電子ピアノとキーボード、何が違うんだろう……と思ったことありませんか?

「本物のピアノの代わりになるものを探しているけど、違いがよくわからない」
「自宅で練習したいけど、どっちが適しているのかな」

このような悩みをお持ちの方も多いと思います。実は、電子ピアノとキーボードには、それぞれの特徴があり、用途によって使い分けるのがおすすめなんです。価格や演奏感、持ち運びのしやすさなど、様々な点で違いがあります。

この記事では、それぞれの特徴やメリット・デメリットを詳しく解説します!最後まで読めば、自分にあっているのが電子ピアノなのか、キーボードなのか、ハッキリするのでぜひ参考にしてください。


  • 監修:山本麻衣国立音楽大学音楽学部演奏学科鍵盤楽器専修(ピアノ)卒業、同時にアンサンブル・ピアノ・コース修了。上田和子、星野明子の各氏にピアノ奏法を、平島誠也、安井耕一の各氏に歌曲伴奏法を師事。

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本物のタッチに近いおすすめ電子ピアノ10選

【比較表】電子ピアノとキーボードの違い

まず最初に、電子ピアノとキーボードの違いについて見ていきましょう。

項目

電子ピアノ

キーボード

鍵盤数

88鍵

61鍵や76鍵など

タッチ感

アコースティックピアノに近い

軽い

同時発音数

128音~256音以上

32音~128音程度

ペダルの有無

あり(3本ペダルが標準)

一部モデルのみ

録音機能の有無

あり

あり

ヘッドホン端子の有無

あり

あり

サイズ

大きめ

比較的コンパクト

重さ

重め

軽量

上記はあくまでも一般的な傾向で、電子ピアノの中にもコンパクトなものや、キーボードの中にも多機能なものがあります。

ピアノ講師:山本

ピアノ講師歴12年の私の経験上、こどもの習い事やおとなの趣味としての自宅用に、いきなりアコースティックピアノを買うケースはごく稀です。「やっぱり本物じゃないと……」と考える方も多いですが、実は電子ピアノの中でもプロが「本気で欲しい!」と思えるモデルもあるんですよ!

では、ここからは具体的に、電子ピアノとキーボードそれぞれのメリットについて見ていきましょう。購入前に知っておきたい機能や相場、タッチ感など詳しく解説していきます。

電子ピアノの特徴とメリット

電子ピアノの特徴とメリット

電子ピアノは、アコースティックピアノのタッチや音色を再現することに重点を置いて作られていて、より本格的な演奏を求める方におすすめです。価格帯は数万円から数十万円と幅広いですが、本物のピアノに比べると比較的手頃な価格で購入できるのがメリットと言えるでしょう。

一般的に20万円以上のモデルを選べば、鍵盤、音、スピーカーも高性能で本物のピアノを弾いたときの違和感が少なくアコースティックの代替品として良いと言われています。

本物に近いタッチ感

電子ピアノの最大の特徴は、アコースティックピアノに近いタッチ感です。

多くの電子ピアノは本物のピアノのような弾き心地を再現する鍵盤を採用しています。この鍵盤は弾く強さによって音の大きさや音色が変化するため、繊細な表現が可能です。また、鍵盤の重さも低音部は重く、高音部に行くほど軽くなるように設計されているものが多いので、電子ピアノで練習したほうが本物のピアノへの移行もスムーズに行えます。

ピアノを本格的に学びたい方や、将来アコースティックピアノの購入を考えている方にとっておすすめです。

ピアノ講師:山本

『どのような力加減で鍵盤を押せば、どのくらいの大きさの音が出るのか?』という、この感覚「ピアノタッチ」を養えるかどうかがピアノの上達に直結します。

本物のピアノと同じ88鍵盤

電子ピアノの多くは、本物のピアノと同じ88鍵盤を採用しています。これにより、クラシック音楽など、幅広い音域を使用する楽曲も演奏可能です。

ピアノ講師:山本

私が新米ピアノ講師だった頃、発表会で事件が起きました。ある生徒が弾き始めの位置を1オクターブ低くしてしまい、音域が低いままで完奏してしまったのです。後日理由が判明。彼女は自宅で61鍵のキーボードを使って練習していたため、舞台のピアノに向かった途端に緊張で「真ん中のド」がどれなのかわからなくなってしまったのです。普段から88鍵に慣れておくことは重要な意味を持つのだと痛感して以来、私はすべての生徒に88鍵を強くおすすめしています。

