
⑤便利機能と接続端子
電子ピアノがアコースティックピアノに勝る最大のポイントは、さまざまな便利機能です。購入前に必要な機能や使ってみたい機能が備わっているかチェックしましょう。
- 録音
- 音色変更
- サイレント
- メトロノーム
- 鍵盤の光ナビゲーション
- トランスポーズ(移調)
数ある便利機能のなかでも人気の「サイレント機能」を使用する場合は、ヘッドホンの接続端子が必須。ヘッドホン端子の有無は「買ってはいけない電子ピアノ」の条件としても挙げられるほどの要チェック項目です。
夜間に練習したい方や、隣の部屋や近隣への音漏れを防ぎたい方は、購入する際に必ず確認してください。
【一緒にそろえたい】あると便利な周辺機器
電子ピアノは「本体のみ」「スタンド・椅子付き」など、さまざまな形で販売されています。セット内容を確認し、足りないものがある場合は一緒に購入するのがおすすめです。
ここでは、電子ピアノと一緒に揃えたい周辺機器をご紹介します。
ヘッドホン
ヘッドホンは、サイレント機能を使った練習に必須のアイテム。高価格帯のモデルには付属されていることもありますが、付いていない場合はそのモデル専用、あるいは対応のヘッドフォンを用意する必要があります。
ただし、ヘッドホンを使えるのは、ヘッドホンの接続端子が付いているモデルのみです。
サイレント機能を使った練習を想定している方は、電子ピアノ購入時にヘッドホン対応のモデルを選びましょう。
ヘッドフォンについて詳しく知りたい方は下記記事をご参照ください。
メトロノーム
多くの電子ピアノには、メトロノームが内蔵されています。ただ、ピアノの音量調節と連動しているため、「メトロノームの音量だけもう少し上げたい」といった場合に調整できないのが難点です。
内蔵のメトロノームが使いにくいと感じる場合は、別途用意するのがおすすめです。
置き型の振り子式や電子式のほか、スマホのアプリもありますので、ご自身の使いやすいタイプを選びましょう。
椅子
ピアノを弾くうえで、椅子は必須アイテムですが、低価格帯の電子ピアノには付属されていないことも。オプションで椅子を付けられる場合は、セットで購入するのがおすすめです。
専用のものが用意されていない場合は、以下のような電子ピアノ専用の椅子を一緒に揃えましょう。
YAMAHA 電子ピアノ用 高低自在椅子
安定感のあるベンチタイプの電子ピアノ用椅子。サイドのつまみを回すことで高さを自在に変えられます。
Donner キーボード用 ベンチ 折りたたみ式 ピアノチェア
安定性の高いX型折りたたみ式キーボードチェア。厚さ6cmの高密度スポンジで座り心地が良く、長期間使用しても座面が変形しにくいのも魅力です。
スタンド
卓上タイプの電子ピアノを選ぶ場合は、スタンドも一緒に購入しましょう。
鍵盤部分のみのコンパクトなモデルは、テーブルなどに置いて手軽に演奏を楽しめるのがメリットですが、ピアノの上達を目指すのであれば、以下のような専用スタンドの上に置き、正しい姿勢で練習するのがおすすめです。
Donner 電子キーボード ピアノ Z型 スタンド 折りたたみ式
54鍵から88鍵まで幅広く対応可能なZ型スタンド。
足もとを邪魔する部品がないため、ストレスなく演奏に集中できます。
RockJam Xfinity キーボードスタンド
頑丈なダブルXメタル設計で、さまざまなサイズの電子ピアノに対応。
サポートストラップでしっかりホールドすれば、演奏中にずれる心配もありません。
防音マット
マンションやアパートにお住まいの方は、下の階へ伝わる音や振動を軽減するために防音マットが必要になるケースが多いでしょう。
筆者のおすすめは、電子ピアノ本体だけでなく椅子の設置部分までカバーできる大判サイズ。椅子の移動による床の傷付き防止にもつながるため一石二鳥です。
EMUL CPT300L 電子ピアノ用 遮音防振カーペット
椅子までおさまる大判タイプの遮音カーペット。
打鍵やペダル操作、椅子の移動にともなう床への音や振動を軽減してくれます。
日東紡マテリアル 静床ライト 防音マット
50cm×50cmのマットを、スペースや必要な面積に合わせて組み合わせられます。
中性洗剤を使って手洗いできる点も魅力です。
電子ピアノの5大人気メーカーの特徴
電子ピアノ選びで気になるのがやはりメーカーです。
ここでは、5大人気メーカーの特徴をそれぞれわかりやすくご紹介しています。
ヤマハ(YAMAHA)
ピアノ生産台数世界一を誇る日本のピアノメーカー「ヤマハ(YAMAHA)」の電子ピアノは、透明感のある音色と頑丈な作り、バリエーション豊かなタッチが魅力です。
長きに渡るピアノ製造によって培われた技術を生かした本格的なハンマーアクション内蔵のモデルでは、グランドピアノさながらの弾き心地を楽しめます。
ヤマハ製電子ピアノの詳細は下記記事をご参照ください。
ローランド(ROLAND)