同時発音数は256音以上が主流

電子ピアノの同時発音数は、一般的に256音以上が主流です。これは、複雑な和音や長く伸ばす音を使った曲を演奏する際に重要な要素です。

同時発音数が多いほど、音が途切れたり、濁ったりすることなく、豊かな響きを楽しむことができます。特に、ペダルを使って音を伸ばしながら演奏する曲では、十分な同時発音数が必要です。

ピアノ講師:山本

ポップスを好む方は、手を鍵盤の上ですべらせるグリッサンドを使うかもしれません。左手で伴奏を弾きながら右手でグリッサンド、さらにペダルで前の音とつなぐとすれば……。同時発音数は大きめに見積もっていたほうが、弾ける曲がぐんと増えますね。

グリッサンドは、YOASOBI「アドベンチャー」(動画の2:24)に使われています。クラシックでも、ベートーヴェンやラヴェルの作品にも多く使われています。

また、電子ピアノは高品質な音源を使用しているため、アコースティックピアノに近い自然な音色を再現できます。さらに、ピアノ以外にも様々な楽器の音色を内蔵しているものも多く、幅広い表現が可能です。

卓上型であれば持ち運び可能

電子ピアノの中には卓上型のモデルもあり、これらは比較的軽量で持ち運びが可能です。スタンドは取り外し可能で鍵盤部分のみテーブルに乗せて使うこともでき、機種によっては長い鍵盤を折りたためるものもあります。

また、卓上型の電子ピアノは、ライブ演奏やイベントなどでの持ち運びにも便利です。軽量でありながら、88鍵盤や本物に近いタッチ感を備えているため、演奏の質を損なうことなく、どこでも気軽に演奏を楽しむことができます。

ピアノ講師:山本

ちなみに私は、老人ホームや公民館などピアノがない場所への出張演奏に重宝しています。

次に、キーボードの特徴とメリットについて詳しく見ていきましょう。

キーボードの特徴とメリット

キーボードの特徴とメリット

キーボードの主なメリットは以下の通りです。

・軽量でコンパクト
・多彩な音色と機能
・比較的安価
・鍵盤数の選択肢が豊富

特筆すべきは、ヤマハやカシオなどの有名ピアノメーカーも高品質なキーボードを製造していることです。ピアノメーカー製のキーボードなら、音質や耐久性に関して安心感がありますね。

ピアノ講師:山本

鍵盤が軽いからこそできる技法もあります。先ほど鍵盤で手をすべらせるグリッサンドの話をしましたが、これは圧倒的に鍵盤が軽いほうが成功しやすいです。

それでは、キーボードの特徴と仕組みについて詳しく見ていきましょう。

アコースティックピアノと比べて軽いタッチ感

キーボードの鍵盤は、本物のピアノに比べて軽いタッチ感が特徴です。タッチレスポンス機能(鍵盤を押す強さに応じて音の大きさや音色が変化する機能)を持つ機種もありますが、全てのキーボードに搭載されているわけではありません。

キーボードが輝くのは、バンド演奏などたくさんの音色を使い分けたい場面です。タッチの違和感がどれだけ演奏者の負担になるのかは想像しづらいかもしれませんが、前述のとおりピアノと鍵盤幅が同じかどうかや、譜面台が簡易で分厚い楽譜を固定しづらいことは演奏のしやすさに関わってきます。

ストリートピアノに挑戦してみたい気持ちがあるなら、電子ピアノを購入することを強くおすすめします。

使用目的により88鍵盤以外の鍵盤数も選べる

キーボードの鍵盤数は、電子ピアノとは異なり、49鍵や61鍵、76鍵など、様々な種類があります。

鍵盤数別の特徴

49鍵盤:価格も手頃で、最低限の機能で十分という方に適しています。
61鍵盤:主に初心者向けのキーボードに多く、コンパクトで持ち運びに便利。
76鍵盤:61鍵盤よりも音域が広く、より本格的な演奏を楽しみたい方におすすめ。
88鍵盤:電子ピアノと同じ鍵盤数で、クラシック音楽など、幅広いジャンルの曲を演奏することができる。

このように、キーボードは使用目的に合わせて、最適な鍵盤数を選ぶことができます。

ピアノ講師:山本

鍵盤が軽いからこそできる技法もあります。先ほど鍵盤で手をすべらせるグリッサンドの話をしましたが、これは圧倒的に鍵盤が軽いほうが成功しやすいです。

同時発音数は64~128音が主流

キーボードの同時発音数は、一般的に64音から128音程度が主流です。電子ピアノと比べるとやや少なめですが、通常の演奏では十分な数と言えるでしょう。

同時発音数が多いほど、複雑な和音や長く伸ばす音を使った曲でも音が途切れたり濁ったりすることなく演奏できます。ただし、クラシック音楽などで頻繁にペダルを使用する曲の場合は、同時発音数が少ないと物足りなさを感じるかもしれません。

一方で、キーボードは多彩な音色を内蔵しているのが特徴です。ピアノ音色以外にも、ストリングスやドラムス、シンセサイザーサウンドなど、様々な音色を楽しむことができます。

電子ピアノより持ち運びやすいものが多い

キーボードの大きな魅力は、軽量さと持ち運びやすさです。一般的なキーボードは重さ3〜10kg程度で、電子ピアノの半分以下の重量になっています。

コンパクトなサイズと軽量設計により、ライブハウスでのバンド活動やストリートライブなど、様々な場所で演奏を楽しむことができます。また、収納スペースが限られている方にとっても、キーボードはおすすめの選択肢と言えるでしょう。

ただし、軽量であるがゆえに、電子ピアノほどの本格的なタッチ感や音質は期待できない場合があります。用途に応じて、重視するポイントを考慮しながら選ぶことが大切です。

ピアノ講師:山本

大人になってからピアノを始めたとある生徒さんが「1曲披露できる腕前になるまで奥さんに内緒で通いたい」ということで、キーボードを購入しました。その後、奥様に打ち明けるまで、押し入れにキーボードがあることに気づかれなかったそうです……!

あなたはどっち?電子ピアノとキーボードの選び方

あなたはどっち?電子ピアノとキーボードの選び方

ここまで、電子ピアノとキーボードの違いについて解説してきました。次に、それぞれの楽器がどんな人におすすめなのか、選び方のポイントをまとめます!

電子ピアノはこんな人におすすめ

電子ピアノがおすすめの方

本物のピアノに近いタッチで演奏したい方
クラシック音楽など、幅広いジャンルの曲を演奏したい方
将来的にアコースティックピアノへの移行を考えている方

電子ピアノは、より本格的な演奏を求める方におすすめです。特に、アコースティックピアノ経験者の方であれば、電子ピアノでも違和感なく演奏できるでしょう。

また、初心者の方でも、将来的にアコースティックピアノへの移行を考えている場合は、ピアノの先生おすすめの商品なども参考にしながら電子ピアノを選んでおくと、スムーズに移行できるでしょう。電子ピアノには、レッスン機能やリズム機能など、練習に役立つ機能が搭載されているモデルも多く、初心者の方の練習をサポートしてくれます。

キーボードはこんな人におすすめ

電子ピアノがおすすめの方

気軽に音楽を楽しみたい方
持ち運びしやすい楽器を探している方
多彩な音色で演奏したい方
予算を抑えたい方

キーボードは、電子ピアノよりも手軽に始められる楽器を探している方におすすめです。また、バンド活動やライブ、路上での弾き語りなど、屋外で演奏する機会が多い方にもおすすめです。

さらに、多彩な音色を活かして、音楽制作を楽しみたい方にも最適です。お子様に音楽に触れさせたいという場合も、キーボードはおすすめ。特に、未就学児のお子様の場合、まだ指の力が弱いため、鍵盤が軽いキーボードの方が、楽しく演奏できるでしょう。

ピアノ講師:山本

キーボードの場合は、ピアノの先生よりも楽器店員さんのほうが詳しい傾向にあります。用途と演奏曲のジャンルを相談すれば、ぴったりの機種を選んでもらえるかも……!

その他のピアノに似た楽器もチェック!