電子管楽器「エアロフォン」などの革新的な楽器を生み出し続ける、日本の大手電子楽器メーカー「ローランド(ROLAND)」。ローランドの電子ピアノは、音の表現力や重すぎず軽すぎない抜群のタッチが魅力です。
さらに、デザイン性の高さや、オリジナルアプリとの連動など機能性に優れている点でも支持されています。
ローランド製電子ピアノの詳細は下記記事をご参照ください。
カシオ(CASIO)
「カシオ(CASIO)」は、電子機器を幅広く手掛ける日本有数の電機メーカーです。楽器・電子楽器専門メーカーに比べ、リーズナブルな電子ピアノを数多く手掛けています。
また、見た目にこだわったデザイン性の高いモデルも多く、オーディオやMIDIとの連携機能が豊富な点も注目すべきポイントです。
カシオ製電子ピアノの詳細は下記記事をご参照ください。
カワイ(KAWAI)
「カワイ(KAWAI)」は、ヤマハと並ぶ日本が世界に誇るピアノメーカーです。オーディオ会社「オンキヨー(ONKYO)」と共同開発した高音質スピーカーを採用するなど、音への並々ならぬこだわりがうかがえます。
アコースティックピアノの製造技術を生かしたハンマーアクションを内蔵することで、限りなく本物に近いタッチを追求している点も見逃せません。
カワイ製電子ピアノの詳細は下記記事をご参照ください。
コルグ(KORG)
シンセサイザーや電子ピアノを中心に製造している、日本の電子楽器メーカー「コルグ(KORG)」。初の国産シンセサイザーを発売したメーカーとしても知られています。
コルグの電子ピアノは、シンプルな機能とコンパクトなデザイン、さらに機能を絞ることによって価格が抑えられている点も魅力です。
コルグ製電子ピアノの詳細は下記記事をご参照ください。
試奏するならこの店舗がおすすめ
自分に合った電子ピアノを選ぶには、実際に弾いてみるのが一番!ここでは、全国各地の楽器取扱店の中から、試奏にピッタリの店舗を地域別にご紹介します。
【北海道】島村楽器 札幌ステラプレイス店
JR札幌駅直結の「札幌ステラプレイス」内にある島村楽器。さまざまなメーカーのモデルが取り揃えられており、メーカー・モデルによる違いを試奏しながら比較できます。
島村楽器 札幌ステラプレイス店
住所:北海道札幌市中央区北五条西2-5 JRタワー札幌ステラプレイス4F
電話番号:011-209-5230
営業時間:10:00-21:00
公式サイト:こちら
【東北】Digiland Pro Shop 仙台ロフト店
「音楽をより身近に感じていただける店舗」をコンセプトに、電子・アコースティック問わずさまざまな楽器を取り揃えている総合楽器店。約710平米の売り場面積を誇り、電子ピアノのラインナップも充実しています。
Digiland Pro Shop 仙台ロフト店
住所:宮城県仙台市青葉区中央1-10-10 仙台ロフト7階
電話番号:022-264-9333
営業時間:10:00-20:00
公式サイト:こちら
【甲信越・北陸】北陸楽器
ピアノの販売や買取、音楽教室や音楽コンクールの運営など、音楽関連事業を幅広く手掛ける北陸楽器。電子ピアノの品揃えも多く、ヤマハをはじめとする5大メーカーすべての製品を取り扱っています。
北陸楽器
住所:石川県金沢市新神田1-9-16
電話番号:076-291-6500
営業時間:平日10:00-20:00/日・祝日10:00-19:00
公式サイト:こちら
【関東】あのぴあの
有名メーカーからマイナーなメーカーまで、あらゆる機種が集まる電子ピアノ専門店。電子ピアノが置かれた部屋を再現した「あのぴあのルーム」では、照明の明るさから色・温度まで調整しながら、思う存分試奏を楽しめます。
あのぴあの
住所:東京都渋谷区道玄坂1-7-4 スクエアB 4F
電話番号:03-6433-7944
営業時間:11:00~20:00(元旦除く)
公式サイト:こちら
【関東】山野楽器 銀座本店
銀座4丁目交差点のすぐそばにある総合音楽専門店。各フロアに専門スタッフが配置されているため、試奏とあわせて電子ピアノに関するさまざまな相談も可能です。
山野楽器 銀座本店
住所:東京都中央区銀座4-5-6
電話番号:03-3562-5051
営業時間:平日11:00-19:30/土日・祝日10:30-19:30 ※3~6F
公式サイト:こちら
【東海】島村楽器 ららぽーと名古屋みなとアクルス店
東海地区唯一のクラシック楽器専門店。社内資格に合格した「ピアノアドバイザー」が常駐しており、電子楽器選びや演奏、レッスンに関する相談にものってもらえます。
島村楽器 ららぽーと名古屋みなとアクルス店
住所:愛知県名古屋市港区港明二丁目3番2号 ららぽーと名古屋みなとアクルス 3F
電話番号:052-659-1775
営業時間:10:00-20:00
公式サイト:こちら
【関西】三木楽器 開成館