ピアノに似た楽器は、電子ピアノやキーボード以外にもいくつかあります。ここでは、エレクトーン、オルガン、シンセサイザーの特徴を簡単にご紹介します。

エレクトーン

エレクトーン

エレクトーンは、ヤマハが開発した電子オルガンの一種です。電子ピアノやキーボードとは異なり、複数の鍵盤と足鍵盤を備えています。主な特徴は以下の通りです。

・上下2段の手鍵盤と足鍵盤を持つ
・オーケストラのような多彩な音色を再現できる
・自動伴奏機能が充実している
・演奏者一人で大編成の音楽を表現できる

電子ピアノやキーボードと比べて、エレクトーンはより複雑な演奏が可能です。ただし、サイズが大きく、価格も高めなので、主に音楽教室や専門的な演奏者に使用されることが多いです。

オルガン

オルガン

オルガンは、管を使って空気を振動させて音を出す楽器です。電子オルガンもありますが、ここでは伝統的なパイプオルガンについて説明します。

・パイプを通して空気を送り、音を出す仕組み
・独特の豊かな音色と響きが特徴
・教会や大ホールなどに設置されることが多い
・複数の手鍵盤と足鍵盤を持つ

電子ピアノやキーボードとは全く異なる構造と音の出し方を持つオルガンは、独特の音色と演奏感覚が魅力です。ただし、サイズが非常に大きく、個人で所有するのは難しい楽器です。

シンセサイザー

シンセサイザー

シンセサイザーは、電子回路を用いて音を作り出す楽器です。キーボード型のものが一般的ですが、ギター型や管楽器型など様々。音色の自由度が非常に高く、色々な音を作り出すことができるので、映画音楽や効果音、ポップス、ロックなど、幅広いジャンルで利用されています。

シンセサイザーとキーボードの違いとしては、主に音作りに特化しているかどうかというポイントです。シンセサイザーは、音色を自由にエディットできる機能が充実している一方、キーボードはあらかじめ用意された音色を演奏することを目的としています。

電子ピアノ・キーボードに関するよくある質問

電子ピアノ・キーボードに関するよくある質問

電子ピアノはMIDIキーボードとしても使える?

多くの電子ピアノはMIDIキーボードとしても使用できます。MIDI(Musical Instrument Digital Interface)は、電子楽器同士やコンピューターとの通信規格で、以下のような特徴があります。

・演奏情報をデジタルデータとして送受信できる
・DAWソフトと連携して、作曲や編曲が可能
・様々な音源を使って、多彩な音色で演奏できる

電子ピアノをMIDI化することで、本格的な演奏を楽しみながら、同時に作曲活動もできるようになります。これは、電子ピアノのコストパフォーマンスを大きく向上させる要素と言えるでしょう。

例えば、電子ピアノのグレードハンマー鍵盤で本格的なピアノ演奏を楽しみつつ、MIDIで接続したコンピューターで様々な音色を使った作曲ができます。これにより、1台の楽器で演奏と作曲の両方のニーズを満たすことができ、効率的です。

電子ピアノやキーボードにおすすめのヘッドホンは?

電子ピアノやキーボードにおすすめのヘッドホンは、音質が良く、長時間の使用でも疲れにくいものがおすすめです。特に、密閉型のヘッドホンは外部の音を遮断し、クリアな音質を提供するため、集中して練習や演奏を楽しむことができます。

また、軽量で快適な装着感を持つヘッドホンを選ぶことも重要です。長時間の練習でも耳や頭が痛くならないよう、クッション性の高いイヤーパッドを備えたモデルなど、自分にあったヘッドフォンを探してみてください。なお、音質にこだわる場合は、フラットな音響特性を持つスタジオモニターヘッドホンを選ぶと良いでしょう。

ピアノ講師:山本

ヘッドホンがあれば夜間でも演奏できて、とても便利!
お子様の場合は、ヘッドホン着用が常にならないよう注意しましょう。未完成な音を家族に聴かれたくない気持ちはとてもよくわかりますが、週に1度でもヘッドホンを外して練習すると上達が近づきます。

まとめ

電子ピアノとキーボード、それぞれに特徴があり、用途によって選び分けることが大切です。アコースティックピアノに近い演奏感を求めるなら電子ピアノ、多彩な音色や持ち運びやすさを重視するならキーボードがおすすめです。

あなたの目的や予算、演奏スタイルに合わせて最適なほうを選んでください!