ピアノの販売・買取・レンタルなどを手掛けるピアノ専門店。ヤマハ・ローランド・カシオ・コルグの電子ピアノを取り扱っています。
三木楽器 開成館
住所:大阪府大阪市中央区北久宝寺町3丁目3−4
電話番号:06-6252-0432(事務所)
営業時間:10:00-19:00
公式サイト:こちら
【関西】島村楽器 ららぽーと甲子園店
関西・西宮最大級の電子ピアノの品揃えを誇る総合楽器専門店。店頭に並べられた最新モデルの数々は、すべて試奏可能です。
島村楽器 ららぽーと甲子園店
住所:兵庫県西宮市甲子園八番町1-100 ららぽーと甲子園 2F
電話番号:0798-81-6651
営業時間:10:00-20:00
公式サイト:こちら
【中国】島村楽器 イオンモール広島府中店
中国地方唯一のピアノの専門店「島村楽器ピアノショールーム広島」として、グランドピアノ・アップライトピアノ・ハイブリッドピアノ・電子ピアノの圧倒的な品揃えを誇る大型店。在籍するピアノアドバイザーに相談しながら、自分にピッタリの一台を見つけられます。
島村楽器 イオンモール広島府中店
住所:広島県安芸郡府中町大須2-1-1 3階
電話番号:082-510-2122
営業時間:10:00-21:00
公式サイト:こちら
【四国】島村楽器 エミフルMASAKI店
愛媛県下最大級の売り場面積を誇る総合楽器専門店。四国唯一のピアノ上級アドバイザーが在籍しているため、電子ピアノ選びで迷った際も安心して相談できるでしょう。
島村楽器 エミフルMASAKI店
住所:愛媛県伊予郡松前町筒井850 エミフルMASAKI1F
電話番号:089-961-8890
営業時間:10:00-21:00
公式サイト:こちら
【九州】島村楽器 イオンモール直方店
電子ピアノの品揃えが豊富な総合楽器専門店。主要メーカーのピアノが一堂に会するピアノフェアも不定期で開催されているため、イベント時期を狙って訪れるのもよいでしょう。
島村楽器 イオンモール直方店
住所:福岡県直方市湯野原2-1-1 イオンモール直方2F
電話番号:0949-29-2555
営業時間:10:00-21:00
公式サイト:こちら
電子ピアノにつていのよくある質問
最後に、電子ピアノに関するよくある質問にお答えしていきます。
キーボードと電子ピアノの違いは?
キーボードは鍵盤楽器を手軽に楽しむために作られた楽器で、電子ピアノはアコースティックピアノの演奏を再現するために作られた楽器です。そのため、キーボードは鍵盤数が少なく、コンパクトなモデルが多く販売されています。
下記記事で詳しく解説されているので、ぜひ参考にしてみてください。
電子ピアノの寿命はどれくらいですか?
電子ピアノの寿命は10年から15年、長くて20年ほどと言われています。蓋や鍵盤などの直接触れる部分よりも、内部に搭載された電子部品の劣化により演奏に支障が出るケースが一般的です。
保証期間が設けられている場合は、少しでも長く愛用できるよう、期間内に点検やメンテナンスを受けることをおすすめします。
折りたたみの電子ピアノってありますか?
近年、折りたたみタイプやロールタイプなど、コンパクトに持ち運べる軽い電子ピアノが人気を集めています。
タッチ感や、音質のクオリティにこだわる方には不向きですが、お子様の遊び用やセカンドピアノとして使用するには、手軽で便利な楽器と言えるでしょう。
折りたたみピアノの詳細は下記記事をご参照ください。
電子ピアノの中古ってどうなんでしょうか?
限られた予算内で電子ピアノを購入したい場合、使用年数の浅い中古ピアノはコスパ最高と言っても過言ではありません。ただし、製造年が古すぎるものは、外側がキレイな状態でも内部の部品が劣化している可能性があります。
電子ピアノの寿命は、作りの頑丈な高価格帯モデルで20年弱といわれているため、製造から5年以内を目安に選ぶのがおすすめです。
中古ピアノの詳細は下記記事をご参照ください。
子供向けのおすすめ機種はありますか?
「子供向け」と明確に謳っている機種はありませんが、お子さまの興味を惹きつけたい場合は「光ナビゲーション」付きのモデルがおすすめです。
光ナビゲーションは、曲に合わせて光る鍵盤を追っていくだけで、簡単な曲が弾けてしまう便利機能です。ピアノの前にじっと座っているのが難しい3歳頃のお子さまでも、この機能を使えば、楽器自体に興味が湧き、長く集中してくれるかもしれません。
さいごに
電子ピアノを選ぶ際のポイントをおさらいしておきましょう!
電子ピアノを選ぶときのチェックポイント
①据え置きタイプか卓上タイプか
②鍵盤タッチにこだわる【木製鍵盤と樹脂鍵盤】
③鍵盤数を確認しよう
④音質(スピーカー )と発音数をチェック
⑤便利機能と接続端子
理想のピアノライフを実現するためには、自分にぴったりの電子ピアノを見極めることが重要になってきます。本記事で紹介したチェックポイントをおさえながら、後悔しない電子ピアノ選びをしてくださいね。